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旅に出るとき、私たちはつい「晴天の青空」を思い描いてしまいます。けれど2026年9月、台風25号の影響が残る雨の阿蘇で過ごした一夜は、雨こそが最高の演出になると教えてくれました。じゃらん口コミ5.0・983件という数字の裏側にある真実は、「予約不要の貸切湯を何度でも巡れる贅沢」と「肥後赤牛の煮込みを核にした誠実なフレンチ」、そして「あのお値段では至高のおもてなし」が静かに重なっていることに他なりません。
日常の喧騒からそっと離れたいとき、ぜひ候補に入れていただきたい一軒です。

チェックイン|台風の森に溶け込む白い隠れ家
車を降りた瞬間、阿蘇の森特有の湿り気を帯びた清廉な空気が胸いっぱいに広がります。木々に囲まれたペンション風のオーベルジュ「シャンブル・ドット・アルムの森」。台風25号の名残で空は低く、風景写真は一枚も撮れませんでした。それでも――館内の写真は、むしろいつもより多く撮ることになりました。外が荒れている日ほど、内側の温もりがよく見えるのかもしれません。
15時の到着|8名グループと私たちだけの静かな夜
15時、チェックイン。エントランスを一歩くぐると、温かみのある木製の内装と、オーナーご夫妻の穏やかな笑顔が出迎えてくれます。過剰な形式ばった接客ではなく、親しい友人の山荘に招かれたような安心感。手続きはとてもスムーズでした。
【写真挿入:木の温もりに満ちたエントランス/クラシック調のインテリア】

当日の宿泊客は、私たちのほかに1グループ8名。全5室の小さな宿にしては賑やかな数字に聞こえますが、館内の空気はあくまで静かです。オーナーが「今日は内湯が2つあるうちの1つを閉めています」と教えてくださいました。2部屋利用なのかしら、と頭の片隅で数えながら、鍵を受け取ります。
満室に近い夜でも、貸切風呂が複数ある宿は、不思議と「奪い合い」の気配がありません。空いていれば内鍵をかけて入るだけ。予約表とにらめっこしなくていい、というだけで、旅の肩の力がすっと抜けます。
オリエンタホワイトツイン|吹き抜けと耐震のつっかえ棒
案内されたのは、本館の「オリエンタホワイトツインタイプ」。バスなし、洗面・トイレ・冷蔵庫・テレビ・応接ソファーセット付き。白を基調とした吹き抜けの空間に、間接照明とかわいいブランケット。サンワ工務店改装とプランに書かれていたとおり、シンプルなのにどこか物語のある部屋です。


ふかふかのベッドに腰を下ろし、天井を見上げると、耐震のつっかえ棒がおしゃれな感じで渡してあります。装飾に見せているようで、ちゃんと建物を支えている。部屋にひび割れはありません。ただ、廊下の一部に細いひび割れがありました。10年前の熊本地震の名残なのでしょう。今年の夏の大きな地震は、この宿にはほとんど影響がなかったそうです。それでも風評で8月の宿泊客は例年の3割に急減した、とオーナーが静かに話してくださいました。

旅の記事に地震の話を出すなんて、空気が重くなるのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。けれど、このつっかえ棒は「怖いもの」ではなく、「今も営業を続けている証」のように見えました。雨音のする白い部屋で、私たちはまず荷物を解き、窓の外の緑を眺めます。
窓辺の雨音|風景写真がなくても残る記憶
窓の外は、雨露に濡れて一層鮮やかさを増した木々の緑。雨粒が葉を叩く規則的なリズム、雨の匂い、うっすら煙る森。風景写真こそ撮れませんでしたが、五感に残る景色は、晴れた日のパノラマより濃いかもしれません。

都会の慌ただしさで強張っていた神経が、じんわりほどけていく。隣で荷物を整理する人と、特に大きな会話をしなくても成立する時間。雨の日の窓辺は、そういう役割を果たしてくれるのではないでしょうか。
空室チェックのすすめ
雨の日でも星空プランでも、空室は思ったより早く埋まります
泊まる日が決まっていなくても大丈夫。まずは日程だけ、覗いてみませんか。
じゃらんnetで「シャンブル・ドット・アルムの森」のプラン一覧・最新料金を見る
※空室状況やクーポンの内容は変動します。最新の情報は、じゃらんnetのプラン画面でご確認ください。
4つの貸切湯|5室に湯処が4つある、という贅沢の正体
「アルムの森」の大きな魅力は、趣の異なる貸切風呂です。プラン表記では内湯と露天の2タイプ。実際に泊まってみると、湯処は全部で4つ。うち2室が天然温泉を引いた外湯の露天風呂、内湯の2室は温泉ではありません。予約不要、空いていれば内鍵をかけて自由に使うシステム。全5室に対して風呂が4つ、しかも当日はメンテナンスのため内湯の1つがクローズされていました。それでも、私たちの湯巡りは一度も待ち時間が発生しませんでした。
すべて巡ってみました。刻々と表情を変える時間ごとにお伝えします。
15:30〜16:30 露天風呂(外側)|大岩の隙間から雨が降る、薄茶色の源泉
到着後、荷物を置いて最初に向かったのは外側の露天風呂。扉を開けると、ひんやりとした外気とともに、かすかな鉄の匂いが鼻先をかすめました。浴室全体の広さは脱衣・洗い場を含めておよそ4畳ほど。奥には、大人ふたりが肩を寄せて浸かるのにちょうど良い、畳1畳分ほどの岩造りの湯船がどっしりと据えられています。

この湯処には、いわゆるガラス窓がありません。正面を塞ぐのは、大人の背丈を優に超える巨大な自然岩。けれど岩は浴室を完全に閉じ込めているのではなく、上部はすっきりと開け放たれ、阿蘇の豊かな樹木が青々と枝を伸ばして目隠しの役目を果たしています。窓枠越しではない、森そのものと地続きになった半開放の空間です。
湯口から注がれる源泉は、光の加減でごく淡い茶褐色を帯びていました。泉質は単純温泉、塩泉、ナトリウム泉。肌を滑る感触は驚くほどまろやかで、塩泉特有のしっとりとしたぬくもりが染み渡ります。外湯は季節によって寒く感じることがあると案内にもある通り、台風の影響が残る9月の午後、開け放たれた上部から吹き込む風雨に頬が冷たく冷やされます。けれど、42度前後の熱い源泉に首まで沈めば、その冷気さえも愛おしいアクセントに変わっていく。晴れていれば星空プランの名のとおり満天の星を仰げたのかもしれませんが、大岩を濡らす雨粒と、立ちのぼる湯気の層に包まれる時間は、星空とは別の贅沢なのです。
👇写真右側の壁の先に「内側の外湯」があります

👇こちらが「内側の外湯」です。岩の感じが違うでしょ。

写真映えする青空を逃した、と残念がる旅もあります。一方で、誰も外を歩いていない森の音だけを独占できる日もある。どちらが上、という話ではなく、天候が演出を変えてくれるだけなのかもしれません。
17:30〜18:10 露天風呂(内側)|もうひとつの湯船で、夕暮れを待つ
夕暮れが近づく頃、今度はもうひとつの内側の露天へ。こちらも同じく約4畳の空間に1畳ほどの岩浴槽、窓の代わりに大岩と樹木が視界を優しく遮る造りですが、外側のワイルドさとは少し違い、頭上の木々の重なりや岩の陰影によって、森との距離感がまた違って感じられます。立ちのぼる湯気からは、やはりふわりと鉱物と鉄の香りが漂い、薄い茶褐色の湯が夕方の静寂を静かにたたえていました。同じ露天の温泉でありながら、場所と光の加減が違えば、湯の表情もまた異なって見えるのです。40分ほど、誰にも邪魔されることなく、温かな湯に手足を伸ばしました。

8名グループは、この時間、部屋か内湯側で思い思いのひとときを過ごしていたのでしょうか。内鍵をかけた湯処には、ただ私たち二人きり。思考のスイッチをそっとオフにして、阿蘇の大地が温めてくれた湯の温度に身を預ける――。夕食の18時30分まで、まだ少しの余裕があります。
火照った体で白い客室へと戻り、ふかふかのブランケットを膝に広げて、窓を伝う雨の粒を見つめる時間。何もしない、何も考えなくていいこの静かな空白こそが、オーベルジュという場所がくれる本当のご馳走だと思います。
お風呂の仕組み|予約表がないから、何度でも「今」入れる
内湯は翌朝の楽しみに取っておくことにして、ここで一度、アルムの森のお風呂の仕組みを整理させてください。
- 予約表なし・時間制限なし。空いていれば内鍵をかけていつでも自由に利用可能
- 外湯の露天風呂(2室):薄い茶褐色の源泉かけ流し天然温泉(単純温泉・塩泉・ナトリウム泉/約42度)
- 露天風呂の構造:浴室約4畳・岩浴槽約1畳。窓はなく大岩と上部の樹木で目隠しされた半開放空間
- 内湯(2室):温泉ではないものの、可愛らしい洋風の家族風呂(※当日はメンテナンスのため1室クローズ)
- 客室にバスルームはないため、この4つの湯処を巡ること自体が滞在の心地よい主旋律になる
ここで、違和感を覚えた方もいるかもしれません。「せっかく4つもあるのに、1つ閉めてしまうなんてもったいない」と。
けれど、小さな宿の運営とは、宿泊客の数、行き届いた清掃、そして湯の温度管理という細やかなバランスの上に成り立っているものです。8名グループと私たちの2組しかいない夜に、形骸的に全室を開けておくよりも、今動かしている湯処を完璧な温度と清潔さで守り抜く――それは宿なりの誠実な選択だったのではないか、と私たちは感じました。
実際、私たちが浸かったお湯はどれも驚くほど澄み渡り、湯温も心地よく安定していました。大切なのは数ではなく、いま肌で触れている一湯の質。雨の日の旅は、そんな作り手の静かな気配りに、いつもより少し優しく気づかせてくれる気がします。
夕食|じゃらん掲載どおりのフルコースを、白と赤のグラスで
18時30分、1階ダイニングへ。今回のプランは「【じゃらん秋~冬SALE】好評赤牛の煮込と貸切風呂を満喫!阿蘇の星空宿泊プラン」。星は見えませんでしたが、テーブルの上は、掲載どおりのコースが静かに並び始めます。


二人とも、白ワインと赤ワインをグラスで楽しみました。最初から赤、ではなく、皿が変わるたびに色を変える。雨の夜の小さな贅沢です。ジーンズのまま座れる空気で、フランス料理のフルコース。肩が凝らないフォーマルさは、この宿の持ち味です。
メニューは、じゃらんに載っていたものと同じでした。

- 季節のフレッシュ野菜と馬肉のサラダ仕立て
- 季節の魚のブレゼ ドライトマトと季節野菜のグリエ ソース・ブールブラン
- 季節野菜のポタージュ
- 肥後赤牛の煮込みとライス
- バニラプリン キャラメルソース
- コーヒー
評判どおりのおいしさです。同時に、ふと頭をよぎります。いつもこれなのかしら。連泊のときは、どうなるのだろう。答えはわかりません。ただ、この並びが「元祖・星空シリーズ定番」と呼ばれる理由は、一口目から納得できました。
馬肉のサラダ仕立て|生姜醤油の固定観念が外れる前菜
最初に運ばれてきたのは、季節のフレッシュ野菜と馬肉のサラダ仕立て。熊本の馬肉が、フレンチの前菜として皿の上で再配置されています。上品な甘みとコク、香味野菜、ドレッシングのバランス。馬刺しは生姜醤油、という固定観念が、静かにほどけます。

白ワインが進む幕開け。雨音がガラスの向こうで続いているせいか、味の輪郭がよくわかる夜でした。同じ感性で旅している人なら、一口目で「 今夜は外れない」と肩の力が抜けるのではないでしょうか。
魚のブレゼ|ソース・ブールブランが運んでくる、次の赤への橋
季節の魚のブレゼ。ドライトマトと季節野菜のグリエ、ソース・ブールブラン。バターと酸が魚の身を抱き、ドライトマトが甘みを足す。派手な演出はありません。技術で素材を壊さない一皿、という印象です。
白から、そろそろ赤へ。魚の余韻が残るうちにグラスの色が変わるのは、コースの途中としては少し欲張りです。それでも、次に来る煮込みを知っている体は、もう赤を欲しがっていました。
季節野菜のポタージュ|雨の夜に、温度で語る一椀
スープは季節野菜のポタージュ。地元野菜の甘みが、静かに体の芯へ入ります。雨の日のポタージュは、料理というより暖房に近い役割を果たすのかもしれません。会話が自然に弾むのは、この椀のせいでもあるでしょう。

フルコースの「見せ場」はメインだと思いがちです。けれど、雨のオーベルジュでは、スープの温度が一番正直です。冷めていない、薄すぎない、主張しすぎない。その三拍子が揃っていると、宿全体の誠実さまで見えてしまう。そんな気がします。
肥後赤牛の煮込みとライス|この宿の顔を、フォーク一本で知る
そしてメイン。肥後赤牛の煮込みとライス。漆黒に近いソースを纏った肉が、静かにテーブルへ置かれます。ナイフを滑らせる必要がなく、フォークの重みで繊維がほろほろと解ける。阿蘇の赤牛を、香味野菜やフォン、ワインとともに時間をかけて煮込んだことが、一口でわかります。

口に含むと、凝縮した旨味とソースの酸、奥のコク。脂っこさはなく、赤身の滋味が体に染みます。赤ワインを合わせると、肉が立体的に立ち上がる。グラスを置く手が遅くなる。派手なパフォーマンスに頼らず、素材と火と時間で勝負している一皿。オーベルジュに泊まる歓びの中心は、たぶんここです。
ライスが添えてあるのも、この宿らしい。ソースを残さずすくうための、誠実な相棒。パンだけでも成立するコースを、あえてご飯と組む。熊本の土地に足をつけたフレンチ、という意味では、この組み合わせこそが「定番」の核ではないか、と考えます。
バニラプリン|キャラメルソースで閉じる、連泊の謎つきの夜
デザートはバニラプリン、キャラメルソース。自家製のやさしい甘み。コーヒーと一緒に、雨の夜がゆっくり終わりへ向かいます。18時30分から20時まで、たっぷり90分。急かされない食卓は、料理と同じくらい価値があります。

メニューがじゃらん掲載と同じだったこと。連泊したら同じ皿が続くのか、季節で中身だけ変わるのか。今夜は聞けませんでした。ただ、983件の口コミが5.0を維持している宿が、看板の煮込みを毎夜丁寧に出している事実は、むしろ頼もしい。 今夜の満足を、来週の誰かにも同じ温度で渡している。そういう運営なのではないか、と思います。
じゃらん 秋〜冬SALE
赤牛の煮込みと貸切湯がセットになった定番プランは、セール期間がねらい目
読み進めるうちに、泊まる日のことを想像していたら――日程の感覚だけ、覗いてみてください。じゃらんの秋〜冬SALEの期間は、料金が動きやすいタイミングです。
- ◆ 赤牛の煮込みと貸切湯がセットになった、宿の定番プラン
- ◆ 秋〜冬SALE期間は、空室も料金も動きやすいねらい目
▼ じゃらんで「好評赤牛の煮込と貸切風呂」プランを見る
→ じゃらん秋〜冬SALE|星空宿泊プランの空室と料金をチェック
※SALE期間や割引内容は変動します。最新の空室と料金は、じゃらんnetのプラン画面でご確認ください。
夜の再入浴と翌朝|雨のオーベルジュで時計をゆっくり進める
20:10〜21:00 再び、外側の露天へ
夕食のあと、外側の露天に戻りました。満腹の体に、夜の雨と温泉。食前の15時台とは、湯の意味が違います。さっ
22時就寝。白い吹き抜けの天井に、つっかえ棒の影。雨はまだ続いていました。星空は見えない。それでも、星空プランで来てよかった、と思える夜でした。プラン名は天候を約束しない。約束しているのは、湯と皿と、静かな部屋です。
6:00 コーヒータイム|まだ誰も起きていない館内
翌朝6時起床。部屋でコーヒータイム。窓の外は、まだ完全には晴れない森。風景写真の代わりに、カップの湯気と白い壁を撮ります。7時前の館内は、自分たちの足音だけ。小さな宿の朝は、こうして始まります。
7:00〜7:40 内湯|温泉ではないけれど、広々清潔
7時、内湯へ。温泉ではありません。かわいい雰囲気の家族湯、広々として清潔。昨夜の岩風呂とは対照的に、朝の体を整える湯、という役割です。40分、ゆっくり温めて部屋に戻り、チェックアウトまでの時間をソファで過ごしました。

温泉好きなら内湯は物足りないのでは、という意見もありそうです。たしかに泉質の主役は露天側です。けれど、部屋にバスがない滞在では、「朝、人目を気にせず入れる清潔な湯」の価値が上がります。4つのうち温泉は2つ。残りの2つは、生活の湯。両方あるから、15時から翌朝まで湯巡りが成立する。数の設計は、そういうことではないでしょうか。

8:30〜9:10 朝食|手作りソーセージが並ぶ、豪華な朝
8時30分、再びダイニング。朝食は、想像以上に豪華でした。

- オレンジジュース
- タマネギとベーコンのスープ
- 焼きたてパン
- ホテルスクランブルエッグ
- 地元産手作りソーセージ
- 野菜サラダ
- フルーツ
- 手作りヨーグルト
- フレンチトースト
- コーヒーまたは紅茶


地元産の手作りソーセージに、焼きたてのパン、フレンチトーストまで。夕方がフレンチコースなら、朝は「ちゃんとお腹を満たす」方向へ舵を切っている。9時10分までの40分は、皿を撮っては食べ、また撮る、という幸せな忙しさでした。10時チェックアウトまで、部屋で余韻を持て余すほどです。
少し立ち止まってみましょう。2食付きの宿で、夕食ばかりが語られがちです。けれど翌朝のソーセージとスープが丁寧だと、チェックアウトの足取りがまったく変わります。雨の朝に温かい皿が並ぶ。それだけで、台風の旅は「我慢した夜」ではなく「選んでよかった夜」に更新されるのではないでしょうか。
口コミ5.0の真実|地震の傷跡と風評を超えて、なぜ983件なのか
じゃらんの口コミ点数は5点満点。件数は983。やらせで積み上がる数字には、どうしても見えません。2名1泊2食で定価37,400円。設備は豪華絢爛ではなく、部屋に風呂もなく、当日は星も見えず、内湯の1つは閉じていました。それでも点数は落ちない。

廊下の細いひび|10年前の地震が残した静かな記憶
部屋の天井には、おしゃれに見せた耐震のつっかえ棒。部屋自体にひびはない。廊下の一部にだけ、細いひび割れ。2016年の熊本地震から、この滞在時点でおよそ10年。建物は直され、営業は続き、つっかえ棒はインテリアの一部になっています。
傷跡を隠さない。けれど、いつもの日常を何より大切にしている。そのバランスが、この宿の空気なのです。完璧な新品のリゾートを求める旅もある。一方で、土地の時間を一緒に引き受ける旅もある。雨の日の「アルムの森」は、後者の側に立っているように見えました。

今年の夏の地震|被害はなく、客足だけが3割に
オーナーによれば、今年の夏の大きな地震は、この施設にはほとんど影響がなかったそうです。それでも8月の宿泊客は例年の3割。風評は、建物より先に予約画面を壊します。5室しかない宿にとって、3割は「静かな経営」ではなく、かなりの空白です。
ここで、私たちは何をできるのか。大きなことを言わなくても、空室のある日に泊まること、湯に入ること、赤牛を残さず食べること、口コミを一通書くこと。雨の台風の日に来た私たち自身が、すでにその一人だったのかもしれません。8名グループも、同じ夜を選んだ人たちです。満室ではない夜に、それでも誰かが来る。その積み重ねが、983件の評価5.0を支えているのです。

旅の終わりに|雨の日の阿蘇が教えてくれたこと
宿をチェックアウトし、見送ってくださるオーナーご夫妻に手を振りながら車を走らせると、雨上がりの阿蘇の外輪山に薄く霧がかかり、幻想的な風景を描き出していました。
「あのお値段で、あのおもてなしと料理は至高だったね」
助手席からかけられたその言葉に、深く頷かずにはいられませんでした。天候を選ばない旅の深さ、静けさの中で研ぎ澄まされる五感の歓び、そして丹精込めて作られた料理がもたらす心の充足。
晴れの日には晴れの、雨の日には雨の美しさがあります。阿蘇の「アルムの森」で過ごした時間は、どんな日であっても旅は特別になり得るのだということを、私たちに静かに教えてくれました。
次の休暇には、大切な人と一緒に、あの優しい森の扉を開けてみてください。雨の日の阿蘇が、きっとまた特別な思い出を残してくれることでしょう。
今回の費用まとめ|クーポン5,300円が、あの食卓を現実にした
「あのお値段で、あのおもてなしは至高だったね」――うちの奥さんのこの言葉には、数字の裏付けがあります。
2名1泊2食付きの定価は37,400円。ここに、じゃらんで取得した2種類のクーポン(ふるさとお得【熊本県】3,500円分+会員限定1,800円分、合計5,300円分)が静かに重なって、窓口でのお支払いは32,100円。37,400円引く5,300円が、ぴったり32,100円になる。予約画面を開いて数字が一本の線でつながった瞬間、少し嬉しくなってしまいました。
1人あたりにすると16,050円。肥後赤牛の煮込みから始まるフレンチのフルコースに、4つの貸切湯の湯巡り、翌朝の手作りソーセージの朝食までがこの金額に収まっています。さらに予約で1,122ポイントが加算されるため、次の旅の 資金 として考えるなら、実質の負担は2万円を少し上回るあたりに届きます。
空室・クーポンをチェック
雨の夜も星降る夜も、その一泊が今から楽しみになる
雨の日でも星空プランでも、空室は思ったより早く埋まります。
まずは日程だけ覗いてみませんか。
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※貸切風呂付きの客室や週末の予約は埋まりやすいため、早めのチェックがおすすめです。
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