80.中国EV特許でBYD独走 日本進出のBYDのEV車に死角はないのか?

ホンダヴェゼル購入記№80

今回は日経新聞『中国EV特許でBYD独走 世界展開視野、トヨタも引用』(2022.11.7)のレビューです。

中国EV特許でBYD独走

中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が国際的に存在感を高めている。日本経済新聞社が専門家の協力を得てBYDのEV関連の特許を分析すると中国勢の中で出願数が突出し、日米欧での出願も伸びていた。

独自の蓄電池「ブレードバッテリー」は他社の特許で多く引用されていた。中国だけでなく世界市場でも侮れない存在になる可能性がある。

日本経済新聞2022.11.7

特許を縦に爆走するBYD

突出するBYDのEV特許数

下の図は中国の自動車メーカーのEV特許出願数の推移です。BYDが突出していることが判ります。

BYD(ビーワイディー)は世界6大陸・70超の国と地域・400超の都市でEVを展開する世界最大級の中国の自動車メーカーです。

日本にも2023年1月にATTO3(アットスリー)の販売を開始します。

日本経済新聞より

2022年にガソリン車の生産を終了

BYDはパソコン向けなどの電池事業で1995年に創業し、その田知事事業の経営資源を2003年に自動車事業投入し、本格的にEV(電気自動車)市場に参入しました。

BYDの最大の強みは数々の特許で守られた「ブレードバッテリー」です。従来のバッテリーに比べ大幅な軽量化を実現したため、EV車の弱点である航続距離を大幅に向上させました。

2022年3月にはガソリン車の生産をやめて、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみの生産に移行しています。

「ブレードバッテリー」を擁するBYDの強みで、いち早くすべての車の電動化を実現しました。

電動化の要因は突出するBYDのEV特許数

この要因は「特許」であると記事では分析しています。

このように記載されています。

特許分析を手掛ける知財ランドスケープ(東京・中央)の協力を得て、中国でEVを販売する中国主要4社のEV関連の特許出願を分析した。特許出願件数が最も多いのはBYDで1557件。2位の浙江吉利控股集団の870件の1.8倍にもなる。3位は奇瑞汽車(640件)、4位は上海汽車集団(448件)だった。

BYDは海外での出願でも他の3社を圧倒し、世界展開を見据えるのがうかがえる。

欧州では171件で出願総数に対する比率は11%を占める。

米国では139件(8.9%)、日本で49件(3.1%)出願していた。

浙江吉利控股集団は870件に対して欧州58件(6.7%)、米国33件(3.8%)、日本8件(0.9%)にとどまる。奇瑞汽車は数件、上海汽車はほとんどなかった。

日本経済新聞より

出遅れが目立つ日本のEV

記事では2022年のEV販売台数の予測を紹介しています。

1位がテスラ、そしてBYDは2位に付けています。

日本メーカーは・・・とみると7位にルノーと提携した日産と三菱の名前が。

明らかに出遅れが目立ちます。

しかも、今、日産とルノーとの間には長年の蜜月の破綻があります。

ルノーが日産への出資比率を大幅に下げ、別途EVの自動車メーカーを立ち上げようとしています。

もはや日産のEV技術は習得し得たと言わんばかりです。

bZ3をトヨタと共同開発

記事中にこのような記載がありました。

トヨタはBYDの技術力を評価し、協力関係にある。10月、BYDと中国市場向けに共同開発したEV「bZ3」を近く発売すると発表した。

残念ながらこれ以上の記述はなかったので調べてみたらトヨタが下の公式サイトで発表していました。

TOYOTA bZシリーズ第2弾「TOYOTA bZ3」を中国で発表

日本で発売済みのSUV、bZ4Xと並んで映っています。

写真で見る限りはbZ4Xのセダンバージョンのようです。

☆☆☆☆

ホンダも中国でEVの展開を独自展開していますが、なかなかBYDの壁は厚く、成功しているとは言い難いようです。

ちなみにこのNS1(エヌエスワン)はヴェゼルそっくりなEVなのでいずれヴェゼルの派生ラインアップのEVとして日本に参入してくるかもしれませんね。

BYDが2023年1月にATTO3で日本上陸

ATTO3(アットスリー)は売れるのか

僕は今年の7月にBYDが日本進出を表明した際、その軽量さと日本進出への本気度に驚愕しました。

詳しくは下の記事に書いたんだけど、ここでも搔い摘んでお話します。

まずはその車体の軽量さです。

日産のアリア、トヨタのBz4xと比較すると200㎏程度軽量に仕上がっています。これは効率的に床面に張り詰めることが可能なブレードバッテリーを使っているからです。

特許製品なので日産やトヨタは勝手に使うことはできません。

モーター出力レベルは同等です。

そうなるとどうかというと、圧倒的に速いということになります。

0-100km/hが7.3秒です。

これがどれくらい速いかというと、スバルのBRZが7.6秒、トヨタのMR2 III 1.8 16v VVT-iとマツダのロードスター 2.0i (NC)が7.9秒なんだそうです。7.3秒だとレクサスES350がこの数値です。

ATTO3とアリア、Bz4xの比較

価格は現段階では未発表ですが450~500万円で買えると考えています。

EV補助金を使えば東京都民なら300万円で買える価格帯になります。

実車も見てきましたが、カッコいいですよ。

是非下のブログで見てみて下さい。

以上、総合的に判断して『ATTOは売れる!』です。

BYDに死角はないのか

BYDは2023年1月にATTO3で日本進出し、立て続けにコンパクトカーのドルフィン、スポーツセダンのシールを展開する計画です。

しかも韓国メーカーのようにネット販売ではなく、全国に100拠点の販売店を設立すると言っています。

BYDが日本進出に関して表明したことをまとめます。

  • 2023年1月販売のATTO3を皮切りに日本で3車種を販売
  • 2025年末までに全国47都道府県に100店舗以上を展開
  • 自社のオートファイナンスをジャックスと提携して提供
  • BYD独自のサービスを生かした自社ブランドの保険を提案
  • 純正部品だけでないカーアクセサリーを提供
  • 自宅での充電設備の提案、出先で使えるカードの提案
  • 新車は4年10万㎞の保証、バッテリーは8年15万㎞の保証

テスラのように単に車を売る売り切り型の商売ではなく、顧客を囲い込む戦略に見えます。

一見BYDの日本進出に死角は無いように見えますが、僕には次の3点で課題があると考えています

  1. EV補助金が日本車同様に受けられるのか
  2. 販売店のサービス品質は担保できるのか
  3. メンテナンス・修理部品の価格は?

まずはEV補助金の問題です。これは8月の先行展示会でATTO3の営業担当の方から聞いた話ですが、なかなかEV補助金申請が上手く行っていないとのことでした。

国からの令和4年度のEV補助金は最大95万円です。別途補助金を制定している自治体もあり、東京都は最大60万円の補助があります。

この補助金が受けられなければ幾らコスパのいいBYDのEV車でも日本車に太刀打ちできないでしょう。

一方、日本車メーカーにとっては中国車に市場を荒らされたくないのが本心でしょうから、日本政府に対して何らかの圧力をかけるであろうことは容易に想像できます。

2点目の販売店ですが、2.3年で日本全国に100店舗以上展開するためには中国からそれだけの人員を投入するとは到底考えられません。

巷では中古車ディーラーや自動車整備工場を傘下にするフランチャイズ展開なのでは?など噂されています。

展開の方式はどうであれ、短期間にこれだけの数の拠点をつくるのですからサービス品質にばらつきが出るのではないかと懸念されます。

もちろんサービスレベルについてもです。中国人と比べ、日本人はきめ細やかなサービスを好むと言われます。

日本のオーナーに販売店のサービス品質が受け入れられるかは一抹の懸念が残ります。

3点目はメンテナンス・修理部品の価格です。

BYDのEV車は輸入車とはいえドイツ車や北欧車より価格は安くなります。そうすれば当然日本車を購入している層が購入ターゲットに入ってきます(僕のようにね)。

一般的に輸入車のメンテナンス・修理部品は国産車よりかなり高くなります。

今までの輸入車オーナーなら、それなりの収入があるのでたいして問題にはなりませんが、そうではない普通の人が(安い輸入車の)BYDを購入し、メンテナンスに出したら愕然、ということが起こり得ると僕は考えています。

理由にはいろんな問題に加え「大人の事情」もあります。

BYDが果たして幾らの価格設定をしてくるかを僕は注目しています。

☆☆☆

今日はここまで、それでは、またね👋

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