【大阪夫婦旅③】新年極寒のお伊勢参り。冷えてこそ分かる「温もり」の価値

昨夜の「魚屋 十忠八九」での神がかった夜から一夜。
ホテル阪神大阪のふかふかのベッドで目覚めた僕は、これから始まる1日に胸を躍らせていました。

今日は、阪急交通社の日帰りバスツアーで「お伊勢参り」へ。

旅の2日目は、この旅で唯一の「完全お任せ」の日です。
阪急交通社のバスツアー。添乗員さんにすべてを委ねて、ただ乗っていればお伊勢さんに連れて行ってもらえる。
なんと楽な旅でしょう。

……そう思っていた時期が、僕にもありました。

朝の「冷たい洗礼」から始まる1日

前夜の「魚屋 十忠八九」での感動がまだ胸に残る朝。
ホテル阪神大阪の朝食ビュッフェ「マルシェダイニング ネン」へ向かいます。

品数は豊富です。和洋取り混ぜたビュッフェ形式で、大阪らしくタコ焼きまで並んでいる。
「おっ、タコ焼きがある!」
大阪の朝食にテンションが上がり、皿に乗せて一口。

……冷たい。

冷蔵庫から出したてのような、芯まで冷え切ったタコ焼きが、朝イチの口の中に広がります。
外はカリッとしているわけでもなく、中がトロッとしているわけでもなく。
ただ、冷たい。

「……大阪のタコ焼きって、こんなんだっけ?」
妻と顔を見合わせます。
昨夜の「神対応」の余韻が、静かに上書きされていく朝でした。
(観光バスの時間があったのでバタバタしてて写真は撮ってない(撮らない方がいい)です。

(ホテルの朝食全体は悪くないのですが、タコ焼きだけは熱々で出してほしかった。これは切なるお願いです、ホテル阪神さん。)

梅田7時50分集合。「なぜ劇場なのか」の答え合わせ

朝食を終え、身支度を整えて出発します。
集合場所は「梅田芸術劇場」前。7時50分集合。

実は前日、スーツケースを引きながらこの場所の下見をしていました。
梅田のダンジョンを抜け、体感15分。「なぜバスツアーの集合場所が劇場なんだ?」と首をかしげながら。

しかし今朝、集合場所に到着して、その謎が解けました。
周囲を見渡すと、僕ら夫婦と同世代か少し上の方々がぞくぞくと集まってきます。
ご夫婦、女性グループ、おひとり様……。
そして全員が、どこか「劇場に来る人」と同じ雰囲気を持っている。

「そうか。この劇場に来るお客さんと、バスツアーに来るお客さんは、同じ人たちなんだ。」

梅田芸術劇場は、宝塚歌劇や演劇を愛する大人の文化の場。
阪急交通社のシニア向けバスツアーの客層と、見事に一致しているわけです。
「アウェイ感」を感じていた昨日の自分が、少し恥ずかしくなりました。
僕らも、立派な「その客層」の一員なのですから。

添乗員さんの点呼が始まり、バスに乗り込みます。
さあ、お伊勢参りの始まりです。

バスの車窓から。『半分の月がのぼる空』の三重へ

大阪を出発したバスは、高速道路を東へ向かいます。
車窓には、都市の風景がやがて山と海の景色へと変わっていく。

このバスの中で、僕はひとつのアニメのことを思い出していました。
『半分の月がのぼる空』
三重県伊勢市を舞台にした、病院を舞台にした切ない青春ラブストーリー。
主人公の裕一が、入院先の病院で出会った少女・里香と過ごす、儚くも美しい日々。

👇クリックでU-NEXTの見放題に飛びますよ

アニメの中で描かれた伊勢の空、海、街並み。
バスが三重県に入り、伊勢湾が見え始めた瞬間、その風景が重なりました。
「あの空だ」と、心の中でつぶやきます。

ただし、1月24日の三重県の空は、アニメの中の穏やかな夏空とは程遠いものでした。
最強寒波、接近中。

トイレ休憩のドライブインは雪でした

「修行」の始まり。夫婦岩と伊勢海老の試練

最初の目的地は、「伊勢夫婦岩めおと横丁」での昼食です。
バスツアーのメインイベントのひとつ、「三重県産の5つの味覚を食す豪華海鮮ランチ」

テーブルに並んだお品書きは、確かに豪華でした。

  • 刺身5種の盛り合わせ:伊勢海老(半身・約90g)・伊勢鯛・かんぱち・あおりいか・まぐろ
  • :鳥羽産牡蠣鍋(伊勢うどん入り)
  • 揚げ物:開き海老フライ(自家製タルタルソース添え)
  • お重:さめのたれ・あらめ煮・伊勢鯛塩焼き・あかもく・貝の小柱煮・あわびの炙りマヨ・伊勢たくわん
  • ご飯・フルーツ・岩戸の塩ようかん

紙の上では、完璧な豪華ランチです。
しかし現実は、少し違いました。

伊勢海老の刺身が、冷たい。
鯛も、かんぱちも、あおりいかも、冷たい(まあ、それが当たり前だが)。
1月の三重県、最強寒波の中、大型観光施設の広いホールで、冷え切った刺身を食べる。

「……これは修行だ」(震えながら頂きました…)

うちの奥さんも、箸を持ちながら苦笑いしています。
牡蠣鍋だけが、かろうじて温かかった。
「海のミルク」と称される鳥羽産の牡蠣は、確かに濃厚で美味しい。伊勢うどんのもちもちとした食感も、冷えた体に染み渡ります。

豪華な食材が揃っているのに、温度という一点だけで、体験の質が大きく変わってしまう。
旅のグルメとは、難しいものです。

禊の地、二見興玉神社へ

二見興玉神社

昼食の後は、徒歩で「二見興玉神社」へ。
伊勢神宮への参拝前に、ここで禊を行うのが古来からの作法だそうです。

海岸沿いの参道を歩くと、冬の伊勢湾が広がります。
鉛色の空と、白波を立てる荒れた海。
その先に、しめ縄で結ばれた「夫婦岩」が、どっしりと構えていました。

夫婦岩

大きな岩と小さな岩が、しめ縄で結ばれている。
夫婦の絆を象徴するその姿に、妻が「私たちみたいだね」と言いました(……と言ってほしかった。)。
どちらが大きい岩で、どちらが小さい岩かは、あえて言いません。

「若がえる」

境内には、カエルの石像がたくさん奉納されています。
「無事カエル」「お金がカエル」「若がえる」……。
縁起物のカエルたちに囲まれながら、二拝二拍手一拝。
これで禊は完了です。

外宮参拝。静寂の中の神域

バスで移動し、「伊勢神宮・外宮」へ。
衣食住をはじめ、すべての産業の守り神・豊受大御神を祀る場所です。

外宮の御祭神・豊受大御神は、衣食住を司る「食の神様」です。
天照大御神のお食事を整えるために、はるか丹波の国から伊勢に迎えられた神様で、今から約1500年前のこと。以来、毎朝・毎夕、欠かさず神様のお食事をお供えする祭りが続けられているといいます。

「食の神様の前に立って、今日の昼飯の刺身が冷たかったことを思い出すのは、罰当たりだろうか」

そんなことを考えながら、二拝二拍手一拝。
内宮が「日本人の心のふるさと」なら、外宮は「日本人の胃袋のふるさと」なのかもしれません。

「伊勢神宮・外宮」

外宮の参道は、内宮と比べると訪れる人が少なく、静かです。
玉砂利を踏む音だけが響く参道を歩くと、日常の喧騒が遠ざかっていく感覚があります。
巨大な杉の木々が参道を覆い、その隙間から差し込む冬の光が、神域の厳かさを際立たせていました。

「お伊勢さんにはおみくじがない」と添乗員さんが教えてくれました。
「伊勢へ参拝する行為そのものが、大吉なのです」と。

なるほど。
来ること自体が、すでに大吉。
その言葉が、なんだか心に響きました。

内宮・おかげ横丁。そして『ざつ旅』の聖地へ

この旅のクライマックス、「伊勢神宮・内宮」です。
日本の総氏神・天照大御神を祀る、日本人の心のふるさと。

宇治橋を渡り、五十鈴川の清流沿いの参道を歩きます。
川沿いの石畳、玉砂利の参道、そびえ立つ杉の大木。
ここは、アニメ『ざつ旅-That’s Journey-』の聖地でもあります。

ざつ旅でもここで禊をしてましたね

主人公の鈴ヶ森ちかが、ひとりでふらりと旅をしながら、その土地の空気を吸い、食べ、感じる物語。
彼女が伊勢を訪れたエピソードで描かれた、この五十鈴川の石畳。
「ここだ」と思いながら、同じ場所に立ちます。

アニメの聖地巡礼の醍醐味は、「同じ場所に立つ」ことではなく、「同じ空気を吸う」ことだと、僕は思っています。
ちかちゃんが感じた伊勢の空気を、今、僕も吸っている。
それだけで、十分です。

参拝を終え、おはらい町のおかげ横丁へ。
江戸時代の伊勢の街並みを再現した、賑やかな横丁です。
土産物屋、食べ歩きの店、伊勢うどんの店……。
寒さの中でも、多くの観光客で賑わっています。

そして、「赤福本店」

『ざつ旅』でちかちゃんが食べていた、あの赤福。
本店の店内に入ると、温かい空気と、甘い香りに包まれます。
縁側のような席に腰を下ろし、注文したいのですが…
前にはざっと80人程度が並んでいます。

「断念!!」

この人込み。赤福の前は本当に長蛇の列でした。
さすがにカメラに収めるのも気が引けたので写真は撮っていません。


おかげ横丁の酒屋さんでお酒を買ったときに頂いた一杯のお茶が、今日一番の「ご馳走」でした。
冷えた体に、甘さと温かさが染み渡っていく。
旅の幸福とは、時に、こんなにシンプルなものです。

ちかちゃんが旅の中で感じていた「何気ない幸せ」の意味が、少しわかった気がしました。

帰路と「最高のコンビニ晩酌」

バスは大阪へ向けて出発します。
車内では、疲れた参加者たちが思い思いに過ごしています。
僕らも、シートを少し倒して、うとうとしながら帰路につきました。

梅田に帰着したのは、夜の8時頃。
約12時間のバスツアーが終わりました。

「今日は、もう何もしたくない」
妻の言葉が、すべてを代弁しています。

ホテルへの帰り道、コンビニに立ち寄ります。
おでん、唐揚げ、ビール、チューハイ。
両手に袋を提げて、ホテルの部屋へ。

部屋の天然温泉「徳湯」で、冷え切った体をじっくりと温めます。
茶褐色のお湯が、今日一日の疲れを溶かしていく。

湯上がりに、ベッドの上でコンビニのおでんを開けます。
ビールを一口。

「……最高だ」

伊勢海老の刺身でも、牡蠣鍋でもなく。
コンビニのおでんとビールが、今夜の最高の晩餐です。
旅の贅沢とは、時に、こういうことなのかもしれません。

テレビをつけると、天気予報が「明日も寒波が続く」と告げていました。
明日は神戸。
異人館の坂道と、南京町の「罠」が、僕らを待っています。


📍 今日の旅データ

バスツアー阪急交通社「梅田発 伊勢神宮大吉参拝と三重県産伊勢海老含む5つの味覚を食す日帰り」
料金1名 12,980円〜
集合場所梅田芸術劇場前(7:50集合)
聖地①五十鈴川・石畳(『ざつ旅-That’s Journey-』)
聖地②赤福本店・おかげ横丁(『ざつ旅-That’s Journey-』)
今日のMVP赤福2個とお茶(約300円)
夕食コンビニおでん+ビール(部屋飲み)

…明日は神戸の方に足を延ばしてみようと思います。

それでは、また見てね👋


びわおちゃんブログをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です