3代目ヴェゼルとの最後の旅、夫婦で訪れる日本の秘境・椎葉村への大人ドライブ旅行

こんにちは!「びわおちゃんブログ」へようこそ。このブログは、「アニオタWorld!」「これ、いいね!」「まったりカーライフ」「レンタカーを使わない旅」という4つの柱で運営する、いわば僕の趣味を詰め込んだ雑誌のような場所です。しかし、2025年に入ってからは、すっかり「アニオタWorld!」一色になっていました。アニメ記事は瞬間的な集客力は絶大なのですが、情報の鮮度が命。毎日投稿を続けないと、あっという間にネットの海に埋もれてしまい、結果として常に時間に追われる自転車操業状態に陥りがちです。そうなると、他のジャンルの記事を書く時間的、精神的な余裕がなくなってしまうのが、ずっと悩みでした。
ですが今回、本当に久しぶりに「ヴェゼルでお出かけ」をお届けします。実に2024年12月の明礬温泉以来の更新です。なぜ今、このタイミングで筆を執ろうと思ったのか。それは、2023年1月から連れ添った愛車ヴェゼルとの、別れを目前に控えた「最後の旅」の記録だからです。

久しぶりの夫婦ドライブ、行き先は「日本の最後の秘境」

日々の喧騒から離れ、ただ車のエンジン音と移り変わる景色、そして隣に座る大切な人との会話だけを楽しむ。そんな「何もしない贅沢」を味わうドライブ旅行は、私たち夫婦にとって最高のリフレッシュです。今回は、約2年間を共にした愛車「ホンダ ヴェゼル ハイブリッドZ」との最後の旅。そのフィナーレを飾るにふさわしい場所として、私たちは宮崎県にある「日本最後の秘境」椎葉村を目指しました。これは、一台の車との思い出を締めくくり、新たな始まりへと繋がる、私たち夫婦の特別な旅の記録です。

愛車との別れ、そして最後のロングドライブへ

2023年1月に我が家にやってきたヴェゼル。流麗なフォルムと静かで滑らかな走り、そして信頼性の高い安全性能で、数々の旅を共にしてきました。私たち夫婦は、「新車は3年目の初回車検前に買い替える」というカーライフサイクルを実践しています。最新の自動車技術に常に触れていたいという気持ちもありますが、リセールバリューが高いうちに売却し、次の車の購入資金に充てるのが最も合理的でコストパフォーマンスに優れる、という信念があるからです。
そして、ついにその時がやってきました。今月でお別れするヴェゼルとの思い出を振り返ると、少し寂しい気持ちもこみ上げます。だからこそ、最後に最高の思い出を作ってあげたい。「ありがとう」の気持ちを込めて、これまでで最長のロングドライブを計画したのです。

なぜ「椎葉村」を選んだのか

最後の旅の目的地をどこにするか、夫婦で話し合いました。選んだのは、宮崎県の山深い地にある椎葉村です。椎葉村は、岐阜県の白川郷、徳島県の祖谷(いや)と並び「日本三大秘境」のひとつに数えられています。しかし、世界遺産に登録された白川郷が国内外から多くの観光客を集める一大観光地となり、祖谷も吊り橋や温泉郷へのアクセスが格段に向上した現在、「手付かずの自然と独自の文化が色濃く残る、本物の秘境は椎葉村だけ」とも言われています。
派手な観光スポットや行列のできるお店を巡る旅も楽しいですが、私たち夫婦が今求めているのは、静寂の中でその土地の歴史や文化に深く触れる、本質的な豊かさを感じられる旅。だからこそ、この「最後の秘境」が、ヴェゼルとのフィナーレを飾る舞台として最もふさわしいと感じたのです。

大分からの快適ドライブコース

旅の当日は、雲一つない絶好のドライブ日和。午前8時、大分市の自宅を出発します。まずは奥さんの運転で、市街地を抜けて国道10号線を南下。途中、犬飼町から国道326号線に入り、三重町を経由して最初の休憩ポイント「道の駅すごう」を目指します。
ここで僕にドライバーを交代。国道57号線を熊本方面へ走り、笹倉交差点を左折して波野方面へ。ここからは、阿蘇の外輪山をなぞるように走る風光明媚なルートです。車窓からは雄大な阿蘇の山並みが見え始め、ドライブの気分は最高潮に。高森町を抜け、いよいよ秘境へと誘う国道265号線へ。自宅から目的地である椎葉村の中心部までは、片道約150km。休憩を挟みながら、3時間ほどの快適なドライブです。

いざ椎葉村へ!気になるアクセスと絶品秘境グルメ

「秘境」という言葉の響きから、険しい山道を想像する方も多いかもしれません。しかし、実際に訪れてみると、そのイメージは良い意味で裏切られました。リアルなアクセス事情と、この地でしか味わえない絶品グルメを詳しくレポートします。

「秘境」の道は本当に険しい?国道265号線のリアル

結論から言うと、大分・熊本方面から椎葉村の中心部へ向かうルートは、驚くほど快適でした。国道265号線は、確かに道幅が狭くなる箇所やカーブが続く区間もありますが、全線舗装されており、ヴェゼルくらいの車幅であれば対向車とのすれ違いに不安を感じることはありません。途中、十根川(とねがわ)沿いで道路工事が行われており片側交互通行になっていましたが、交通整理もきちんとされており、スムーズに通過できました。
では、なぜ「秘境」や「酷道」と呼ばれるのか。それは、村の中心部からさらに南、宮崎県の五家荘(ごかのしょう)方面へ抜けるルートが極めて険しいからです。多くのドライブ好きや「酷道マニア」が語るのは、こちらの南部ルートのこと。私たちが通った北部からのアクセスルートは、ドライブ初心者でも安心して訪れることができるでしょう。

👇このルートなら快適です

ルート状況・難易度備考
熊本・大分方面 → 椎葉村中心部【快適】国道265号線を利用。大部分が整備されており、乗用車でのアクセスに問題なし。
椎葉村中心部 → 南部(五家荘方面)【アクセス困難】国道265号線の通称「酷道」区間。離合困難な狭路、ガードレールなしの断崖絶壁が続く。通行止めも頻発。
椎葉村中心部 → 日向市方面【比較的快適】国道327号線を利用。海側へ抜けるルートで、比較的走りやすい。

椎葉村物産センターで味わう幻の「椎葉牛丼」

午前11時過ぎ、昼食場所に決めていた「椎葉村物産センター 平家本陣」に到着しました。この先の道路が通行止めになっている影響か、広い駐車場に車はまばら。レストランに入ると、他にお客さんの姿はなく、なんと貸し切り状態です。しかし、私たちが食事を始める頃には次々とお客さんが訪れ、30分後にはほぼ満席になるという盛況ぶりでした。

👇僕らが行ったときは誰もいませんでした。一番乗りです。

椎葉村物産センター 平家本陣


ここでのお目当ては、村の名物である「椎葉牛丼」(1,300円)。メニューの説明書きには「なかなか手に入らない幻の椎葉牛(A4ランク以上の方バラ肉)を柔らかく仕上げました」とあり、期待が高まります。奥さんはもう一つの名物「チキン南蛮定食」(1,100円)を注文しました。

椎葉牛丼


運ばれてきた椎葉牛丼は、一般的な牛丼とは少し趣が異なります。タレの色は薄めで、玉ねぎもシャキッとした食感を残した火の通り具合。一見すると「少し薄味かな?」という印象です。しかし、一口食べてその考えは覆されました。牛肉の味が、とにかく濃厚。噛むほどに上質な和牛の旨味と脂の甘みが口の中に広がり、高級なすき焼きをいただいているかのような満足感があります。高級和牛特有の、あの芳醇な香りが鼻を抜けていくのがたまりません。そして、あえて煮込みすぎていない玉ねぎの食感と甘みが、この濃厚な牛肉の味を絶妙に引き立て、しつこさを感じさせないのです。さらに、トッピングされた生の長ネギのピリッとした辛みが、爽やかなアクセントとして全体を引き締めていました。

チキン南蛮定食


あまりの美味しさに夢中で箸を進めましたが、A4ランクの濃厚な味わいは、半分ほど食べたところで少し箸休めが欲しくなります。そこで、奥さんの定食に添えられていた「菜豆腐」を一口。これは大豆と季節の野菜を一緒に固めた椎葉村の郷土料理で、素朴で優しい味わいが口の中をさっぱりとさせてくれました。ついでにチキン南蛮も交換しましたが、こちらは比較的あっさりとした印象。宮崎名物としては、やはり本場・延岡市の「直ちゃん」の味が恋しくなりますが、ボリューム満点で食べ応えは十分でした。
👉行列必至の名店!タルタルなしの本格チキン南蛮『直ちゃん』

レストランから望む、息をのむエメラルドグリーンの渓谷

「平家本陣」のもう一つのご馳走は、レストランの大きな窓から見える景色です。眼下には、息をのむほどに美しい十根川の渓谷が広がっています。その水の色は、コバルトブルーでもターコイズブルーでもない、深く、吸い込まれそうな「エメラルドグリーン」。なぜこれほどまでに美しいのか、それはこの川の肥沃なプランクトンと、光の屈折が生み出す自然の奇跡なのでしょう。美味しい食事と共にこの絶景を眺める時間は、まさに至福のひとときでした。

奥深い歴史と文化を巡る、椎葉村の必見スポット

満腹になったお腹をさすりながら、午後は椎葉村の歴史と文化に触れる散策へ。小さな村の中に、予想をはるかに超える見ごたえのある施設が私たちを待っていました。

平家落人伝説が眠る「鶴富屋敷(那須家住宅)」

まず向かったのは、物産センターから車で数分の場所にある「鶴富屋敷(つるとみやしき)」です。正式名称は「重要文化財那須家住宅」。昭和31年6月28日に国の重要文化財に指定された、歴史的価値の非常に高い建物です。
屋敷の入り口には、寄り添って立つ男女の銅像が。これは、この地に残る悲恋物語の主人公、源氏の武将・那須大八郎宗久と、平家の末裔である鶴富姫の像です。壇ノ浦の戦いで敗れた平家一門の残党を追討するためこの地を訪れた大八郎は、鶴富姫と恋に落ちます。しかし、やがて鎌倉からの帰還命令が下り、二人は引き裂かれてしまうのです。この屋敷は、二人が暮らした場所と伝えられています。


中に入ると、大きな囲炉裏が切られた広い土間と板張りの間が広がります。太い梁や柱がむき出しになった「椎葉型」と呼ばれる独特の建築様式は、この地方の気候や生活様式に合わせて発展したもので、豪雪に耐えるための頑丈な造りが特徴です。寝室や客間など、一部屋ずつ見て回ると、800年以上前の悲恋の物語と、この地で力強く生きてきた人々の営みが目に浮かぶようでした。

山深き地に佇む「椎葉民族芸能博物館」

鶴富屋敷の見学を終え、隣接する「椎葉厳島神社」の大きな鳥居をくぐり、石段を上っていくと、重厚な木造の建物が見えてきます。ここが「椎葉民族芸能博物館」です。鶴富屋敷との共通券は430円。地下1階、地上4階建てという、村の規模からは想像もできないほど立派な施設です。


館内は、この地で受け継がれてきた文化遺産の宝庫でした。1階では、国の重要無形民俗文化財である「椎葉神楽」で使われる33の神楽面がずらりと並び、その迫力に圧倒されます。2階には、かつてこの地の基幹産業であった「焼畑農業」で使われた農具や生活用具を展示。急峻な山の斜面を焼き、数年間作物を育ててはまた別の場所へ移るという、自然と共生する知恵を学ぶことができます。3階は、林業や狩猟に関する資料が中心です。私たち夫婦以外に見学者の姿はなく、この貴重な展示の数々を貸し切り状態で、静かに、じっくりと堪能することができました。

博物館から続く「椎葉厳島神社」

博物館の4階は展望室になっており、外に出ると相撲の土俵がありました。これは毎年秋に行われる例大祭で、神事としての奉納相撲が取られる場所だそうです。その土俵の先、さらに石段を上った先に、ひっそりと「椎葉厳島神社」の本殿が鎮座しています。
なぜ、広島の安芸の宮島で有名な厳島神社がこの山深い地にあるのでしょうか。それは、平家落人伝説と深く関わっています。平家一門が厚く信仰していたのが、安芸の厳島神社でした。この地に逃れてきた平家の末裔たちが、一族の守り神として故郷の神を勧請(かんじょう)したのが、この神社の始まりとされています。鶴富姫もまた、遠い故郷を想いながら、この社で手を合わせたのかもしれません。そう思うと、小さな社が持つ歴史の重みに、身が引き締まる思いがしました。

モダンな建築が目を引く図書館「カテリエ」

鶴富屋敷を出る際、受付にいらっしゃった女性から「この先の『カテリエ』という図書館が素敵だから、ぜひ見て帰ってね」と声をかけられました。900メートルほど先とのことなので、ヴェゼルを走らせて向かってみます。


到着して驚きました。山間の静かな集落に、突如として現れるガラス張りのモダンな建築物。それが、椎葉村地域おこし交流拠点施設「Katerie(カテリエ)」です。2020年にオープンしたこの施設は、「村の言葉を未来へ紡ぐ」をコンセプトに、村の木材をふんだんに使って建てられました。館内は図書館を中心に、カフェ、コワーキングスペース、子供の遊び場などが融合した複合施設となっており、村民だけでなく、私たちのような村外からの訪問者も温かく迎え入れてくれます。先ほどの博物館といい、この図書館といい、これほどまでに文化的で質の高い施設が維持されているのは、やはり「秘境」であるがゆえに、国や県からの手厚い補助があるからではないか、と僕は感じました。

旅の終わりにみつけた、次なる旅の始まり

午後3時。名残惜しいですが、陽が傾き始める前に山を下りることにします。椎葉村の奥深い魅力にすっかり心を奪われた私たちは、帰りの車中で「また来たいね」と何度も繰り返していました。そしてその帰路で、次の旅へと繋がる、運命的な場所を発見したのです。

帰路の発見!阿蘇の絶景が広がる「道の駅そよ風パーク」

帰りは阿蘇高森を抜け、国道265号線から57号線へと戻るルートを走ります。その途中、トイレ休憩で立ち寄ったのが「道の駅そよ風パーク」でした。物産館を冷やかしていると、「HOTEL WINDY」という看板を発見。なんとここは、宿泊施設を併設した「泊まれる道の駅」だったのです。

公式サイトより


興味を惹かれてホテルのパンフレットを手に取ると、そこには息をのむような写真が。ホテルのデッキからは、目の前に雄大な阿蘇五岳、そしてその先には九重連山、祖母山までを一望できる、大パノラマが広がっているというのです。 「これはすごい…ここに泊まって、この景色を一日中眺めていたいね」と、奥さんと顔を見合わせました。

次回の夫婦旅は「泊まれる道の駅」で2泊3日プラン

その瞬間、私たちの次回の旅の計画が決まりました。この「ホテルWINDY」を拠点にした、2泊3日の阿蘇・高千穂・椎葉満喫プランです。
1日目は、昼過ぎにホテルにチェックインし、まずは自慢の「マウンテンビュー洋室」でくつろぎます。 夕暮れ時には、燃えるような夕焼けに染まる阿蘇の山々をデッキから眺め、夜は満点の星空の下で静かな時間を過ごす。考えるだけで、最高の休日が目に浮かびます。
そして2日目は、このホテルを拠点にして、再び椎葉村へ。日帰りでは駆け足になってしまった場所をもう一度ゆっくり巡ったり、今回行けなかった南部の「酷道」ドライブに挑戦してみるのも面白いかもしれません。

伝統芸能「清和文楽」まで足を延ばして

さらに、この「道の駅そよ風パーク」の立地は、周辺観光へのアクセスも抜群です。ホテルから車でわずか15分ほどの場所には、国指定重要無形民俗文化財である人形浄瑠璃「清和文楽」を鑑賞できる「清和文楽邑」があります。 次回の旅では、ぜひ公演日に合わせて訪れ、この地に受け継がれる伝統芸能の世界に浸ってみたいです。
愛車ヴェゼルとの別れを惜しむセンチメンタルな旅は、思いがけず、次の夫婦ドライブへの期待に胸を膨らませる、新たな始まりの旅となりました。ありがとう、ヴェゼル。そして、また必ず訪れたい、素晴らしい旅先との出会いに感謝です。

☆☆☆今回はここまで。またね👋


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