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『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』第27話「国語教師はブロンドヘア」。
新しい国語教師の登場から始まり、眉毛による居残り補習、日本式告白による正体発覚、自由すぎる衣装大会へ――。
普通のアニメなら三話くらい使いそうな内容を、今回も一気に走り抜けました。
笑っているうちにナディー先生の過去へ触れ、胸が静かになった直後にはキャプテン・アメリカ。余韻に浸ろうとすれば、「ボツです!」の連打が待っています。
情緒にも交通整理が必要です。
※ここからは第27話のネタバレを含みます。
ナディー先生初登場|常識人を願ったら黒船が来た
前任の国語教師は、宝くじに当たって退職しました。
教師交代の理由から、すでに自由です。
早期退職を望む人は多いものの、やがてお金が足りなくなり再就職するまでがワンセット――そんな現実的な話には、唐音のツッコミが刺さります。
「何そのアンハッピーセット」
夢の宝くじに、急に生活費の請求書を添えないでください。
そこから恋太郎たちは、新しい先生の姿を想像します。本が好きな人、優しい人、円滑に授業を進められる常識人。求めている条件は、ごく普通です。
ところが――。
「このアニメの新キャラだぞ」|常識への期待が消えた瞬間
「このアニメの新キャラだぞ」
そうでした。
『100カノ』に新キャラクターが登場するのです。
常識人である可能性は、教室の扉が開く前にほぼ消えました。
漢字だけでしゃべる国語特化型、ちょんまげ姿の日本文化特化型。予想がどんどん妙な方向へ向かうなか、扉から現れたのはブロンドヘアにカウボーイ服、星条旗柄のスカーフをまとった女性でした。
「ハロー、ジャパン・スクール・ピーポー!」
国語教師を待っていたはずです。
黒船が来ました。
ナディー先生は「アメリカから来た」と名乗り、教師が真面目な服を着る必要はない、アメリカ出身だから英語を教えると決めつけるのもよくないと訴えます。
主張そのものは、なかなか筋が通っています。
ただし英語が、びっくりするほど自由形です。
「そんで英語クソ下手なのは何なの?」
唐音、今日も速い。全員が飲み込んでいた疑問を、迷いなく投げました。
しかしナディー先生は、ネイティブな英語が日本人に通じていないだけだと押し切ります。
押し切れてはいません。勢いで次の話へ進んでいるだけです。

眉毛ボーイの補習|居残り理由が理不尽すぎる
「ああ、眉毛ボーイ!」
ナディー先生が目をつけたのは恋太郎でした。
名前を聞いても、彼女の中では眉毛ボーイ。さらに放課後の居残り補習まで命じます。
理由は、眉毛が授業妨害だから。
眉毛本人にも、言い分くらいはあるでしょう。
とはいえ、ナディー先生の目的は授業ではありません。恋太郎と二人きりになり、アメリカ式を掲げて距離を縮めることでした。
顔が近い。ハグも近い。いろいろ近い。
恋太郎が戸惑えば、「アメリカではノーマル」と押してきます。便利すぎます、アメリカ。
けれどハグを重ねるうちに、ナディー先生自身も気づいてしまいました。
これは挨拶ではない。
恋です。
ナディー先生の正体|日本式告白で設定が崩壊
「アイアムと付き合ってください」
教師と生徒という立場も関係ない。恋は自分のハートに対して、完全に自由であるべきだ――。
ナディー先生は、恋太郎へ真正面から交際を申し込みます。
その勢いに嘘はありません。
ただし、その告白が彼女の設定を壊しました。

日本式の「付き合ってください」|初恋が設定を追い越した
「本当は日本人ですよね?」
恋太郎は、ナディー先生の正体を見抜きます。
国語教師になれるほど日本語に詳しい。考え方や服装はアメリカに寄せている。それなのに英語だけは独特すぎる。
そして決定打となったのが、「付き合ってください」という告白でした。
劇中の説明によれば、交際開始の前に明確な告白をする習慣は日本など一部の国に見られ、アメリカではデートを重ねながら関係を築くのが一般的とのこと。
つまりナディー先生は、恋に夢中になるあまり、告白だけ日本式へ戻ってしまったのです。
周りが見えなくなって、つい――。
初恋がアメリカ人設定を追い越しました。
長い説明で暴かれたのではなく、「好き」が先に飛び出して正体まで連れてきてしまう。この抜け方がナディー先生らしいんですよね。
大和撫子24歳|アメリカ滞在時間は約5分
ナディー先生の本名は、大和撫子。
由緒ある大和家の長女で、24歳。日本生まれ、日本育ち、本人いわく「100%日本由来のザ・日本人」です。
ナディーという呼び名も、外国名の「ナディア」などではありません。
撫子からナディー。
思った以上に国内生産でした。
英語が不得意だったため、英語教師ではなく国語教師になったことも判明します。あれほど全身でアメリカを表現しているのに、試験は憧れだけで通してくれません。
さらに、「アメリカから来た」という説明にも衝撃の事実がありました。
来校前日にアメリカへ行き、約5分滞在してから来たそうです。
完全な嘘ではありません。
ただ、設定を支える事実の面積が小さすぎます。
空港の床を踏んだかどうかで成立していそうな「アメリカから来た」。この強引さを堂々と差し出せるなら、たしかにハートはかなりフリーダムです。
大和撫子の過去|蔵のテレビに映った別の生き方
金髪も、カウボーイ服も、笑わせるためだけの格好ではありませんでした。
幼い撫子は、大和家の長女として厳しく育てられます。
着物を着て、琴の稽古をして、日本人らしく振る舞う毎日。
着物や琴が悪いわけではありません。撫子が苦しかったのは、それを好きかどうか、自分で選べなかったことです。
着たくない着物|「長女だから」で閉じられた気持ち
「どうして着たくないお着物を毎日着て、したくないお稽古を毎日毎日しなくてはいけないの?」
動きづらい着物も、好きではない琴も、大和家の長女なら受け入れなければならない。
そこに撫子の気持ちが入る余地はありませんでした。
誰かにとって大切な伝統でも、それを強制された人にとっては、身体を締めつける服になることがあります。
大和家が求めたのは「撫子が好きなもの」ではなく、「大和家の長女に好きでいてほしいもの」でした。
その二つは似ているようで、まったく違います。

ピザとポップコーン|蔵の中で見つけたアメリカ
反省を命じられ、蔵へ閉じ込められた撫子。
乱暴に閉められた扉の衝撃で荷物が崩れ、その奥からテレビが現れます。画面の向こうでは、子どもたちがテレビを見ながらピザを食べ、ポップコーンを抱え、大きなコーラを飲んでいました。
しかも家の中で靴を履いています。
撫子の知る日常とは、何もかもが逆でした。
食べるものも、着るものも、過ごし方も自由に見える。蔵の中にいた少女にとって、あの画面は別の人生へ続く窓だったのでしょう。
だから彼女は、アメリカ人になりたかった。
正確には、自分で自分を決められる人になりたかったのかもしれません。
ところが、金髪とカウボーイ姿になった撫子を家族は拒みます。
「大和家の恥」
「日本人の恥」
「二度とこの家の敷居をまたがないで」
自分で選んだ姿になった日、彼女は家を失いました。
その言葉は、今も残っています。
だから恋太郎に正体を知られた瞬間、ナディー先生は自分を「恥ずかしい人間」と呼んでしまったのでしょう。
恋太郎の告白|「恥」を「素敵」に変えた一言
秘密を知った恋太郎は、勝ち誇りません。
先生のことをもっと知りたくなってしまった。でも、話したくないこともありますよね――。
先に謝るんです。
知りたいという気持ちを持ちながら、相手が話したくない気持ちも置き去りにしない。恋太郎は秘密の扉をこじ開けるのではなく、その前で待てる人でした。
「何が恥ずかしいんですか?」|否定された姿をそのまま受け止める
「何が恥ずかしいんですか?」
日本人なのにアメリカ人のふりをした自分は恥ずかしい。恋人にしてもらえるはずがない。
そう俯くナディー先生に、恋太郎は迷いません。
なりたい自分にひたむきで、それを包み隠さず表現できる先生は素敵だと、真正面から返します。
家族が「恥」と呼んだ、同じ姿です。
金髪も、カウボーイ服も、妙な英語も変わっていません。見る人が変わっただけで、その意味が反転しました。
慰めではないんですよね。
「そんなに気にしなくていい」ではなく、「そこが素敵です」。
否定された部分を小さく隠すのではなく、そのまま明るい場所へ出してくれる。ナディー先生が欲しかった自由は、こういう場所だったのかもしれません。
そして恋太郎は、自分から交際を申し込みます。
キャプテン・アメリカ|告白の着地点まで自由です
恋太郎への気持ちをアメリカ風に伝えようとするナディー先生。
一番偉大な人。キャプテン。自由の国のような人。アメリカ。
言葉を一つずつ積み上げた結果――。
キャプテン・アメリカ。
感情が高まりすぎて、巨大ヒーローへ着地しました。
家族に否定された過去から、「その姿が素敵だ」と受け止められる告白へ。普通なら静かな余韻を残すところですが、『100カノ』は盾が飛んできそうな場所まで連れていきます。
泣かせたまま終わらない。
この容赦のなさ、今回も絶好調です。
自由な衣装大会|「ボツです!」から欲望の大渋滞へ

恋太郎ファミリーへ迎えられたナディー先生は、彼女たちの自由な恋愛関係を絶賛します。
ところが、すぐに問題を発見。
全員が同じ制服を着ています。
一人の恋太郎と大勢の彼女たちが、互いを認め合っている。その恋愛観には驚かないのに、制服には引っかかる。
ナディー先生、自由の検問所が独特です。
「ボツです!」|本人の希望にも容赦なし
「ボツです!」
凪乃が高速で描いた衣装案も、恋太郎たちが選んだ現在の服も、次々と却下されます。
母様からもらったメイド服。自分を隠せる服。みんなに好かれている今の姿。
どれも本人にとって大切な理由なのに、ナディー先生は認めません。
目上の芽衣にも「ボツです!」。
雇用主にも遠慮なし。
自由を教える人が、誰より厳しい。
彼女が求めていたのは、今の自分を説明できる服ではありませんでした。恥ずかしさも立場も全部なくなったら、本当は何を着たいのか。
恋太郎ファミリー、突然の欲望提出テストです。
翌日納品の衣装|羽々里の財力に不可能はない
「発注したみんなの服が届いたわよ!」
翌日です。
デザインした翌日に、全員分の特注衣装が届きました。
羽々里によれば、お金の力はどんな無茶も可能にします。
その顔が、かつて敵だった頃の圧に戻っているのも見逃せません。ファミリー入りして丸くなったと思ったら、財力を使う瞬間だけボスの顔が出てきます。
自由になったのは彼女たちだけではありません。
納期も自由になりました。
製作現場の皆さんには、どうか温かい食事が届いていてほしいところです。
恋太郎ファミリー変身|尻尾、マカロン、覇気、ゆるふわ

芽衣の衣装には、感情に合わせて動く尻尾が付いています。
いつも冷静な顔をしていても、背後が全部しゃべってしまう。高性能ですが、従者としては致命的です。
静は、お姫様。
「歩け、お姫様!」に「姫は歩くだろ」と即座に返されます。登場しただけでツッコミが成立するのですから、このファッションショーは油断できません。
知与は、ちびっこおまわりさん。
羽々里が「逮捕されてもいい」と喜んだため、警察官になった初日から身内対応が発生しました。
胡桃はマカロンの妖精。
隠していた乙女心かと思いきや、アイロンを見てマカロンが食べたくなっただけでした。
アイロンを食べる方向へ進まなくて何よりです。
愛々が選んだのは、美々美のように堂々と立つ姿。
人の視線から隠れてきた彼女が、隠れない人へ憧れている。けれど美々美に近づかれると、やっぱり逃げます。
願えることと、すぐに実行できることは別。それでも衣装に描けたなら、昨日より半歩先です。
育は「ゴムゴムの実のあの方」。
大切なファミリーを守れる強い男になりたいと語ります。なぜ二年後の服ではないのかと聞かれれば、まだ覇気を使えないから。
そのうち使う予定です。
育なら修行で何とかしそうなのが怖い。
そして唐音は、ゆるふわ。
体調不良を装って逃げようとした時点で、答えを言っているようなものです。柔らかな衣装で現れ、褒められるたびに「こっち見んな」「あっち行け」。
服はゆるふわ。反応は通常営業。
着てみたかった。でも見られたくない。
その矛盾を怒声で包む唐音、まったく隠せていません。
羽々里の制服|もう一度みんなと同じ時間へ
「自由に何でもなれるのなら、みんなと一緒にまた高校生に戻れたら素敵だなって」
羽々里が選んだのは、高校生の制服でした。
豪華なドレスでも、女王の衣装でもありません。
母親でも理事長でもなく、恋太郎たちと同じ一人の生徒になるための服です。
羽々里は、お金でほとんどの無茶を通せます。
それでも、過ぎた時間は買えません。
同じ教室に座り、同じ授業を受け、同じ放課後へ向かう。そんな時間を、制服だけでも一緒に歩いてみたかったのでしょう。
恥ずかしがる羽々里へ、恋太郎は「今の羽々里さんは、紛れもなく僕たちと同じ高校生ですよ」と返します。
過去へ戻るのではありません。
今、この場所で同じ時間に立つ。
それでいいと迎えてくれる人がいるなら、着られなかった服を今日から着てもいいのでしょう。
なお羽香里は、母親の制服姿を見て「完全にそういう店だろう」と察しています。
しかし、周囲の空気を読み、即座に称賛側へ擬態。
胸に触れる場面の横で、娘だけが別ジャンルの危険を察知していました。母をよく知る者の苦労が、重い。
フリーダム・アベンジャーズ|最後に秘密を脱いだのは先生でした
衣装披露を見守るナディー先生は、ずっと真顔でした。
誰も自由と認めてもらえないのか。
恋太郎たちが不安になるなか、ナディー先生は全員の変化を認めます。
今の彼らは、フリーダム集団ならぬ――。
「フリーダム・アベンジャーズ!」
また巨大ヒーローの気配です。
ただ、彼女が真顔だった理由は厳しい判定ではありませんでした。
泣かないように見守るのが大変だったのです。
昔の免許証|知られたくない秘密から、知ってほしい自分へ
「皆さんとファミリーになりたい気持ちです!」
ナディー先生が取り出したのは、昔の免許証でした。
そこには「大和撫子」という本名が記されています。
前半では、恋太郎に正体を見抜かれました。今回は違います。
自分から見せました。
知られてしまったのではなく、知ってほしくなった。
恋太郎ファミリーが隠していた願いを衣装にして見せたから、ナディー先生も隠していた過去を差し出せたのでしょう。
自由を教えるつもりだった先生が、最後には秘密を明かす自由を彼女たちから受け取っています。
大和撫子を消して、ナディーになったわけではありません。
大和撫子を隠さなくても、ナディーでいられる場所を見つけたのです。

100カノ27話まとめ|軽くなったショルダーに残ったもの
「なんだかショルダー軽くなって、さらにフリーダムな気分です」
秘密を明かしたナディー先生は、そう笑います。
相変わらず英語の混ざり方は独特です。
けれど、最初に大声で自由を叫んでいたときとは少し違います。
あの頃は、自由な自分を全身で証明しようとしていました。今はもう、証明しなくても隣にいてくれる人たちがいます。
家族に「恥」と呼ばれた姿を、恋太郎は「素敵」と言った。
彼女たちは、隠していた願いを衣装にした。
ナディー先生は、隠していた名前を自分から見せた。
金髪カウボーイの国語教師。
眉毛による居残り補習。
アメリカ滞在は約5分。
告白の着地点はキャプテン・アメリカ。
特注衣装は翌日納品。
どこを切っても大騒ぎです。
それでも最後に残るのは、秘密を見せても離れていかなかった人たちと、少し軽くなったショルダー。
「本当はこうなりたい」と口にするのは、思っているより難しいものです。
だから誰かが見せてくれたとき、「何が恥ずかしいんですか?」と返せたら――。
その人の心にある制服も、少しだけ緩むのかもしれません。
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