【ウマ娘シングレ12話感想】魂の激突!天皇賞(秋)史実と心理戦を徹底解説

こんにちは!びわおちゃんブログ&アニオタWorld!へようこそ。


ついに、この日がやってきてしまいました。第12話「天皇賞(秋)」。年内無敗を誇る二人の芦毛、地方の泥濘から中央の頂点へと駆け上がってきた“怪物”オグリキャップと、現役最強の“白い稲妻”タマモクロスが、初めてターフの上でその覇を競う、まさに世紀の頂上決戦です。

放送前から競馬ファンの間でも「あの伝説の芦毛対決をどう描くのか」と期待の声が渦巻いていましたが、放送された内容は、その高いハードルを軽々と飛び越える、圧巻の一言に尽きるクオリティでした。Bパートのほとんどがレースシーンで構成され、息もつかせぬスピード感と、キャラクターたちの内面で繰り広げられる緻密で熱い心理戦に、多くの視聴者が画面に釘付けになったことでしょう。

本記事では、この歴史的な一戦を描き切った第12話について、WEB上に溢れる様々な感想や考察、そしてモデルとなった1988年の史実を丹念に織り交ぜながら、特大ボリュームで徹底的に深掘りしていきます。レース中の彼女たちの言葉一つ一つを引用し、その裏に隠された心理や戦略、そして制作陣がいかにしてこの名勝負をアニメーションという芸術にまで昇華させたのかを、時に熱く、時に冷静に解説していきたいと思います。

(※この記事は、アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第12話の重大なネタバレを含みます。まだご覧になっていない方は、ぜひご視聴後に読むことを強くお勧めします。)

第12話 登場キャラクター紹介

オグリキャップ (CV: 高柳知葉)

オグリキャップ

本作の主人公。カサマツトレセン学園から中央の舞台へと駆け上がってきた芦毛のウマ娘。マイペースで健啖家な一面とは裏腹に、レースでは他を寄せ付けない「怪物」的な走りを見せます。第12話では、最大のライバルであるタマモクロスの予想外の先行策に一瞬動揺するも、トレーナー六平の「耐えろ」という言葉を胸に、冷静に中団で機を窺う王者の風格を漂わせました。最終直線で見せた、すべてを懸けた猛追は圧巻の一言です。

タマモクロス (CV: 大空直美)

タマモクロス

小柄な体でGⅠを連勝し、「現役最強」の称号を欲しいままにするウマ娘。「白い稲妻」の異名を誇る、オグリキャップの前に立ちはだかる最大の壁です。第12話では、過去のトラウマを乗り越える覚悟の証として、得意の追い込みを捨てて2番手からレースを進める「先行策」という驚きの戦術を披露。その覚醒した走りと深い内面描写は、多くの視聴者に「もう一人の主人公」という強烈な印象を与えました。

六平 銀次郎 (CV: 大塚芳忠)

六平 銀次郎

中央におけるオグリキャップのトレーナー。飄々とした掴みどころのない雰囲気を漂わせながらも、ウマ娘の本質を見抜く確かな目を持っています。第12話では、レース前にオグリキャップに対し「どんな展開になろうと、お前はお前の走りをしろ。耐えるんだ」と、彼女の精神的な支柱となる的確なアドバイスを送りました。本作のWEB予告ナレーションも担当しており、その渋い声で物語に深みを与えています。

小宮山勝美 (CV: 白石涼子)

小宮山勝美

タマモクロスのトレーナー。タマモクロスのことを「タマちゃん」と呼び、深く愛情を注いでいます。第12話では、愛バのコンディションが過去最高潮であることを見抜くも、レース本番での彼女のまさかの先行策には「なんでや!?タマちゃん!」と絶叫。史実における小原伊佐美調教師の驚きと心境を代弁する重要な役割を担い、物語にリアリティとコミカルさをもたらしました。

ロードロイヤル (CV: 山村響)

ロードロイヤル

逃げを得意とするウマ娘。第12話の天皇賞(秋)では、果敢にハナを切り、自分のペースでレースを支配しようと試みます。彼女の存在がレース展開に戦略的な深みを与え、タマモクロスの先行策をより際立たせる重要な役割を果たしました。

カサマツの仲間たち

オグリキャップのカサマツ時代の仲間たち。フジマサマーチ(CV: 伊瀬茉莉也)、ノルンエース(CV: 渋谷彩乃)、ルディレモーノ(CV: 大地葉)らが、寮のテレビで食い入るようにオグリキャップのレースを応援します。特に、テレビ中継の解説に「なってねえぞ!」と野次を飛ばし、熱くなりすぎて中指を立てる(モザイク処理あり)ノルンエースの姿は、「厄介古参オタ」そのもので、シリアスなレース展開の良いアクセントとなり、SNSでも大きな話題となりました。彼女たちの存在は、オグリが孤独な怪物ではないことを示しています。

中指立てんな!

北原 穣 (CV: 小西克幸) & ベルノライト (CV: 瀬戸桃子)

オグリキャップのカサマツ時代のトレーナーと、彼女の最初の親友。カサマツからオグリの走りを見守り、その勝利を誰よりも強く信じています。彼らの存在はオグリキャップの原点であり、彼女が背負うものの大きさを視聴者に伝えてくれます。

魂が震えた第12話、その見どころを徹底解剖

プロローグ:二人の芦毛、運命のニアミスとそれぞれの覚悟

第12話は、レース本編の喧騒に入る前に、タマモクロスの幼少期を描く回想シーンから静かに幕を開けます。母親に手を引かれ、走るのが大好きな我が子のために、より良い環境を求めてカサマツの不動産屋を訪れる幼いタマモクロス。しかし、良い物件は見つからず、落胆する母子の姿が描かれます。そして、その二人を偶然にもオグリキャップの母親が見かけるという、運命のニアミスが演出されました。

ウチ、将来日本一になるんや!

このシーンは、単なるアニメオリジナルの回想ではありません。ネット上でも多くのファンが指摘している通り、このエピソードは史実のタマモクロスにまつわる悲しい逸話を元にしていると考えられます。競馬専門誌『ON THE TURF』には、オグリキャップが生まれた稲葉牧場に、ある男が経営難でガリガリに痩せた母馬と仔馬(タマモクロスとその母)を連れて現れ、「牧場が潰れて飼葉も食べさせてやれないから、ここで育ててくれないか」と懇願したという出来事が記されているそうです。アニメでは直接的な表現こそ避けていますが、タマモクロスが持つ人一倍のハングリー精神や、どこかにある種の「翳り」の背景を、この幼少期のエピソードで巧みに示唆しているのです。もし、あの時カサマツで良い物件が見つかっていたら、二人は幼馴染になっていたかもしれない…そんなIFを想像させ、二人の対決が単なるライバル対決ではなく、深い運命の糸で結ばれた必然であることを視聴者に強く印象付けました。

なんで入れへんのや💦
一部始終をオグリの母親が…

一方、オグリキャップはカサマツの仲間たちから贈られたお守りを握りしめ、静かに闘志を燃やします。前回の毎日王冠で「10対1」という絶望的な包囲網を自らの力でこじ開けた彼女は、もはや地方から来たシンデレラではありません。その走りは、畏怖の念を込めて「怪物」と呼ばれています。六平トレーナーは彼女に「全ての勝利を通して手にした自信は今日この日のためにある」と語りかけ、その言葉はオグリの心に深く、そして確かな覚悟として刻まれます。

「最強」の称号を守り、過去の自分という名の亡霊を振り払うために走るタマモクロス。
故郷の仲間たちの期待を一身に背負い、「怪物」としてターフに君臨するために走るオグリキャップ。

二人の芦毛がそれぞれの譲れない想いを胸に、運命のゲートへと向かう。この静かで、しかし熱を帯びた導入部が、これから始まる魂のぶつかり合いへの期待感を極限まで高めていきました。

レース展開と心理戦①:常識を覆すタマモクロスの「先行策」という名の宣戦布告

G1天皇賞(秋)

ファンファーレが鳴り響き、ついに天皇賞(秋)のゲートが開きます。先手を取ると目されていたトップシュンベツが出遅れるという波乱の幕開け。そして、東京競馬場に詰めかけた12万人の誰もが、そして画面の前の我々も予想しなかった光景がターフに広がります。

12万人の大観衆

本来、後方でじっくりと脚を溜め、最後の直線で全てを爆発させる「追い込み」脚質であるはずのタマモクロスが、逃げるロードロイヤルを射程圏に捉える2番手につけるという、まさかの「先行策」を取ったのです。

逃げるロードロイヤル

この展開には、彼女を知り尽くしているはずのトレーナー・小宮山も「なんでや!?タマちゃん!」と驚愕の表情を浮かべるほかありません。観客も、そして他のライバルたちも、誰もがその意図を測りかねる中、タマモクロスはただ一人、不敵な笑みを浮かべていました。

追うタマモクロス
「なんでや!?タマちゃん!」

なぜタマモクロスは「追い込み」という切り札を捨てたのか

アニメでは、この大胆な戦法変更の理由が、彼女の内面的な、そして壮絶な成長と深く結びつけて描かれています。小宮山トレーナーの回想によれば、タマモクロスはデビューして間もない頃、レース中に集団にもまれて転倒するという悪夢のような事故を経験しています。そのトラウマから馬群を無意識に怖がるようになり、他馬と接触するリスクの少ない後方からレースを進める「追い込み」という戦法を、いわば消極的な理由で確立せざるを得なかったのです。

しかし、春の天皇賞、そして宝塚記念を連覇し、最強の称号を手に入れた彼女は、もはや過去の自分に縛られてはいませんでした。レース中、彼女は自らの心に強く、そして誇らしくこう言い聞かせます。

ヘソで沸かした茶が蒸発してまうわ

「苦手意識から生まれた消極的な走りで勝ち続けようやなんて、ヘソで沸かした茶が蒸発してまうわ。そんなモンは宝塚記念で克服した」

このセリフは、彼女の決意表明そのものです。宝塚記念を中団から差し切って勝利したことで、彼女はトラウマという名の鎖を完全に断ち切りました。そして、オグリキャップという規格外の「怪物」と戦うにあたり、過去の戦法に固執していては勝利はないと本能で理解したのです。これは単なる奇策や博打ではありません。自らの弱さを認め、それを乗り越え、さらなる高みを目指すための「進化」の証でした。彼女が選んだ先行策は、オグリキャップに対する「お前と同じ土俵で、真っ向から叩き潰してやる」という、最強の挑戦者としての強烈な宣戦布告だったのです。

史実における「驚きの先行策」

驚くべきことに、このタマモクロスの先行策は、史実に極めて忠実な描写です。1988年10月30日に行われた実際の天皇賞(秋)でも、タマモクロスは向こう正面で2番手につけ、競馬場全体をどよめきと驚きで包みました。

1988年10月30日に行われた実際の天皇賞(秋)

管理していた小原伊佐美調教師は、レース後に「驚いたよ。まさかあんな戦法を取るとは。足がガクガク、心臓が飛び出るかと思った」と語っており、陣営にとっても全くの想定外だったことがうかがえます。当時、競馬記者としてこの歴史的なレースを取材していたサンケイスポーツの鈴木学氏も、「タマモクロスがオグリキャップより前にいる」という光景に、プロとしてではなく一人のファンとして意表を突かれたと記しています。

史実のタマモクロスは非常にデリケートな性格で、レース前はナーバスになりがちだったと言われています。しかし、この天皇賞(秋)に限っては、陣営が「今回だけは出来も保証する」と公言するほど絶好調でした。アニメで描かれたタマモクロスの自信に満ちた表情と、小宮山トレーナーの「今回は違う」というセリフは、この史実の背景を見事に反映したものと言えるでしょう。

アニメではこの先行策を「トラウマの克服」というキャラクターの内面的なドラマに結びつけましたが、史実では鞍上の南井克巳騎手の冷静かつ大胆な判断がありました。南井騎手は、逃げ馬のペースがそれほど速くないと瞬時に判断し、「この流れなら差されずに済むのではないか」と考え、馬のリズムを尊重して落ち着いて2番手を追走したと伝えられています。アニメは、この名手のファインプレーを、タマモクロス自身の意志と成長の物語として見事に描き変えることで、よりエモーショナルなカタルシスを生み出したのです。

レース展開と心理戦②:怪物オグリキャップの「耐える」という選択

さて、ライバルであるタマモクロスの予想外の、そしてあまりにも大胆な動きに対し、我らが主人公オグリキャップはどう対応したのでしょうか。彼女は後方の中団に位置し、驚くほど冷静にレースの状況を見極めていました。

驚くほど冷静

タマモがすぐ前にいる。焦りが生まれてもおかしくない状況です。並のウマ娘であれば、ペースを乱し、自滅していたかもしれません。しかし、彼女の脳裏には、六平トレーナーから授けられた、たった一言の、しかし何よりも重い言葉が響いていました。

「耐えろ」

「耐えろ」

動揺を抑え込む「勝者のメンタリティ」

オグリキャップは、タマモの奇策に動じることなく、じっと機を窺います。これは、彼女がこれまでの過酷な連戦連勝の中で培ってきた「勝者のメンタリティ」の表れに他なりません。感情に流されず、あくまで冷静に、最も勝利確率の高い選択肢を探る。その姿は、単なる才能の塊ではなく、クレバーなアスリートとしての風格さえ感じさせます。

彼女の心の中には、おそらくいくつかの選択肢が渦巻いていたはずです。タマモに合わせて早めに仕掛けるべきか、それとも自分のスタイルを貫き、府中の長い最後の直線にすべてを賭けるのか。彼女が選んだのは後者でした。それは、自分の持てる力を、そしてこれまでの数多の勝利で証明してきた自分の走りを、絶対的に信頼しているからこその選択でした。

この「耐え」の描写は、オグリキャップというキャラクターの深みを一層増しています。彼女はただ本能のままに走る野生の獣ではなく、戦況を的確に分析し、最適な戦略を導き出せる卓越した知性を兼ね備えた、真のトップアスリートなのです。

「全ての勝利を通して手にした自信」という名の鎧

レース前、六平トレーナーがオグリにかけた「全ての勝利を通して手にした自信は今日この日のためにある」という言葉が、この「耐え」という選択に絶対的な説得力を与えます。

カサマツでの圧倒的な連勝、中央移籍後の重賞6連覇、そして前走・毎日王冠で見せた、歴史に残る壮絶な勝利。その一つ一つの栄光が、彼女の中に揺るぎない自信という名の分厚い鎧を築き上げてきました。だからこそ、最強のライバルの奇策にも動じない。自分の力を100%解放する最高の瞬間が来るまで、冷静に、そして虎視眈々と待ち続けることができるのです。

オグリキャップ出る!

彼女の走りは、タマモクロスが「過去の自分を乗り越えるための走り」であるのに対し、「これまでの自分自身を肯定し、証明するための走り」と言えるかもしれません。二人の対照的な走り方、そのフィロソフィーの違いが、このレースを単なるスピード比べではない、魂のぶつかり合いへと昇華させています。

視点の逆転劇:「主人公」タマモクロスと「ラスボス」オグリキャップ

第12話を視聴した多くのファンが、SNSなどで同様の感想を口にしています。それは、「まるでタマモクロスが主人公で、オグリキャップが最強のラスボスのように見えた」というものです。

白い稲妻タマモクロス

本作のタイトルは『ウマ娘 シンデレラグレイ』であり、主人公は紛れもなくオグリキャップです。しかし、この第12話に限っては、物語の構造そのものが意図的に反転しているかのように感じられました。これは制作陣の卓越した構成力と演出力の賜物と言えるでしょう。

ぜ視聴者は挑戦者タマモクロスに感情を移入したのか

その最大の理由は、前述したタマモクロスの丁寧かつ深い内面描写にあります。恵まれない出自、デビュー後の挫折とトラウマ、そしてそれを乗り越えようとする不屈の強い意志。彼女の背景にある壮絶なドラマが深く描かれたことで、視聴者は自然と彼女の視点に立ち、その無謀とも思える挑戦を心の底から応援したくなったのです。

ウチはまだ、怖がっとるんか?

「ウチはまだ、怖がっとるんか?この場所で、過去のウチに勝てるんか?」

レース中に自問自答を繰り返し、自らを鼓舞する彼女の姿は、見る者の心を強く、そして激しく揺さぶりました。自分の弱さと正面から向き合い、それを乗り越えて成長しようとする姿は、王道スポーツ漫画の主人公そのものです。

タマモクロス先頭に並んだ!

対して、オグリキャップは「怪物」「芦毛の怪物」という異名で呼ばれ、他を寄せ付けない絶対的な強者として描かれます。その圧倒的なまでの存在感は、挑戦者であるタマモクロスの視点から見れば、まさに倒すべき「最後の壁」、すなわち「ラスボス」として映るのです。

この巧みな視点誘導によって、制作陣は単なるライバル対決を、不屈の挑戦者が最強の王者に挑むという、より普遍的で感情移入しやすい物語の構図へと見事に昇華させました。これこそが、『シンデレラグレイ』という作品が持つ、物語構成力の高さを証明するものでした。

史実とのクロスオーバー:1988年「第98回天皇賞(秋)」の真実

『ウマ娘』シリーズの魅力の根幹をなすのは、史実の日本競馬史への深い愛情とリスペクトです。この第12話も、その哲学が隅々まで貫かれていました。

アニメは史実の展開を忠実に再現したのか?

結論から言えば、レースの骨格となる部分は、驚くほど史実に忠実です。

史実(1988年 天皇賞・秋)アニメ第12話の描写忠実度
タマモクロスの先行策2番手につける奇策として詳細に描かれる極めて忠実
オグリキャップの位置取り中団後方で冷静に待機忠実
逃げ馬の存在史実ではレジェンドテイオーアニメではロードロイヤル
スタートでの波乱逃げ宣言のトウショウサミットが出遅れトップシュンベツが出遅れる形で再現
レースの決着タマモクロスが1着、オグリキャップが2着ラスト400mで決着は次週へ持ち越し

このように、タマモクロスが先行し、オグリキャップが中団から追いかけるというレースの根幹部分は、史実を正確にトレースしています。これにより、当時のレースを知るファンは「あの日の驚きと興奮が鮮やかに蘇る」と感じ、アニメから入った新しいファンは「史実でもこんなドラマがあったのか」と、競馬そのものへの興味を深めることができるのです。

史実とアニメの演出の違い、その意図とは

もちろん、すべてが史実のままというわけではありません。最大の変更点であり、本作の白眉とも言えるのが、レース展開にキャラクターの内面的なドラマ、すなわち「心理戦」の要素を色濃く反映させたことです。

史実では鞍上・南井克巳騎手の神騎乗だった先行策を、タマモクロス自身の「トラウマの克服」と「最強であるための進化」という、彼女自身の成長物語に結びつけたのが、その最たる例です。また、史実では単に「ペースが遅いと判断した」であろうオグリキャップ陣営の動きを、精神的な強さを試される「耐え」の戦いとして描きました。

こうした脚色は、史実の出来事を単に映像で再現するのではなく、それをキャラクターの成長物語として再構築し、エンターテインメント作品としてのカタルシスを最大化するための、極めて高度で巧みな演出と言えるでしょう。史実という揺るぎない「骨格」に、キャラクターの「血肉」を通わせることで、『ウマ娘 シンデレラグレイ』は他の追随を許さない唯一無二の魅力を放っているのです。

レースを彩った名脇役たちの輝き

この第12話の魅力は、オグリキャップとタマモクロスという二人の主役だけに留まりません。ターフの上で、そしてターフの外で、物語を支えた名脇役たちの存在もまた、この「神回」を語る上で不可欠です。

カサマツの仲間たちの「厄介オタ」的応援

レースの合間に挟まれる、カサマツの仲間たちの応援シーンも、本作の大きな魅力の一つです。特に、寮のテレビの前でレースを見守るノルンエースとルディレモーノの姿は、多くの視聴者の笑いを誘いました。

中指立てんな!

テレビ中継の解説に「解説がなってない!」「笠松での戦績を無視すんな!」と的確(?)なツッコミを入れ、熱くなりすぎて中指を立てる(もちろんモザイク処理あり)ノルンエースの姿は、さながら「愛が深すぎる厄介な古参オタク」そのものです。彼女たちの姿は、シリアスで緊迫感あふれるレースシーンとの絶妙な緩急を生み出すだけでなく、オグリキャップが決して孤独な怪物ではなく、遠い故郷から熱烈に応援してくれる仲間がいる、愛されるヒーローであることを示し、物語に温かみとユーモアを加えていました。

まとめ:1クール目の集大成と、まだ終わらない伝説へ

アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第12話「天皇賞(秋)」は、緻密に計算され尽くしたレース展開、キャラクターたちの魂がぶつかり合うかのような熱い心理描写、史実への深いリスペクトと愛情、そしてそれを実現するCygamesPicturesの圧倒的な作画クオリティ、そのすべてが高次元で融合した、まさに1クール目のクライマックスにふさわしい、圧巻の「神回」でした。

来よったな、怪物

「外から一気にオグリキャップ!」

実況の絶叫と共に、先頭に立ったタマモクロスに並びかけようとするオグリキャップの姿で幕を閉じたラストシーン。SNSが「ここで終わるのかああ!」「来週まで待てない!」という絶叫と歓喜の声で埋め尽くされたのも当然の結果でしょう。これ以上ない最高のクリフハンガーは、次週への期待を否が応でも高めます。

果たして、この歴史に残る芦毛対決を制するのは、“最強”の意地を見せるタマモクロスか、それとも“怪物”の底力を見せるオグリキャップか。史実を知る者も、知らない者も、ただ固唾を飲んでその運命の瞬間を待つしかありません。

一つだけ確かなことは、二人の芦毛が織りなす伝説は、まだ始まったばかりだということです。この熱狂の続きを、そしてその先に待つ新たなドラマを、心して見届けたいと思います。

関連商品のご紹介

アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』特集号 日刊スポーツ 

この商材はこの作品でなければないんじゃないでしょうか。競馬新聞の「シンデレラグレイ特集号」です。

紹介文を記載しておきます。

日刊スポーツでは「アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』特集号 ~オグリキャップ 生誕40周年 芦毛の怪物よ 永遠に~」を制作し、4月29日から発売します。
今回の特集号では、競走馬オグリキャップの手綱を取った騎手を中心に当時の逸話を詰め込みました。安藤勝己 、河内洋 、南井克巳 、そして武豊 …。ライバル馬に乗っていた 柴田善臣 、川原正一騎手にも話を聞きました。「ウマ娘」オグリキャップ役の高柳知葉さんへの特別インタビューも、たっぷり掲載。「ニッカン×ウマ娘」の特集号でおなじみとなった超特大ポスター紙面は、アニメ「ウマ娘 シンデレラグレイ」の描き下ろしオグリキャップイラストと、番組キービジュアルの豪華両面仕様です! ぜひ特集号をお手元に、絶賛放送中のアニメをお楽しみください! 

アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』コミックス 

魂を揺さぶる、灰色の軌跡をコミックスで追体験!

アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』で、地方カサマツから中央の頂点を目指すオグリキャップの姿に胸を熱くした方も多いのではないでしょうか。その感動の原点であり、より深く物語を味わえるのが、週刊ヤングジャンプで連載中の原作コミックスです。

圧倒的な画力で描かれる「怪物」の咆哮
コミックス最大の魅力の一つは、作画・久住太陽先生による、息をのむほどにダイナミックで迫力に満ちたレース描写です。アニメで感じたレースの興奮が、ページから溢れ出すような熱量で再現されており、オグリキャップが「怪物」と呼ばれる所以を、視覚的に、そして感情的に理解させてくれます。キャラクターたちの気迫のこもった表情、力強い筋肉の躍動、そして勝利への執念が、緻密かつ大胆な筆致で描かれ、読む者をレースの渦中へと引き込みます。

アニメでは描ききれない、濃密なドラマと心理描写
コミックスでは、アニメでは時間の都合上省略されたエピソードや、キャラクターたちのより細やかな心理描写が丁寧に描かれています。オグリキャップが抱える葛藤、ライバルたちとの絆、そして彼女を支える人々の想いが、より深く掘り下げられることで、物語に一層の重厚感と感動を与えています。特に、オグリキャップがカサマツで出会った仲間たちとの日々や、中央への移籍を決断するまでの心の揺れ動きは、コミックスならではの深みで味わうことができます。

史実へのリスペクトと、新たな発見
本作は、史実のオグリキャップが歩んだ軌跡を深くリスペクトし、そのドラマチックな競走馬人生を丁寧に再構築しています。競馬ファンならば思わず唸るような細やかな描写やエピソードが随所に散りばめられており、史実を知ることでさらに物語の奥深さを感じられるでしょう。もちろん、競馬の知識がない方でも、純粋なスポ根ドラマ、成長物語として十分に楽しむことができます。

こんな方におすすめ

  • アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』でオグリキャップの物語に感動した方
  • 史実の名馬オグリキャップの伝説をより深く知りたい方
  • 熱いスポ根漫画や、逆境を乗り越えるシンデレラストーリーが好きな方
  • 『ウマ娘 プリティーダービー』の世界観を別の角度から楽しみたい方

アニメで描かれた「カサマツ篇」の感動を胸に、コミックスでオグリキャップのさらなる激闘と成長の物語を追体験してみませんか。そこには、アニメだけでは味わいきれなかった新たな発見と、より深い感動が待っているはずです。一人の少女が「怪物」へと至るその軌跡を、ぜひその目で確かめてください。

第1クールBlue-Lay

ベスト10入り継続中💦

クリックして応援してね💗

にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村

「ウマ娘シンデレラグレイ」を見れるVODの紹介

「ウマ娘シンデレラグレイ」のアニメは以下のVODで見れるので加入してない人はどれかに加入するといいですよ。

配信サービス月額料金(税込)無料期間特徴
U-NEXT2,189円31日間豊富なコンテンツ数。ラノベやマンガも楽しめ、利用料金の40%がポイント還元。
Amazonプライム600円30日間独占配信や話題作が充実。Amazon利用者におすすめ。
ABEMAプレミアム960円2週間地上波放送中の作品や恋愛番組のオリジナルコンテンツが豊富。

おすすめは地上波と同日配信のABEMA

  • U-NEXT: アニメ以外にもラノベやマンガが楽しめる。ポイント還元で実質的なコストを抑えられる。
  • Amazonプライム: コストパフォーマンスが高く、独占配信が魅力。Amazon利用者には特に便利。
  • ABEMAプレミアム: 地上波作品の視聴やオリジナルコンテンツが充実。テレビ番組やニュースも楽しめる。

特にABEMAをおススメ!月額料金は960円。ABEMAでは地上波放送と同日配信です。

無料放送も多く、コンテンツも充実しています。VODだけじゃなくテレビ番組やニュースも豊富なんでおススメです。

☟アニメ見るならここがおすすめ

2022_MLB

👇今期の覇権作だね!!

【薬屋 46話 感想】禁軍出陣!壬氏と猫猫の再会、そして子翠との約束

☆☆☆☆☆今回はここまで。

👉使用した画像および一部の記述はアニメ公式サイトから転用しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です