イントロダクション
縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。
10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。
そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。絶望と混乱の中、
イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
この作品は数百年の寿命のイオルフの少女マキア(当時15歳)が人間の軍隊に襲われた村から逃げ出す途中で人間の男の子の赤ん坊を拾うという話しからスタートします。
その後、周囲の力を借りながら息子として育てていくんですが、男の子は人間、寿命は100年もありません。
様々な出来事があったのち、最後に老人となった息子を看取るという結末です。
こういってしまえばエルフと人間の流れる時間の差が生み出す悲劇みたいな話になりますが、この作品はその間のストーリー展開に手が込んでします。
4つの時代背景が織り込まれています。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」の相関図(相関関係)
「さよならの朝に約束の花をかざろう」の登場人物は多くはないのですがやや関係が複雑。
そこで物語の相関関係を相関図を見ながら理解しましょう。
主人公のマキアは数百年の寿命を持つイオルフの控えめな少女。
両親はおらず一族の長老ラシーヌと暮らしています。
イオルフの友人は活発な少女レイリアと優しい少年クリム。
マキアはクリムに仄かな恋心を抱いていますがクリムはレイリアと相思相愛の中。
レイリアは攻め込んだメザーテ軍の意ゾルによって連れ去られてしまいます。
イザーテ王の狙いは長命なイオルフの女性、中でも美少女のレイリアに次世代の王を産ませること。
王国の永遠の繁栄を目指すため、レイリアは王子を産ませるための道具として略奪されたのでした。
一方、マキアはヘルム農場の女主人のもとに転がり込む形で一緒に暮らし始めます。
マキアはヘルム農場でミドのもとでエリアルと一緒に暮らしています。
マキアの髪が金髪から栗色に変化。エリアルの髪色に合わせミドにて染めてもらいました。
決して楽しいことばかりではありませんが、平穏な毎日が続いていました。
そんな時、レイリアがメザーテ王国に連れ去られたことを知り、助けようと決意します。
ミドはエリアルを置いていくよう説得しますが、マキアは連れていくことを決意します。
途中でレイリアの恋人マキアに偶然再会し、一緒にレイリアを助ける策略をします。
しかし策略はあえなく失敗。レイリアがメザーテ王子の子を身籠っていることを知ります。
メザーテ軍のイゾルにつかまりそうになりますが、そこに居合わせたバロウに助けられます。
不思議なバロウ
バロウはイオルフと人間のハーフという設定。
マキアがエリアルと出会った時もそこにいました。
今回もマキアを助けています。
最後の場面も馬車でエリアルを迎えに来ています。
そして最後にこのように言います。
「お前が苦しいだけじゃない別れを教えてくれたことが嬉しくてな」
「ほら行くぞ。また新たな別れに出会うために」
マキアはメザーテ軍の追っ手を恐れ、エリアルを連れ転々と移り住みます。
人間の子であるエリアルは年々成長する一方、長寿族のマキアの外見は全く変わりません。
周囲に親子として振る舞うものの、奇異の目を向けられるため一か所に留まれないのです。
15年目には鉄鋼の街、ドレイルでマキアは大食堂、エリアルは鉄鋼所で働いています。
ある夜、マキアが働く食堂にヘルム農場のミドの長男ラングが現れ、再開を果たします。
(食堂といっても夜は酒場となります)
一緒に農場に戻ろうと想いを告げられたマキアでしたが、その申し出を断ります。
エリアルのことだけをこれからも考えていきたいと。
その夜、初めて酒を飲まされて酔っぱらって帰ってきたエリアルと喧嘩になります。
お前なんか母親じゃない!と
エリアルはラングを部屋に入れたマキアを見て嫉妬でいたたまれなかったのです。
そして次の朝、メザーテ軍のラングを訪ね、軍に入れて欲しいと頼みます。
何と母親のマキアと敵対するメザーテ国の軍人として働きたいというのです。
しかしその本心は愛するマキアを守れる強い男になりたいということでした。
そうしてエリアルはメザーテの軍人になり、マキアに別れを告げます。
マキアも息子のエリアルを失い、ふたたび一人ぼっちに。
そして失意の中、誰かにさらわれてしまいます。
一方、レイリアは娘のメドメルとは引き離され孤独な生活、マキアに会いたがっています。
娘のメドメルは長寿族のイオルフの特質を受け継いでいなかったことが判明します。
ここからは急転直下の展開。
マキアをさらったのは昔想いを寄せていたイオルフのクリムでした。
マキアの髪色は金髪に戻っています。腰よりも髪が長くなるまでクリムに捉えられ、そして栗色の部分は切られたからです。
マキアの髪色は金髪に戻っています。腰よりも髪が長くなるまでクリムに捉えられ、そして栗色の部分は切られたからです。
メザーテ軍に入隊したエリアルは農場時代の幼馴染のディタと結婚しています。
クリム率いるバイエラがメザーテに宣戦布告、戦争状態に。
相関図にもここまでしか書かれていませんが、この後メザーテはバイエラに制圧されます。
しかしクリムは大けがを負い、絶命します。
戦乱の中レイリアを必死で探すマキア、遠くの民家で女のうめき声を。
行ってみると産気づいたエリアルの妻ディタ。足元は血まみれです。
出産に立ち会い、何とか産むことを果たせました。
エリアルは戦火の中負傷します。目を覚ますとそこにはマキアが。
(超高速で展開するのでVODで見返さないと映画の一度きりでは解らないでしょう)
エリアルが目覚めたのを見届けたマキアは静かにいなくなりました。
見どころ
「いってらっしゃい、エリアル。晩御飯までには帰って来るんだよ」
マキアが息子として育てたエリアルに言った言葉です。
エリアルが幼い頃と、亡くなるときに。
エリアルが亡くなった時、回想シーンが終了するとマキアが
”母さん、(泣かないって言う)約束破っちゃう”
と号泣します。
この作品一番の感動のシーンです。
でも、「いってらっしゃい」というのは時間軸の異なる生き物に対して告げるお別れの言葉でもあります。
作中でも農場で飼っていた犬が亡くなり、埋葬するシーンがありました。
「みんな私より先に、ずっと先にこの日が来るんだ」と号泣していました。
でも、静かに「行ってらっしゃい」って告げることが出来たら素敵ですね。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」
親子の愛が言われることが多いようですが、時間軸の異なる生き物同士の愛と関係性についてを考えさせてくれる作品です。たとえ相手が人間ではなくてもね。
マキアの儚い透明感を僕らに静かに浸透するように伝えてくれたのが声優の 石見舞菜香さん。
彼女の天使のような声がこの作品のクオリティを高く引き上げていると思います。
僕が好きな彼女の作品は「お隣の天使様」の椎名まひろです。
まひろちゃん、本当に可愛かったな。
作品はこちら☟
2023年秋アニメとして初回2時間という破格の扱いの大作、葬送のフリーレンとの類似点も指摘できると思います。
あの作品は魔王討伐後の勇者パーティのメンバーの話ですが、主役のフリーレンは寿命が千年以上のエルフ。
その他のパーティは人間です。
勇者ヒンメルの死後、魔王討伐の道を再度10年かけて歩み始めるというストーリーだったと思います(そのうちブログでも紹介します)が、この作品も時間軸の異なるエルフと人間の出会い、そして別れを扱っています。
葬送のフリーレンを見る前にこの「さよならの朝に約束の花をかざろう」を見とくのもいいと思いますよ。
世界観が良く解るようになるはずです。
「葬送のフリーレン」書きました!
「さよならの朝に約束の花をかざろう」
今でも以下のVODでは見ることができます。
無料期間があるのでその間にお試しで見ることができますよ。
僕はU-NEXTで見ました。速度が調節できるんでブログ書くときに重宝します。(アマプラはできません)。
ストーリーを知りたいときは速度を上げ、セリフを確認するときは速度を下げていますね。
気になる配信サービスをクリックして見に行ってはいかがですか。
初回登録は必要ですが、無料期間があるのでその間に解約すれば費用は掛かりません。
配信サービス | 月額料金 | 無料期間 |
dアニメストア | 550円 | 31日間 |
U-NEXT | 2,189円 | 31日間 |
Amazonプライム | 600円 | 30日間 |
Hulu | 1,026円 | 2週間 |
気になったこと
気になったことがひとつ。
キャラクターがなんか平べったいんです。
風景が息をのむほど美しいんで非常に気になりました。
ブログを書くために何回か見直すうちに気にならなくなるかなって思いましたが、やっぱり最後まで気になりました。
なんか雑に書いた下書きのように見えてきます。
背景が重厚なため余計にそう思えてしまうんです。
製作陣には十分意図があってのことでしょうが、なぜこのようになったんでしょうか。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」
このタイトルが意味深ですよね。
さよならの朝とは、そして約束の花とは。
そして「かざろう」というのも「飾ろう」と感じで表現するのが普通。
さまざまな考察があるようですが、僕はあんまり深い意味はないのではと思っています。
映画のイントロダクションにはこのように記されています。
「あの日見た花」「知らない」「心」「叫びたがって」というキーワードが出てきます。
エモーショナルですが、逆に何かを的確に指し示しているようには感じません。
この岡田監督が作りたかった作品のタイトルがこの「さよならの朝に約束の花をかざろう」です。
さよならの朝に約束の花をかざろう~また新たな別れに出会うために
これでいいんじゃないでしょうか。
さよならの朝というのは映画では最期の先に黄泉の国へ旅立つエリアルとの別れを連想しますが、見た人の心象風景の中の朝だと思います。
あなたや僕にとってのさよならの朝と捉えていいと考えます。
さよならの朝にはやはり何か約束してあったことをしたいですよね。
じゃあ約束の花をかざろうか。
そういったライトな感覚で僕は捉えました。
じゃないと重くて肺が潰されそうになります。
ちなみに僕には向日葵の花を棺一杯にかざってあげたい人がいます。
僕より先に亡くなったらの話ですが。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』、おススメです。是非見てね👋
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使用した画像はアニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」公式サイトからお借りしました。