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2025年はアニメの記事ばかり書いてきましたが、久しぶりにクルマの話をします。
発端となった日経新聞の記事とその要約
私が拝読したのは、「340兆円の火種、膨らむ中国『サプライチェーン金融』 BYDは5年で7倍」という見出しの記事です。

この記事の要点をまとめると、以下のようになります。
- 中国では、企業が部品メーカー(サプライヤー)への支払いを遅らせることで資金を確保する「サプライチェーン金融」が340兆円規模にまで拡大している。
- 特に電気自動車(EV)最大手のBYD(比亜迪)は、この仕組みを積極的に活用し、仕入れ債務がこの5年間で7倍にまで急増している。
- この手法は、表向きは金融革新に見えますが、実態としてはBYDのような大企業が優位な立場を利用して、下請け企業に資金繰りの負担を転嫁している側面があります。
- 中国政府もこの状況を問題視し始めており、もしBYDのような巨大企業の経営に問題が生じれば、サプライチェーン全体を巻き込む巨大な金融リスクになりかねない、という警鐘を鳴らす内容でした。
この記事が示すのは、BYDの驚異的な成長の裏側にある「危うさ」です。しかし同時に、彼らがここまでの価格競争力を実現できた要因の一端でもあります。この現実を踏まえ、本稿では「日本車は、この中国製EVの猛威にどう立ち向かうべきか」というテーマを、多角的に掘り下げていきます。
なぜ中国EVはこれほど強いのか?BYDの躍進を支える4つの秘密
まず、敵を知ることから始めましょう。中国のEV、特にBYDの躍進は決して偶然ではありません。その強さの背景には、緻密に計算された戦略が存在します。
圧倒的な価格競争力を生む「垂直統合モデル」
BYDの最大の強みは、EVのコストの大部分を占めるバッテリーを自社で開発・生産していることです。特に、安全性が高く低コストな「ブレードバッテリー」は、同社の競争力の核となっています。部品の多くを自社グループ内で完結させる「垂直統合モデル」により、外部環境の変化に強いコスト構造を構築し、他社には真似のできない価格設定を可能にしています。
市場を的確に捉えた巧みな製品戦略
驚くべきことに、EVの覇者であるBYDの販売台数の半分以上は、実はプラグインハイブリッド車(PHEV)が占めています[21](21)。充電インフラが十分でない地域や、長距離移動に不安を感じる消費者のニーズを的確に捉え、「完全なEVの前に、まずはPHEV」という現実的な選択肢を提供したことが見事に成功しました。手頃なモデルから高級ブランドまで、BEVとPHEVの両方で幅広いラインナップを揃え、あらゆる顧客層を取り込んでいます。
巨大な国内市場と政府の強力な後押し
世界最大の自動車市場である中国では、政府の強力な後押しもあり、EVへのシフトが急速に進んでいます。この巨大なホームグラウンドで圧倒的なシェアを確立し、生産台数を増やすことでスケールメリットを享受できたことが、グローバル展開の強固な土台となりました。
驚異的な開発スピードと向上した技術力
かつての「安かろう悪かろう」というイメージは、もはや過去のものです。BYDのEVは航続距離や安全性、デザインの面でも国際的な競争力を有しています。さらに驚異的なのはその開発スピードです。市場のニーズをいち早く察知し、次々と新しいモデルを市場に投入する俊敏性は、日本の伝統的なメーカーが学ぶべき点と言えるでしょう。
👇BYDの強さの秘密はここにあります
EV市場に迫るBYDの脅威~ホンダと日産の経営統合による戦略とは
日本車が直面する危機と逆転へのチャンス
中国勢の猛攻に対し、日本車はただ手をこまねいているわけではありません。しかし、深刻なリスクに直面していることも事実です。ここでは、日本車が置かれた状況を冷静に分析します。
【リスク】EV化の遅れとブランドイメージの毀損
日本メーカーが、特に中国市場で苦戦している最大の理由は、電動化への対応の遅れです。現地の消費者が求める価格帯や性能を持つEVのラインナップが不足しており、結果として販売不振を招いています。「品質は高いが、EVでは選択肢がない」というイメージは、ブランドにとって深刻な問題です。
【リスク】中国に依存するサプライチェーンと地政学
日本の自動車産業は、依然として多くの部品を中国に依存しています。米中対立の激化など地政学リスクが高まる中、このサプライチェーン構造は大きな経営リスクとなります。いつ部品供給が滞るか分からないという不安は、常に付きまといます。
【チャンス】ハイブリッド技術の再評価という追い風
一方で、明るい材料もあります。世界的にEV一辺倒の風潮が落ち着き、充電インフラの課題や電力供給の不安定さから、現実的な選択肢としてハイブリッド車(HV)やPHEVが再評価されています。これは、長年HV技術を磨き上げてきたトヨタをはじめとする日本メーカーにとって、大きなチャンスと言えます。
【チャンス】「品質と信頼」という無形資産の価値
価格競争では中国勢に分が悪いかもしれませんが、日本車には「品質」「耐久性」「信頼性」という、長年かけて築き上げてきた強力なブランドイメージがあります。EVは複雑な電子機器の塊であり、長く安心して乗るためには、故障時のサポート体制や長期的な信頼性がより重要になります。この無形の資産は、日本車が持つ最大の武器です。
苦境の日産は復活できるか?中国市場が握る鍵

日本メーカーの中でも特に厳しい状況にあるのが日産です。かつてEV「リーフ」で世界をリードしたものの、その後のEV戦略で後れを取り、中国市場でも苦戦が続いています。
ホンダとの統合破談とEV戦略の遅れ
先日、ホンダとの経営統合交渉が破談に終わったことは記憶に新しいでしょう。単独ではBYDのような巨大企業に対抗するのが難しくなる中、日本車連合による巻き返しの機会を逸したことは残念です。日産が抱える問題は、EV戦略の遅れだけでなく、より構造的なものと言わざるを得ません。
新型EVは復活のトリガーとなるか?
そんな中、日産は中国市場に新型EVを投入し、好調な滑り出しを見せているというニュースもあります。しかし、中国市場の競争は熾烈を極めます。一つの車種のヒットだけで会社全体の業績をV字回復させるのは至難の業です。この動きが「復活の狼煙」となるのか、それとも「焼け石に水」で終わるのか。中国市場での戦いぶりが、今後の日産の未来を占う試金石となるでしょう。
EV戦国時代の勝者は?日本メーカーの現在地と未来
このEV戦国時代において、日本の各メーカーはそれぞれ異なる戦略で生き残りを図っています。現時点で、どのメーカーに優位性があるのでしょうか。
トヨタ:マルチパスウェイ戦略の優位性と死角
現時点での勝者は、総合力でトヨタと言えるでしょう。世界トップクラスのHV技術を武器に、EV、PHEV、燃料電池車(FCV)など、あらゆる選択肢を用意する「マルチパスウェイ戦略」が、現在の市場の揺り戻しに完璧に適合しています。しかし、その巨大さゆえの意思決定の遅さが、変化の速いEV市場で足かせになる可能性は常に残ります。
ホンダ・スズキ:独自の強みを活かしたサバイバル戦略
ホンダは独自の道を歩むことを選択しました。二輪で培ったモーター技術や、伝統的な走行性能の高さを、新しい時代のEVにどう活かしていくかが問われます。一方、スズキはインド市場での圧倒的な強さが光ります。小型車開発のノウハウは、今後ますます重要になる低価格EVの開発競争において、大きな武器となるはずです。
まとめ:一夜の逆転はない。しかし、未来は創れる
さて、冒頭の問いに戻りたいと思います。「日本車は、中国製EVに勝てるのか?」
私の結論は、「一夜にしての逆転劇はないが、未来を創ることはできる」です。
BYDをはじめとする中国勢の台頭は、一朝一夕に覆せるような現象ではありません。これは、どちらが優れているかという短期的な勝ち負けの話ではなく、100年単位で続く産業構造の変化に、いかに適応していくかという長期戦なのです。
日本車には、HV技術、品質への信頼、そして世界中に張り巡らされた強固な販売・サービス網という、中国勢にはない大きなアドバンテージがあります。問われているのは、過去の成功体験に固執せず、自らの強みを未来の競争軸に合わせて再定義できるかです。
そのためには、伝統的な「モノづくり」の強みを活かしつつ、ソフトウェア開発力を強化すること。そして、クルマを売って終わりではなく、移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティ・プロバイダー」へと自らを変革していく必要があります。
道のりは険しいですが、悲観する必要はありません。日本の自動車産業は、これまでも数々の困難を乗り越えてきました。その底力と変革への覚悟が今、まさに試されています。
👇中国EV「ツケ払いの成長」限界 BYD、仕入れ債務5年で7倍に:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1048G0Q5A610C2000000/
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今回はこれにて終了。
次回またお会いしましょう。
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