こんにちは!びわおちゃんブログ&アニオタWorld!へようこそ。
誰かを想う気持ちが、自分の世界の色を塗り替えていく。そんな経験をしたことはありますか。
相手の笑顔が、まるで自分のことのように嬉しくなる。その人がただそこにいるだけで、見慣れた景色がきらきらと輝き出す。言葉にするのはもどかしく、けれど確かに胸の奥で熱を帯びる、あの不思議な感覚。
私たちは大人になる過程で、そんな純粋な感情に蓋をしたり、気づかないふりをしたりすることを覚えてしまいます。しかし、心の奥底では、いつまでもあの頃の瑞々しい感情の記憶が眠っているのではないでしょうか。
『薫る花は凛と咲く』第8話「感情の正体」。このエピソードは、主人公・凛太郎が、今まで名前のつけられなかった自身の心の揺らぎに、ついに「恋」という名前を与える、あまりにも美しく、そして決定的な物語です。
それは、まるで止まっていた時計の針が、再び力強く時を刻み始める瞬間にも似ています。
今回の記事では、凛太郎の心の機微を丁寧に追いながら、この物語が私たちに示してくれる「感情の正体」とは何かを、深く、そして熱く掘り下げていきたいと思います。あの頃、言葉にできなかった想いを抱えるあなたの心に、きっと届くものがあると信じて。
『薫る花は凛と咲く』第8話「感情の正体」あらすじ
物語は、登場人物たちの心が大きく動いた瞬間から、静かに、そして確実に関係性を深めていく過程を丁寧に描いていきます。
雪解けの予感:千鳥と桔梗、新たな関係の始まり
スポーツ大会決勝でのサヨナラ負け。駄菓子屋の軒先で本気で悔しがる翔平と、それを慰める凛太郎、朔、絢斗。彼らの間には、勝敗を超えた確かな友情が流れています。そんな仲間たちに、凛太郎は意を決したように声をかけます。「お前ら、この後時間あるか?」

彼が3人を連れて行ったのは、以前、昴が凛太郎に想いをぶつけた、あの思い出の公園でした。そこで待っていたのは、桔梗女子の和栗薫子と夏沢昴。千鳥と桔梗。本来であれば決して交わることのない二つの学校の生徒たちが、一つのテーブルを囲みます。
ぎこちない空気を最初に打ち破ったのは、薫子と翔平でした。スポーツ大会の話で意気投合し、あっという間に打ち解ける二人。まるで以前から知っていたかのように感覚的に通じ合うその姿は、物事の本質を曇りなき眼で捉え、場の空気を明るく変える力を持つ「同志」のようです。

やがて薫子が口を開き、昨夜、不良に絡まれた際に助けてもらった礼を伝えます。そして昴も、以前図書館で「千鳥だから」という理由だけで心ない言葉をぶつけてしまったことを、深く、真摯に謝罪しました。
しんみりと重くなった空気を一変させたのは、またしても翔平でした。「何言われたか覚えてねえわ、俺」。彼の天真爛漫な一言が、昴の心を縛っていた罪悪感の鎖を軽やかに断ち切ります。朔もまた、「酷いことなら俺もあんたに言ったから」と優しく言葉を添え、過去を水に流します。

薫子と昴が持ってきたお菓子は、二人の個性を象徴していました。薫子は誰もが気軽に楽しめるコンビニのスナック菓子。そして昴は、少し背伸びした有名店の高級クッキー。それでも、6人は同じテーブルで笑い合いながら、菓子パーティーを始めます。
「でも、私、桔梗なのに…」と躊躇する昴に、翔平は即座に、そして力強く言い放ちます。
「俺らそんなの気にしねえけど」「嫌われてるのは知ってるから、あんまりかかわらないようにしてるだけだよ。嫌な思いさせたいわけじゃねえしさ」
それは翔平一人の言葉ではなく、そこにいる千鳥の生徒全員の、偽らざる本心でした。凛太郎から薫子たちのことを「仲良くさせてもらってるいい人たちだ」と聞いていた絢斗。凛太郎が言うなら、と全幅の信頼を寄せる朔。
「桔梗だからとか、ごめんなさいとか、もういいからさあ。これからは仲よくしようぜ」

そう言って、翔平は昴が持ってきたクッキーを一つ手に取り、彼女に差し出します。重なり合う二人の手。その瞬間、昴の心にあった千鳥への偏見という分厚い氷が、確かな音を立てて溶け始めるのでした。「自分の目でしっかり見なければ何もわからないのね」。薫子の言葉を胸に、昴もまた、新しい世界への一歩を踏み出したのです。

「一緒にどこかお出かけしたい」:二人きりの約束
公園での温かい時間の後、凛太郎と薫子は二人で帰り道を歩みます。中間試験の勉強会のお礼がしたい、何かしてほしいことはないかと尋ねる凛太郎。その問いに対する薫子の答えは、あまりにも真っ直ぐで、愛おしいものでした。

「一緒にどこか お出かけしたい」
その言葉に、凛太郎の心は大きく揺さぶられます。そして、彼の脳裏に、公園へ向かう前の翔平との会話が鮮やかに蘇るのでした。
「凛太朗ってすっげえ素直な奴だったんだな。いい人だとか、信じて欲しいとか、ここまでストレートに言う奴だったんだなあって。なんか、変わったな、凛太朗!」
親友からのストレートな言葉。その瞬間、凛太郎がなぜか思い浮かべたのは、薫子の柔らかな笑顔でした。「宇佐美(翔平)に言われたあの瞬間、何故か頭に浮かんだのは…」。その自問は、まだ形にならない感情の輪郭を、そっと指でなぞるような、切ない響きを帯びていました。

自分の変化。その中心に、薫子という存在がいること。まだ言葉にはできないけれど、凛太郎の心は、その事実をはっきりと感じ取っていたのです。そして、薫子からの「お出かけしたい」という願いは、その感情に確かな形を与える、次なるステージへの招待状となったのでした。
イルカショーと迷子の少女:試される二人の絆
そして訪れた休日。凛太郎と薫子が向かったのは、マクセルアクアパーク品川(アニメでは明らかにされていませんが、明らかにそうですよね)。お互いに同じ電車に乗っていながら気づかず、駅の改札でばったり出会うという、まるで運命の悪戯のような始まりに、二人の間には自然と笑みがこぼれます。

薫子のお目当ては、期間限定のイルカショー。開始時間を気にしながら「時間足りるかな!」と少し焦る薫子の姿を、凛太郎は愛おしそうに見つめます。そして、こう言うのです。

「今日は和栗さんのしたいこと、全部しよう」
その一言に、凛太郎の変化と決意が滲みます。もはや彼は、薫子の隣でただ戸惑う少年ではありません。彼女の喜びを、自らの喜びとして受け止め、そのために一日を捧げようとする、一人の男性としての覚悟がそこにはありました。

ポート・オブ・パイレーツではしゃいだり、カフェで語り合ったり。夢のような時間を満喫し、いよいよお目当てのイルカショーが始まる、その時。物語は、二人に小さな試練を与えます。
目に涙を浮かべた、小さな女の子。どうやら迷子のようです。
「ほっとけないもん」
イルカショーの開始時刻が迫る中、薫子は少しも迷うことなく、自分が両親を探しに行くと申し出ます。凛太郎には、その場で女の子を見ているようにと。

その姿を見つめる凛太郎の胸に、ある確信が宿ります。「そうだった。和栗さんはこういう人だった」。誰かの痛みに寄り添い、自分のことを後回しにしてでも手を差し伸べる。その優しさと強さこそが、自分が彼女に惹かれた根源なのだと、改めて思い知らされるのでした。
女の子の名前はミカちゃん。「リンちゃん」と凛太郎を呼び、少しずつ心を開いていきます。そして、ませた口調で「薫子ちゃんとリンちゃんのデート、邪魔しちゃった」「だって、二人は恋人でしょ」と、核心を突く言葉を投げかけるのです。幼稚園児相手に動揺し、赤面する凛太郎。その純粋な反応が、彼の心を映し出していました。

やがてミカちゃんは、大好きな梅組のダイキくんの話を始めます。「ミカ、ダイキ君がニコニコしてるとこ見ると、うれしくなるの」。その無垢な言葉が、凛太郎の心に深く、深く突き刺さるのでした。「そっか…あれ。俺、今…」。凛太郎は、自らの内に芽生えた感情の正体に、気づき始めていました。
【深掘り解説】第8話「感情の正体」に隠された心の機微
ここからは、第8話で描かれた数々の名場面に隠された、登場人物たちの心の機微を深く読み解いていきます。なぜあの時、あのキャラクターはそう行動したのか。セリフや演出の一つ一つに込められた意味を探ることで、この物語が持つ本当の魅力に迫りたいと思います。
沈黙が語る信頼の証―薫子の眼差しが持つ意味
今回の前半、公園での6人のシーンは、今後の物語の礎となる非常に重要な場面でした。特に、昴が過去の過ちを謝罪し、千鳥の面々がそれを受け入れる一連の流れは、胸に迫るものがありました。しかし、ここで注目すべきは、僕が指摘したいのは、その感動的なやり取りの間、和栗薫子がほとんど一言も発していないという事実です。

彼女はただ、静かに、そして穏やかに、目の前で繰り広げられる光景を見守っていました。
この「沈黙」こそ、この場面における最高の演出であり、薫子の心の成長、そして凛太郎との関係性の深化を何よりも雄弁に物語っているのです。
思い出してみてください。以前の薫子であれば、きっと彼女は前に出て、昴と千鳥の面々の間を取り持とうとしたはずです。「ごめんなさい、この子は悪気があるわけじゃなくて…」と、自らが盾になるようにして場を収めようとしたかもしれません。それは彼女の優しさであり、責任感の強さの表れでした。
しかし、この時の彼女は違いました。なぜか。

それは、凛太郎と、彼が心から信頼する友人たちを、彼女もまた心から「信頼」していたからです。
彼女はもう、自分が口を挟む必要がないことを知っていました。凛太郎がどんなに優しく、誠実な人間であるか。そして、彼が「こいつらはいい奴らなんだ」と紹介する友人たちが、決して表面的なレッテルで人を判断したり、過去の過ちを執拗に責めたりするような人間ではないことを、確信していたのです。
翔平が「覚えてねえわ」と笑い飛ばした時、朔が「俺も言ったから」と寄り添った時、絢斗が「凛太朗から聞いてます」と頷いた時、薫子の心には安堵と共に、誇らしさのような感情すら湧き上がっていたのではないでしょうか。「私が信じた人は、こんなにも素敵な仲間たちに囲まれているんだ」と。

彼女の沈黙は、無関心ではありません。それは、凛太郎たちが紡ぎ出す温かい人間関係の輪を、絶対的な信頼の眼差しで見守るという、最高の肯定なのです。もはや彼女は、一人で全てを背負い、守ろうとする孤独な存在ではありません。凛太郎というパートナーを得て、彼とその世界を丸ごと信じる側に回った。この静かな変化こそ、二人の関係が、単なる「気になる相手」から、互いの世界を分かち合う「運命の相手」へと昇華し始めている何よりの証拠と言えるでしょう。息をのむほどに美しく、そして感動的な演出です。
無意識の引力―凛太郎の脳裏に浮かんだ薫子の笑顔のわけ
公園からの帰り道、翔平に「なんか、変わったな、凛太朗!」と言われた瞬間、凛太郎の脳裏には薫子の笑顔が浮かびます。この一連のシークエンスは、凛太郎の無意識の領域で何が起きているのかを情緒的に、そして鮮やかに描き出した名シーンです。

なぜ、親友からの言葉で、彼は薫子を思い浮かべたのでしょうか。
それは、彼の「変化」の理由そのものが、薫子という存在だったからに他なりません。
以前の凛太郎は、自己肯定感が低く、常に自分の容姿や環境に劣等感を抱いていました。周囲の目を気にし、自分の本心を押し殺し、波風を立てずに生きることだけを考えていた。そんな彼が、翔平も驚くほど「すっげえ素直な奴」に変わった。自分の気持ちをストレートに言葉にし、「信じて欲しい」と真っ直ぐに伝えられるようになった。
この変化は、凛太郎一人の努力や意志だけで成し遂げられたものではありません。彼の心の奥底に眠っていた優しさや誠実さ、素直さといった美点を、外の世界へと引き出してくれた存在がいたからです。それこそが、和栗薫子なのです。
彼女の偏見のない眼差し。
彼女がくれた「ありがとう」という言葉。
彼女が見せた、心からの笑顔。
それら一つ一つが、固く閉ざされていた凛太郎の心の扉を少しずつこじ開け、彼に自信と、誰かを信じる勇気を与えてくれました。翔平に「変わったな」と言われた時、凛太郎は理屈で考えたわけではないでしょう。しかし、彼の本能が、魂が、理解していたのです。「俺がこうして変われたのは、和栗さんがいてくれたからだ」と。
彼の変化の「原因」であり、行動の「動機」であり、全ての「理由」が、薫子に繋がっている。それはもはや、論理を超えた無意識の引力です。この瞬間、凛太郎はまだそれを「恋」という言葉で定義できていないかもしれません。しかし、彼の世界の中心が、静かに、そして決定的に薫子へとシフトしていることを、この脳裏に浮かんだ笑顔のワンカットが、何よりも美しく証明しているのです。これは、恋の自覚前夜に訪れる、最も切なく、最も純粋な心の動きの描写ではないでしょうか。
「俺、今…」―凛太郎が自覚した感情の芽生えとその言葉の先
水族館で出会った迷子のミカちゃん。彼女が語る、大好きなダイキくんへの想い。「ミカ、ダイキ君がニコニコしてるとこ見ると、うれしくなるの」。このあまりにも純粋で、本質を突いた一言が、凛太郎の心に大きな波紋を広げます。彼はハッとした表情で、こう呟きます。
「そっか…あれ。俺、今…」
この言葉の後に、彼は何を続けようとしたのでしょうか。想像するのは野暮かもしれませんが、あえて言葉にするならば、きっとこうだったでしょう。
「俺、今…和栗さんが笑ってると、同じように嬉しいって、思った」
これ以上ないほど、シンプルで、しかし根源的な感情の発見です。
この瞬間の凛太郎の衝撃は、計り知れないものがあったはずです。彼はこれまで、自分の感情の源泉について、ここまで深く向き合ったことがなかったでしょう。特に、自分が「嬉しい」と感じる時、その根っこに何があるのかなど、考えたこともなかったに違いありません。
しかし、ミカちゃんの「好きな人が笑顔だと、自分も嬉しくなる」という、恋の初期衝動そのものと言える純粋な言葉が、まるで鏡のように、凛太郎自身の心を映し出したのです。
凛太郎の脳裏に、これまでの薫子の笑顔が浮かんだはずです。初めて一緒にケーキを食べた時の笑顔。勉強を教えてくれた時の笑顔。公園で仲間たちと打ち解けた時の笑顔。そして今日、水族館ではしゃいでいた笑顔。そのどれもが、凛太郎の心を温かくし、知らず知らずのうちに彼の頬を緩ませていたことに、彼はこの時、初めて「気づいた」のです。
それは、他人事ではありませんでした。ミカちゃんの言葉は、遠いどこかの恋物語ではなく、今まさに自分の内側で起きている現象そのものを、完璧に言語化してくれていたのです。

「ああ、そうか。俺が感じていたこの温かい気持ちは、和栗さんの笑顔が源泉だったのか」
「彼女が楽しそうにしている姿を見ること、それ自体が、俺にとっての『喜び』になっていたのか」
これは、彼が自分の感情を初めて客観的に認識し、その構造を理解した、記念すべき瞬間です。ミカちゃんという純粋無垢な存在を介して、凛太郎は自分の中に芽生えていた「恋」という感情の、最もピュアで美しい核の部分に、そっと触れることができたのです。この小さな発見が、クライマックスでの大きな感情の奔流へと繋がっていきます。
子供の純粋な目―なぜミカは二人を「お似合い」だと思ったのか
「リンちゃんと薫子ちゃん、お似合いだと思うよ」。別れ際にミカちゃんが凛太郎の耳元で囁いたこの言葉は、単なる子供の戯言として聞き流すことはできません。女子力が高そうなミカちゃんが、なぜ初対面の二人を「お似合い」だと感じたのか。その理由は、子供ならではの曇りなき眼が、二人の間に流れる「特別な空気」を敏感に感じ取ったからに他なりません。

大人は時として、言葉や肩書き、見た目といった表層的な情報で物事を判断しがちです。しかし、子供はもっと本質的なもの、つまり、人と人の間に醸し出される「雰囲気」や「空気感」を鋭敏に察知する能力を持っています。
ミカちゃんの目には、二人の姿がどう映っていたのでしょうか。
まず、凛太郎が薫子を見つめる眼差しです。それは、劣等感を抱えていた頃の怯えた目ではありません。慈しみに満ち、彼女の一挙手一投足を見守るような、温かく、そして少しだけ熱を帯びた眼差しです。
次に、薫子が凛太郎に向ける声のトーン。他の誰と話す時とも違う、信頼と親しみが込められた、柔らかな響き。
そして、二人の間の絶妙な「距離感」。物理的に近づきすぎているわけではないのに、お互いの気配が常に相手のパーソナルスペースにあるような、見えない引力で結ばれているかのような空気。
さらに決定的だったのは、ミカちゃんという「他者」に対する二人の反応です。薫子は迷子であるミカちゃんを心から心配し、優しく接しました。凛太郎は、そんな薫子の行動を尊重し、彼女を信じてミカちゃんと共に待っていました。そして、ミカちゃんに「恋人でしょ」とからかわれた時の、凛太郎のあの動揺と赤面。あの純粋すぎる反応は、彼の気持ちを何よりも正直に物語っていました。

恋する乙女であるミカちゃんは、大好きなダイキくんを思う自分自身の気持ちを物差しにして、目の前の二人を見ていたのかもしれません。
「リンちゃんは、薫子ちゃんのこと、きっと好きなんだ」
「薫子ちゃんも、リンちゃんといる時、すごく嬉しそう」
「好きな人同士が一緒にいる時の、あのキラキラした感じが、この二人にはある」
ミカちゃんは、二人が互いに放つ、恋する者だけがまとえる特別なオーラを感じ取ったのです。彼女の「お似合いだよ」という言葉は、この物語における「真実の鏡」が映し出した、疑いようのない事実。それは、当人たちよりも先に真実を見抜いた、小さな恋のキューピッドからの、最大級の祝福の言葉だったのです。
鮮烈に跳ね上がる想い―凛太郎が見つけた「感情の正体」とは
物語の終盤、夜のイルカショーを楽しみながら、薫子は心からの感謝を凛太郎に伝えます。「私、すっごくすっごく楽しかった」。その弾けるような笑顔を前にして、凛太郎の心はついに、最終的な答えにたどり着きます。
「自分が誰かにこんな感情を抱くことになるなんて、夢にも思わなかった」
「はっきりとわかってしまった。鮮烈に跳ね上がるこの感情から目をそらすことなんて、もう…できない」

これこそが、第8話のタイトルである「感情の正体」の答えであり、凛太郎の心が遂げた大きな飛躍の瞬間です。では、彼が見つけた「感情の正体」とは、具体的に何だったのでしょうか。
それは、単に「好き」という一言で片付けられるような、単純なものではありません。今回のエピソードを通して、凛太郎が段階的に発見し、積み重ねてきた感情の総体、その全てです。

第一段階:変化の自覚と、その源泉の発見。
翔平の言葉で、自分が「変わった」ことを客観的に知ります。そして、その変化の中心に薫子の存在があると、無意識レベルで感じ取りました。
第二段階:喜びの構造の発見。
ミカちゃんの言葉がきっかけとなり、「薫子の笑顔が、自分の喜びになっている」という、具体的な感情のメカニズムに気づきました。好きな人が笑っていると、自分も嬉しくなる。この根源的な恋の作用を、自らの体験として認識したのです。
第三段階:感情の確信と、その不可逆性の自覚。
そして、夜のイルカショーでの薫子の笑顔と感謝の言葉。これが最後のピースでした。お礼なんて考えていなかった、ただ力になりたかった、それでも一緒にお出かけできて本当に嬉しい――。彼女の純粋で真っ直ぐな想いに触れた時、凛太郎の心の中にあった、もどかしく揺れ動いていた全ての感情が、一つの大きな流れとなって結実します。
脳裏に、薫子の様々な笑顔が次々とフラッシュバックします。ミカちゃんの「ダイキ君がニコニコしてるとこ見ると嬉しくなるの」という言葉が、その映像に重なります。
ああ、そうだ。この感情だ。
彼女が笑うたびに、胸の奥が温かくなるこの感覚。
彼女の力になりたいと、自然に願うこの気持ち。
彼女といるだけで、モノクロだった自分の世界が、鮮やかなフルカラーに変わっていくこの衝動。
これら全てをひっくるめた、鮮烈に胸を打ち、心臓を跳ね上がらせる、抗いようのない巨大なエネルギーの塊。 それこそが、凛太郎が見つけた「感情の正体」だったのです。
それは、彼がこれまで抱えてきた劣等感や自己否定という分厚い殻を内側から突き破り、鮮やかに芽吹いた生命力そのものでした。人を愛おしいと思う気持ち。誰かの幸せを自分の幸せだと感じる心。私たちはそれを、「恋」と呼びます。

「目をそらすことなんて、もう…できない」
この最後のモノローグは、逃げも隠れもできない、という諦めではありません。これは、臆病だった少年が、初めて自分の感情に正面から向き合い、それを受け入れると決意した、力強い覚悟の表明です。もう、自分の気持ちに嘘はつかない。このどうしようもないほどの愛おしさから、決して目をそらさない。
凛太郎の恋が、本当の意味で始まった瞬間です。そして私たち視聴者もまた、このどうしようもなく純粋で、美しい恋の始まりの目撃者となったのです。あの頃、もしこの感情の正体に気づき、目をそらさずにいられたなら――。そんな甘く切ない想いを抱えながら、私たちは凛太郎と薫子の未来を、ただただ見守りたくなるのです。
「感情の正体」のその先に
水族館でのデートという王道のシチュエーションの中で、迷子のミカちゃんという触媒を得て、ついに自らの「感情の正体」に気づいた凛太郎。彼が薫子に向ける眼差し、そして胸の内で鮮烈に跳ね上がる想い。それは、優しい少年の心に芽生えた、紛れもない「恋」でした。
しかし、自覚したからといって、すぐにその感情をうまく扱えるわけではありません。むしろ、ここからが本当のスタートと言えるでしょう。自分の気持ちに振り回され、もどかしさを感じる凛太郎の姿が目に浮かびます。
さて、次回予告によれば、第9話のタイトルは「金髪とピアス」。これは、彼のアイデンティティの根幹に関わる、非常に重要なキーワードです。強面な不良という外見は、彼が過去の経験から身につけた鎧のようなもの。なぜ彼は金髪にし、ピアスを開けたのか。その理由が、ついに明かされるのかもしれません。
あらすじでは、翔平、朔、絢斗といった友人たちが初めて凛太郎の自宅に遊びに来るとのこと。彼らにとって、凛太郎の実家がケーキ屋であることはまだ秘密のはず。そこに偶然、薫子と昴も合流するというのですから、これはもう一大イベントです。彼のプライベートな空間で、千鳥と桔梗の生徒たちがどう交わるのか。そして、友人たちは凛太郎の「家の顔」をどう受け止めるのでしょうか。
特に注目したいのは、凛太郎の母・杏子の存在です。息子の変化を誰よりも鋭く感じ取ってきた彼女が、友人たち、そして薫子とどう接するのか。凛太郎の「金髪とピアス」の由来には、彼の母親の深い愛情が関わっているという情報もあり、涙なしには見られない展開が待っているかもしれません。
恋心を自覚した凛太郎が、今度は自らの過去と向き合い、大切な友人たちに素顔を見せていく。第9話「金髪とピアス」は、彼の人間的成長をさらに深く描き、物語を大きく前進させる、見逃せない一話となりそうです。
作品関連情報
2025年7月の放送開始以来、大きな反響を呼んでいる『薫る花は凛と咲く』。ここでは、放送・配信情報から、現在開催中および開催予定のイベント、最新グッズ情報までをまとめてお届けします。お見逃しのないよう、しっかりとチェックしてください。
放送・配信情報
テレビ放送
2025年7月5日より、TOKYO MXほか各局にて好評放送中です。
- TOKYO MX、BS11、とちぎテレビ、群馬テレビ: 毎週土曜 24:30~
- MBS: 毎週土曜 26:08~
※放送日時は変更になる可能性があります。最新の情報は公式サイトの発表をご確認ください。
インターネット配信
Netflixにて、毎週土曜25:00より地上波先行配信が行われています。また、ABEMAでは最新話の無料放送や、過去話の一挙配信なども実施されています。その他、各種動画配信サービスでも視聴可能です。
👇動画配信についてはこちらを参考にしてください。
イベント・コラボ情報
アニメ放送を記念し、作品の世界に浸れるイベントが続々と開催されています。
- コラボカフェ in 池袋: 2025年8月12日から8月24日まで、池袋の「eeo Cafe」にてコラボカフェが開催されました。お菓子作りがテーマの可愛らしい描き下ろしイラストを使用した限定グッズや、特典コースターが登場し、多くのファンで賑わいました。
- ポップアップストア in 吉祥寺: 2025年8月29日から9月7日まで、吉祥寺PARCOにてポップアップストアが開催されます。こちらでは、夏らしい浴衣姿のキャラクターたちが描き下ろしイラストで登場。アクリルスタンドや巾着といった限定グッズが販売されるほか、購入特典としてオリジナルポストカードが配布されます。
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グッズ・書籍情報
作品の世界をより深く楽しむためのアイテムも多数展開中です。
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☆☆☆☆☆今回はここまで。
👉使用した画像および一部の記述はアニメ公式サイトから転用しました。
【アニメ関連はこっちから】

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