はじめに:なぜ今、ジャングリアに「提案」なのか
2025年の夏、日本のエンターテイメント業界は二つの巨大なプロジェクトの動向に固唾をのんで注目していました。一つは、開催前から様々な議論を呼びながらも、まもなくフィナーレを迎えようとしている「大阪・関西万博」。そしてもう一つが、紺碧の海と亜熱帯の森に抱かれた沖縄の地に、鳴り物入りで誕生した新テーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」です。
2025年10月13日に184日間の会期を終える大阪・関西万博は、8月20日時点で来場者数1500万人を突破し、運営収支の黒字化もほぼ確実になるなど、数字の上では「大成功」への道をひた走っています。 しかしその華々しい成果の裏では、ゲストの体験が置き去りにされたかのような運営上の課題が散見され、イベントの真の価値とは何か、私たちに重い問いを投げかけました。
時を同じくして、2025年7月25にグランドオープンしたジャングリアは、まさにその「ゲスト体験」という最も重要な部分で、厳しい船出を強いられています。 開業からちょうど1か月の8月25日現在、SNSや各種メディアには、大きな期待を寄せていたからこそ生まれたであろう手厳しい声が溢れ、「話が違う」「こんなはずじゃなかった」という言葉が、残念ながら散見されるのが現状です。
私自身、10月の3連休に、このジャングリアを訪れる計画を立てています。だからこそ、今の状況を一過性の「初期トラブル」や「炎上」という言葉で片付けてほしくない。かつてUSJをV字回復させた稀代のマーケター・森岡毅氏が率いる「刀」が、社運を賭けて送り出すこの一大プロジェクトが、一時の話題で消費されるのではなく、多くの人々に長く深く愛される場所へと成長してほしい。その切なる願いと、一人の訪問予定者としての純粋な期待を込めて、このブログを執筆します。(カテゴリー「レンタカーを使わない旅」に収録します。)
これは、単なる批判や粗探しを目的としたものではありません。2025年の日本で同時に進行した巨大プロジェクト、大阪・関西万博という大きな祭りが私たちに残した教訓を道標としながら、ジャングリアが秋の本格シーズンまでに体制を立て直し、ゲストからの信頼を回復するために「今すぐ着手すべきこと」を、真摯に、そして建設的に提案するものです。
教訓としての大阪・関西万博:博覧会とテーマパーク、決定的な違い
ジャングリアへの具体的な提案を始める前に、まず私たちは、同じ2025年の夏を彩った大阪・関西万博から何を学ぶべきなのか、その本質を深く理解する必要があります。
万博が示した「ゲスト起点」の光と影
今回の万博は、まさに「SNS万博」と呼ぶにふさわしい現象を巻き起こしました。開催前は会場建設の遅れや費用の問題など、ネガティブな報道が先行しましたが、いざ開幕すると空気は一変します。実際に会場を訪れた人々が、自身のSNSで発信する臨場感あふれる「攻略法」やポジティブな体験談が瞬く間に拡散され、新たな熱狂を生み出し、集客を力強く後押ししました。 これは、運営側が一方的に提供する情報をなぞるだけでなく、ゲスト自身が能動的に楽しみ方を発見し、共有するという、新しい時代のエンターテイメントの「光」の部分を象徴する出来事でした。
しかし、その輝かしい光の裏には、深い「影」もまた存在しました。最も象徴的だったのが、2025年8月13日の夜に発生した大規模な交通麻痺トラブルです。会場と市内を結ぶ唯一の鉄道がストップし、約3万人が帰宅困難に陥るという事態は、夢洲という人工島開催の脆弱性を最も厳しい形で露呈させました。
問題はインフラの脆弱性だけではありませんでした。多くのゲストが不安な夜を過ごす混乱の最中、SNSでは「オールナイト万博」といった言葉が面白おかしくトレンド入りし、一部関係者からもそれに同調するかのような軽率な発信が見られたことは、ゲストに「私たちは運営側の都合で置き去りにされたのではないか」という強い不信感を抱かせました。多くの来場者がアンケートで「満足」と答える裏で、こうした運営の姿勢に失望した声があったことも、決して忘れてはならない事実です。
万博からジャングリアが学ぶべき、たった一つのシンプルな真実
この光と影の物語から、ジャングリアが学ぶべき教訓は、極めてシンプルかつ根源的です。それは、「ゲストは運営側の掲げる指標ではなく、自分自身のたった一度きりの体験で、その場所の価値を判断する」という、商売の基本とも言える真実です。
そしてここに、「博覧会」と「テーマパーク」の決定的な違いが存在します。
- 博覧会(Expo): 半年間の期間限定の「祭り」です。極論すれば、会期中に目標来場者数を達成し、収支が黒字になれば「成功」と見なされます。一度訪れたゲストがリピートするかどうかは、最重要課題ではありません。
- テーマパーク(Theme Park): これから何十年と続き、永続的にゲストを迎え入れなければならない「体験の場」です。リピーターの存在が生命線であり、ブランドへの信頼と愛着を育むことが至上命題となります。
万博は「来場者1500万人突破」「運営黒字化確実」という分かりやすい数字で成功をアピールできます。 しかし、それはあくまで期間限定の「祭り」だから通用する論理です。永続性が求められるテーマパークにとって、一度の「がっかり体験」や運営への「不信感」は、時にブランドイメージへ回復困難なダメージを与える致命傷となりかねません。
ジャングリアが目指すのは、一過性の祭りではないはずです。沖縄の地に深く根を下ろし、世代を超えて愛される永続的な楽園であるべきです。そのためには、万博が残した「ゲスト体験の軽視は、いかにブランドを毀損するか」という重い教訓をこそ、深く、深く胸に刻まなければならないのです。
ジャングリアの現状分析:期待と現実の大きな溝
では、その「ゲスト体験」という観点から、現在のジャングリアが抱える問題点を具体的に見ていきましょう。SNSやメディアで語られているのは、単なる「初期トラブル」という言葉では片付けられない、より構造的な課題であるように見受けられます。
「料金」の問題:見せかけの安さと体験価値のアンバランス
ジャングリアの1デイ・パスは、国内在住者で6,930円。 これは、1万円を超えることもあるTDLやUSJと比較すれば、一見すると非常に良心的な価格設定です。しかし、実際に訪れたゲストからは「実質的には決して安くない」「騙された気分だ」という声が噴出しています。
日経新聞が報じ、多くの体験者がSNSで証言している通り、人気アトラクションは信じられないほどの長蛇の列(「8時間待ち」という報告すらある)で、まともに楽しむには数千円から数万円の追加料金がかかる「プレミアムパス」の購入が、事実上必須になっているのが実態のようです。
これはゲストに深刻な不公平感と、「追加料金を払わなければ楽しませない」というパークからのメッセージとして受け取られかねない強い不満を植え付けます。富裕層やインバウンドをターゲットにするという戦略も、これでは単に「お金を払える人だけが楽しめるパーク」というネガティブな印象を広める結果になり、本来獲得すべき幅広い層のファンを遠ざけてしまいます。

ジャングリアのチケットの種類を再整理
公式サイトの情報を基に、現在のチケット体系を正確に理解しましょう。
チケット種別 | 内容 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
1Dayチケット | パーク内の全アトラクションを利用できる基本の入場券。 | まずはこれがないと始まらない。すべての基本。 |
スパチケット | 「SPA JUNGLIA」のみを利用できる専用チケット。 | パークで遊ばず、絶景のスパと温泉だけを楽しみたい方向け。 |
パーク&スパ 1Dayチケット | 1Dayチケットとスパ利用、さらに500円分のフードカートクーポンがセットになったお得なチケット。 | アクティブに遊び、最後はスパで癒されたい欲張りな方向け。 |
プレミアムパス(オプション) | 1Dayチケットに追加して購入する有料オプション。アトラクションの待ち時間を大幅に短縮できる「魔法の券」。 | ジャングリアを心から楽しみたいすべての人に強く推奨。 |
JUNGLIA EXPRESSパス 4/7は存在しない!「プレミアムパス」の真実
開業前の情報や他のテーマパークのイメージから「エクスプレスパス4」のようなセット券を探している方がいますが、ジャングリアにそのようなセット販売はありません。
プレミアムパスは、乗りたいアトラクションを1つずつ個別に購入するシステムです。これにより、自分の好みに合わせて自由にカスタマイズできるメリットがある一方、「あれもこれも」と選ぶと高額になるという側面もあります。
プレミアムパスの効果:
- スタンバイ・アトラクション: 長い待ち列をスキップし、専用レーンから指定時間に体験できます。
- 整理券対象アトラクション: 当日入園後にアプリで先着順で取得する必要がある無料の「整理券」が不要になります。これも指定時間に体験が保証されます。
- ショー・アトラクション: 一般のゲストより先に鑑賞エリアに入場でき、良い場所を確保できます。
「このアトラクションは絶対に体験したい」というものがあるなら、プレミアムパスの事前購入は必須です。もはやオプションではなく、快適な体験への投資と考えるべきでしょう。
「プロモーション」の問題:「話が違う」を生む期待値のインフレ
料金以上に深刻なのが、事前プロモーションと実際の体験との間に横たわる、あまりに大きな乖離です。特に、パークの目玉アトラクションであるはずの「ダイナソー・サファリ」において、この問題は顕著に表れています。
ジャングリアの公式サイトを開くと、このアトラクションについて、以下のような胸躍る言葉が並んでいます。

「T-REXからの逃走は、 極限の大興奮。」
「最凶の肉食恐竜 T-REX が、突然、襲いかかる!」
「ジャングルの急傾斜や悪路を激しく駆け抜ける、息もつかせぬ大興奮ライド!」
この文章を読んだ誰もが、USJの「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」のような、獰猛な恐竜に追いかけ回される手に汗握るスリルを想像するでしょう。しかし、実際に体験した人々がYouTubeなどで発信する声は、この期待を大きく裏切るものでした。
出典:複数のYouTubeチャンネルのレビュー要約
「USJのようなスリルを期待すると完全に裏切られる。T-REXは出てくるが『襲われる』のではなく『横を通り過ぎるのを見る』だけ。ストーリーに入り込めない」
「『T-REXから逃走』とあるが、クライマックスは本当に一瞬で拍子抜け。『何度も何度も迫る』という公式サイトの表現は過剰。期待値を上げすぎ」
こうした声は、特定の個人の感想ではなく、多くのレビューで共通して見られる指摘です。これは単なる「がっかり」ではありません。ゲストからすれば、大切なお金と時間を投じて訪れた結果、「嘘をつかれた」「裏切られた」と感じても仕方がない状況です。日経新聞の取材に対し、森岡CEOがこうした初期の混乱を「想定の範囲内」と強気の姿勢を見せたと報じられていますが、その運営側の論理と、現場で失望しているゲストの感情との間には、あまりに深い溝があると言わざるを得ません。
【緊急提言】ジャングリアが10月までにやるべき3つのこと
秋の行楽シーズン、そして年末年始というテーマパークにとって最大の商機を前がtジャングリアに残された時間は決して多くありません。今こそ、開業時の混乱から真摯に学び、ゲストの信頼を取り戻すための具体的なアクションを、迅速かつ断固として起こす時です。私がジャングリアを訪れる10月の3連休までに少しでもその変化が見られることを心から願い、3つの緊急提言を行います。
提案1:【即時実行】コミュニケーション戦略の全面的な見直し
失われた信頼を回復する第一歩は、誠実なコミュニケーションから始まります。これは多額の投資を必要とせず、今すぐにでも着手できる、最も重要かつ効果的な課題です。
👇フォロワーが5.1万もいるのに203件しかポストがありません。

- やること①:公式サイト・SNSでの「期待値コントロール」
- 課題: 「極限」「大興奮」「襲いかかる」といった過剰な煽り文句が、現実の体験とのギャップを生み、ゲストの失望を招く最大の原因となっている。
- 提案: 即刻、公式サイトや広告で使用されている文言を見直し、修正してください。 例えば「ダイナソー・サファリ」であれば、「襲われるスリル」を誇張するのではなく、「亜熱帯の森で、リアルな大きさの恐竜たちに出会う本格オフロードアドベンチャー」といった、体験のリアルな魅力を正直に伝える表現に置き換えるべきです。過剰な期待を煽るのではなく、その場所でしか味わえない本当の価値を伝える。ゲストが求めているのは、正直な情報提供です。
- やること②:SNS運用の抜本的な強化と「誠実な応答」
- 課題: ジャングリアの公式X(旧Twitter)アカウントは、2023年11月の開設から2025年8月25日までの約1年9ヶ月間で、投稿数がわずか203件。これは、ゲストとの日常的な対話をあまりにも軽視していると言わざるを得ず、情報発信への意識が著しく低いと受け取られても仕方ありません。SNS上のユーザーの声によって熱狂が作られた大阪・関西万博の事例とは実に対照的です。
- 提案: SNS専任チームを早急に再編成し、投稿頻度を「最低でも1日1回」に引き上げてください。 単なるアトラクションの告知だけでなく、「今日のやんばるの森の天気とおすすめの服装」「アトラクション開発の知られざる裏話」「笑顔が素敵なクルーの紹介」「パーク内で今、咲いている珍しい花」「ゲストから寄せられた質問に答えるQ&Aコーナー」など、血の通ったライブ感のある情報を日々発信し、ゲストが訪れる前からパークとのポジティブな関係性を築けるようにすべきです。そして何よりも、寄せられる批判的な声から目を背けるのではなく、「開業以来、待ち時間やアトラクションの演出に関し、多数の貴重なご意見を頂戴しております。皆様のご期待に沿えていない点を真摯に受け止め、現在、待ち時間緩和のための新システム導入や、一部演出の見直しを急ぎ検討しております」といった公式声明を発表し、非を認め、改善を約束する姿勢を明確に示してください。沈黙は、不信を増幅させるだけです。
提案2:【短期集中】ゲスト体験(UX)の再設計
誠実なコミュニケーションと並行して、ゲストがパーク内で直接触れる体験そのものの改善に、短期集中で取り組む必要があります。
- やること①:機能不全に陥った「待ち時間」システムの信頼性回復
- 課題: 「プレミアムパス頼み」の運営が、通常パスで訪れた大多数のゲストに、耐え難いストレスと不公平感を与えています。一見すると、この問題は無料の整理券システムがないことに起因するように思えますが、実はより根が深い課題です。ジャングリアには既にWEB版と紙版の無料整理券システムが導入されています。しかし、そのシステムが実質的に機能不全に陥っていることこそが、問題の本質なのです。
- ① システムの複雑性: WEB版と紙版の併用は、ゲストにとって分かりにくく、混乱を招いています。
- ② 通信環境の脆弱性: パーク内の電波状況が悪く、WEB版の整理券を取得しようにも「ネットに繋がらない」という声が多数上がっています。
- ③ 供給の絶対的不足: そもそも配布される整理券の枚数が少なく、開園直後に即座に配布終了となるため、多くのゲストがスタートラインにすら立てない状況です。
これら複合的な要因の結果、「無料整理券はあってないようなもの」となり、ゲストは「高額なプレミアムパスを買うか、数時間待ちの行列に並ぶか」という過酷な二択を迫られています。これでは、通常パスの価値は著しく損なわれ、ゲストの満足度は大きく低下してしまいます。
- 提案:既存の無料整理券システムを「誰もが公平に、ストレスなく利用できるシステム」へと抜本的に改革してください。重要なのは「新しい仕組みの導入」ではなく、「今ある仕組みの信頼性向上」です。そのために、10月までに以下の3点を断行すべきです。
- 【最優先課題】パークワイドの無料Wi-Fi環境の整備: これは全てのデジタル体験の基盤です。ゲストがパーク内のどこにいても安定してアプリに接続できる環境を整備することが、あらゆる改善の第一歩です。これがなければ、どんな優れたシステムも絵に描いた餅です。
- 【システム統一】アプリベースへの一本化とUX改善: 混乱の原因であるWEB版と紙版の併用をやめ、TDL/USJのように公式アプリを介した取得方法に原則一本化します。スマホを持たないゲストや操作に不慣れなゲストのために、主要箇所に紙の整理券を発券できるサポートキャストを配置するハイブリッド方式は維持しつつも、あくまでメインは「アプリ」であることを明確に打ち出し、そのUI/UXを徹底的に改善すべきです。
- 【公平性の担保】整理券の「時間分散配布」の導入: 開園直後に全ての整理券を放出するのではなく、例えば「午前9時」「正午12時」「午後3時」のように、一日のうちに複数回に分けて整理券を配布する方式に変更してください。 これにより、朝一で来園できないゲストにも公平にチャンスが与えられ、パーク全体の混雑緩和にも繋がります。また、「整理券が取れなかったからもう帰る」という最悪の体験を減らすことができます。
- 課題: 「プレミアムパス頼み」の運営が、通常パスで訪れた大多数のゲストに、耐え難いストレスと不公平感を与えています。一見すると、この問題は無料の整理券システムがないことに起因するように思えますが、実はより根が深い課題です。ジャングリアには既にWEB版と紙版の無料整理券システムが導入されています。しかし、そのシステムが実質的に機能不全に陥っていることこそが、問題の本質なのです。
- やること②:「世界観」への没入感を高めるソフト面の強化
- 課題: アトラクションのハード(施設)は素晴らしいものの、世界観の作り込みが浅く、ストーリーに没入できないという声が多い。
- 提案: ハードウェア(施設)の改修には時間がかかりますが、ソフトウェア(人的サービスや演出)はすぐにでも改善できます。 「ダイナソー・サファリ」の公式サイトには「草食恐竜保護チームは特殊車両に乗り込み、任務を開始」という、心をくすぐる素晴らしいバックグラウンドストーリーが設定されています。 この設定を、キューライン(待ち列)で流すモニター映像や、アトラクションに乗る直前のクルーのトークに全面的に反映させてください。 「皆さん、我々は草食恐竜保護チームの一員です。これからT-REXが徘徊する危険エリアに突入しますが、必ず皆さんを無事に帰還させます!」といったクルーの一言があるだけで、ライド体験の価値は数倍にも数十倍にも向上します。
提案3:【中長期視点】「沖縄ならでは」の価値を再定義する
目先の課題解決と同時に、ジャングリアが10年後、20年後も輝き続けるために、その根本的な価値を再定義し、強固にする必要があります。
- やること①:コンテンツの「短命の罠」を回避し、唯一無二の価値を磨く
- 課題: 評論家の岡田斗司夫氏は、日本の漫画やアニメは流行り廃りが激しく寿命が短いため、巨額の初期投資が必要なテーマパークのコアコンテンツには本質的に向いていない、と指摘しています。 ジャングリアのオリジナルコンテンツも、いずれは陳腐化するリスクを常に抱えています。
- 提案: ジャングリアは、世界中のどこも真似できない、決して陳腐化することのない「最強の武器」を持っています。それは、世界自然遺産にも登録された「やんばるの森」そのものです。 スリルライドの数や激しさで他の巨大テーマパークと競争するのではなく、「沖縄の亜熱帯の自然そのものを、最高のエンターテイメントとして五感で体験できる世界で唯一の場所」という、誰にも真似できないブランド軸を、今こそ強固に打ち立てるべきです。
- やること②:「沖縄の秋」をテーマにした体験プログラムを打ち出す
- 提案: 私が訪れる10月に向けて、早速このブランド軸を体現するような、秋の自然と連動した体験プログラムを企画・発表してください。 例えば、「秋の渡り鳥を専門家と観察する特別バルーンツアー」や「この時期にしか咲かない花を探すやんばるネイチャーウォーク」、「地元のガイドと巡る亜熱帯の森ナイトツアー」などです。ハード(アトラクション)への投資だけでなく、こうしたソフト(体験プログラム)を季節ごとに充実させることが、何度も訪れたくなる動機、つまりリピーターを育み、「ジャングリアでしかできない本物の体験」を生み出す最も確実な鍵となります。
結論:10月、ジャングリアは生まれ変われるか
ジャングリアが開業初期に直面している厳しい現実は、しかし、悲観すべきことばかりではありません。これほどまでに多くの厳しい声が上がるのは、裏を返せば、それだけ多くの人々がこの沖縄に誕生した新しいパークに、途方もない「期待」を寄せていたことの何よりの証拠なのです。
今、ジャングリアに求められているのは、過去の成功体験に裏打ちされた「想定内」という強気の姿勢ではありません。ゲスト一人ひとりが発信する声に真摯に耳を傾ける謙虚さと、それを即座に改善へと繋げる実行力です。大阪・関西万博が私たちに残した「ゲスト体験こそがすべて」という教訓を活かし、運営側の論理ではなく、ゲスト一人ひとりの「最高の一日」を創造するという原点へと、今すぐ舵を切らなければなりません。
私がこの目でその真価を確かめる10月。その時、ジャングリアが少しでもポジティブな変化を見せ、パークを訪れた人々が、夏の日の失望ではなく、心からの笑顔と思い出を胸に帰路についている。そんな光景に出会えることを、一人のテーマパークファンとして、そして沖縄の新たな可能性に期待する者として、心から願っています。
その小さな、しかし誠実な変化の積み重ねこそが、ジャングリアが単なる「話題の施設」で終わることなく、沖縄の地に深く根を下ろし、何世代にもわたって語り継がれる「特別な場所」になるための、唯一の道なのですから。
☆☆☆使用した画像はジャングリア公式サイトから使用しました。
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