ホンダヴェゼル購入記№75
タイヤを巡る新たなプロジェクト
使用済みタイヤのリサイクル
2022年2月にブリヂストンとENEOSは使用済みタイヤを分子レベルまで分解して化学原料を回収する「ケミカルリサイクル」と呼ばれる手法を使った仕組みの実用化を目指す共同プロジェクトをスタートさせました。
言うまでもなく廃タイヤの大半は償却して処分されます。2021年の日本国内の廃タイヤは9,100万本です。大半の償却による二酸化炭素の排出量は膨大な量でしょう。
また、原料のゴムの木も無尽蔵にあるわけではありません。計画的な伐採の量を超えてしまうと環境破壊につながります。
これら2つの問題を解決するため、「使用済みタイヤのリサイクル」は大きな役割を果たします。
ブリヂストンでは実用化をめざす2030年までに再生プラントなどを含めて約200億円を投じるとのことです。
この事業を将来の大きな柱と位置づけ、2050年には年60万トンのタイヤの再利用を目指しています。年間の二酸化炭素(CO2)削減量は146万トンになるんだそうです。
遠隔監視で事故の未然防止
つい最近ではタイヤが原因の静岡県小山町の観光バス横転事故がありました。運転手がフットブレーキを多用した結果の「フェード減少」の発生でタイヤ内部が焼け、ブレーキの利きが悪くなったというものです。
このような事故を未然に防止するための技術開発が競争が盛んにおこなわれています。
ブリヂストン:リアルタイムモニタリング
ブリヂストンはトラックのタイヤの空気圧と温度を遠隔で常時監視し、異常の早期発見につなげる新サービス「リアルタイムモニタリング」を2022年9月下旬に始めました。
ホイールに取り付けた装置でタイヤの空気圧を測り、測定データを車からサーバーに数分おきに送り、車両管理者などが数値を確認できるというものです。
横浜ゴム:タイヤソリューションサービス
横浜ゴムは2022年5月よりタイヤの空気圧を遠隔監視するシステム「タイヤソリューションサービス」の実証実験を開始しました。
京都タクシー(京都府亀岡市)と興進タクシー(京都市)が保有するタクシー車両で始めています。
センサー付きのタイヤを装着し、タイヤのデータを取得・分析するというものです。
IoTタイヤから得られた情報をドライバーや様々な事業者に提供することで新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、安心・安全な運行に持続的に貢献することを目指しています。
日本ミシュラン:ミシュランタイヤケア
日本ミシュランは2021年6月より自社タイヤのオーナー向けに「ミシュランタイヤケア」というデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを実施しています。
通信機能を備えた測定器を使い、タイヤの溝や空気圧を点検し、取得したデータを、近距離無線通信「ブルートゥース」を使って機器からスマホやタブレットに送ります。
タイヤの状態のデータをアプリに蓄積していくと、ミシュランのシステムがタイヤ交換や空気圧調整の時期を予測し、車両ごとに必要な補修作業を一覧でまとめたリポートを自動で作るというものです。
タイヤを巡る「その先」の技術開発
タイヤの空気圧監視や安全運転支援に加え、「その先」の技術開発も進んでいます。
住友ゴム工業:センシングコア
住友ゴム工業は「センシングコア」という開発中の独自技術を開発中です。センシングコアはタイヤの摩擦係数や空気圧のデータなどから滑りを防止するなどの自動車の安全性を高めるのはもちろん、二酸化炭素(CO2)排出量の低減や燃費向上につながるというものです。自動運転技術の進歩のためにも必要な技術だと言われています。
住友ゴム工業によると「道路と唯一接する部品であるタイヤからはあらゆるデータの取得が可能」だということです。センサーやバッテリーなどの物理的な部品の取り付けは不要で、車載コンピューターにソフトウエアをインストールすることで利用できます。メーカーを問わず、あらゆる車両やタイヤに対応できるのが特長です。
横浜ゴム:「SensorTire Technology Vision」
横浜ゴムはタイヤに取り付けたセンサーを通じ、タイヤの減り具合を把握できるシステムを開発しています。このセンサーのデータを基にタイヤの装着位置の交換などを通じて、タイヤを長持ちさせることができるようになります。
さらに2025年をメドに「路面状況」も把握できるセンサーを開発中です。凍結して滑りやすい道、舗装状態が悪い道、急勾配の道など主に悪路を把握することに使えます。
ブリヂストン:「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」
ブリヂストンは、東京大学、日本精工、ローム、東洋電機製造と共同で、道路からインホイールモータ(以下:IWM)に直接給電できる「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」を開発しています。
これは、電気自動車(EV)に必要な受電から駆動までのすべての機能をタイヤの内側に配置することで、走行中ワイヤレス給電性能、モータ性能、車両への搭載性を大幅に改善することを可能にするものです。
今後、2022年までにタイヤを含めた車両での評価を行い、他の組織・企業が持つ様々な領域の知見を広く取り入れながら、2025年に実証実験フェーズへの移行を目指します。
このプロジェクトがユニークなのは「交差点の信号近くの路面に給電装置を備える」という点です、つまりEVが交差点で減速したり停止したりする際に自動で充電できるということ。
運転中に絶え間なく充電できることで大容量のバッテリーは不要になり、車体の軽量化につながります。自宅や商業施設などにもEV充電器を設置しなくて済むようにもなります。
技術開発競争の背景
ブリヂストン、背水の再出発 世界で工場4割削減
上記見出しのタイトルで日経電子版に記事が掲載されています。
記事にはこのように書かれています。
ブリヂストンはタイヤから派生する新たなビジネスを模索しています。
ブリヂストンが世界の工場の約4割を減らす大規模なリストラを進めている。仏ミシュランに世界シェア首位の座を奪われ、後発の中韓勢の追い上げで収益力もじりじり落ち込んでいる。
電気自動車(EV)や、通信機能を持つコネクテッドカーが中心となる未来の車社会でタイヤ専業としてどう生き残るか。痛みを伴う構造改革の先に、タイヤから派生する新たなビジネスで稼ぐ「第3の創業」を模索する。
日経電子版
アジアンタイヤの高品質化による競合激化
さらにこのように続けられています。
売上高の7割を占めるタイヤ販売でも中韓勢の追い上げにあう。タイヤビジネス誌によると低価格タイヤに強い韓国ハンコック、中国の中策ゴム、台湾の正新ゴム工業が20年の世界シェアでトップ10に入った。3社合計のシェアは8.6%と、世界3強の一角である米グッドイヤー(7.5%)を上回り、ブリヂストン(13.6%)にもじりじりと迫る。タイヤの競争力を高めるにはリストラは不可欠だった。
日経電子版
この背景にはアジアンタイヤと言われるアジアや中近東で製造される低価格タイヤの台頭があります。
日経の記事で名指ししている中国の中策ゴムや台湾の生新ゴム工業が世界シェアのトップ10に入っています。
これらのアジアンタイヤは10年前だと「安かろう悪かろう」という程度の品質でしたが、昨今は低価格を維持しながら大手メーカーに負けない品質のタイヤが多数市場に出回るようになりました。
タイヤのネット通販の台頭による販売チャネルの急増
アジアンタイヤが市場に出回るようになった大きな要因がタイヤのネット通販の存在です。
日本でもタイヤ通販最大手のオートウェイが大々的にアジアンタイヤを販売し、タイヤネット通販年間販売数ナンバーワンの地位を獲得しています。
僕もオートウェイでヴェゼルの18インチタイヤ4本交換しました。取り付け料込みで4万円です。
18インチタイヤって高いので一般的には10万円以上します。国産タイヤだったら18万円程度が覚悟が必要ですが、驚く低価格でネット通販ではタイヤの交換ができるんです。
タイヤ交換についてはこの記事を参考にしてください。
☞39.オートウェイでタイヤ購入 僕が決めた3つの理由(おまけ付き)
タイヤのネット通販が圧倒的に安い
今、タイヤのネット通販が圧倒的な価格の安さで人気です。
取付も提携の整備工場が実施してくれるし、タイヤをネットでポチってそこに送ってもらい、取付に行くだけです。
僕がおすすめしているタイヤのネット通販は次の4社です。
下の記事でもそれぞれの良さについて書いています。
- オートウェイ
- タイヤフッド
- フジ・コーポレーション
- タイヤワールド館BEST
価格という点ではオートウェイが圧倒的なんですが、それぞれにいい点があります。
気になる方は下の記事を読んでみてくださいね。
タイヤ通販選びに悩んだらこの記事読んでね