『呪いの謎を解く鍵』~先帝の遺体に秘められた真実~
今回の『薬屋のひとりごと』第33話「先帝」のストーリーは前回の「皇太后」に全て隠されていましたね。
僕は今回の「先帝」を観た感想は既視感そのものでした。
前回の32話の解説ブログに書いていることがそのままアニメ化されたような気さえします。
作品の流れも前回が推理、今回がそのネタバレ回なのでそうなるのでしょうが。
とはいえ、薬屋のひとりごとの解説ブログなんですから、今回も33話「先帝」について解説します。
小石に隠された運命の糸
皇太后・安氏から「呪い」の調査を依頼された猫猫が、久しぶりに壬氏の屋敷に滞在することになりました。水蓮の部屋で幼い頃の壬氏について話を聞いている中、猫猫は壬氏の子供時代のお気に入りの玩具が入っている行李から不思議な色の小石を発見します。

この小さな石ころが、実は物語の大きな転換点になるのです。あなたは偶然見つけたものが重大な謎を解く鍵になることってありませんか?人生の転機は思いがけないところに隠れているものですよね。
『先帝の遺体』~死してなお語る秘密~
この「呪い」とは一体何なのでしょう?それは先帝の遺体が生前と変わらない姿のままであるという不思議な現象。普通、人は死後に変化するものなのに、先帝だけはまるで生きているかのように保たれているのです。
あなたは誰かの姿を永遠に留めておきたいと思ったことはありませんか?愛する人の姿を記憶に焼き付けるように…でも、それが「呪い」と呼ばれるとしたら、そこには何か暗い感情が隠されているのかもしれません。
『幼い妃と病んだ皇帝』~愛と恐怖の狭間で~
先帝は「幼女趣味」と蔑まれていましたが、実はそれだけではなかったのです。幼かった先帝は、実質的に国を支配していた母親「女帝」を恐れるあまり、大人の女性全般を恐怖の対象とするようになり、精神を病んでいきました。

そんな先帝に嫁いだ安氏は、幼い頃に妊娠・出産を強いられ身体に傷を負いました。しかし、成長した安氏は先帝から拒絶されることになり、怒りを覚えて性交を強要し第二子を妊娠したという複雑な過去があるのです。

あなたは誰かを恨んだ経験はありますか?その恨みが「呪い」となって形になるとしたら…それが今回の物語の核心に迫る要素なのかもしれません。
『描かれた肖像画』~忘れられない想い~
先帝が遺した絵画には安氏が描かれていました。精神を病み、恐怖の対象であったはずの安氏のことを、先帝は忘れていなかったのです。壬氏が「あの時あの方は何を伝えたかったのでしょうか?」と問いかけ、安氏は「知ろうとしないことを選んだ」と答えています。


しかしこの絵のモデルが誰なのかは意見が分かれるところ。妻の安氏と言う説のほかに先帝の母の女帝と言う説があります。
安氏は最初は自分を描いたものだと思っていたと思います。理由は若い頃、先帝の絵と同じ色の衣を好んで来ていたという記述があるからです。その頃は先帝に対する憎しみもそれほど増幅されていなかったんでしょう。
しかし、それが女帝への憎しみも交え、自分ではなく先帝の母、女帝を描いたものだと思い込むようにして先帝への憎悪のパワーを途絶えさせないためのエネルギーにしたものだと考えています。
一方、先帝は誰を書いたんでしょうか。僕は「誰でもない」と考えています。判りやすく言えばその時々で母になったり妻になったりする絵だったのではないでしょうか。この壁の絵は単なる先帝の「憧れの女性」なのです。
明かされた先帝の死体が腐敗しなかった理由
雄黄の毒性と腐敗を防ぐ効果
実は先帝の遺体が腐敗しなかった真の理由は、先帝が使用していた絵の具に含まれていた「雄黄」という物質にありました。雄黄には毒性があり、物質の腐敗を遅らせる効果があるのです。
先帝は絵を描くことを唯一の楽しみとしていましたが、その絵の具に含まれていた雄黄によって中毒を起こし、最終的にはその影響で命を落としました。そして死後も、体内に蓄積された雄黄の作用によって遺体が腐敗せずに保たれていたのです。
皇太后の誤解と真実の発見
皇太后・安氏は、先帝の遺体が腐敗しないという異常な現象を自分の「呪い」の結果だと信じていました。当時の薬学知識では説明できない現象を超自然的なものとして捉えるのは無理もないことでした。
しかし猫猫の調査により、それが雄黄の毒性による科学的な現象であることが明らかになりました。皇太后は先帝との複雑な関係から、彼の死と遺体の状態に対して複雑な感情を抱いていましたが、猫猫の説明によって長年の疑問に一つの答えが出されたのです。
先帝の秘密と皇太后の過去
この話は単なる科学的謎解きにとどまらず、先帝と皇太后の複雑な関係も浮き彫りにしています。10歳で後宮に入り、幼くして先帝の子を身籠った安氏。成長して大人の女性になった彼女を先帝は恐れるようになり、忘れ去ってしまいました。
その怒りと悲しみから、安氏は先帝に「呪い」をかけたと信じていたのです。先帝の死体が腐敗しなかった理由の解明は、皇太后の過去の傷と向き合う機会ともなりました。
先帝にまつわる人物関係
人物名 | 人物像 |
---|---|
先帝 | 政治的才覚がなく母親の「女帝」の傀儡として生きた皇帝。幼女嗜好があり、14歳以上の女性に恐怖を抱く。晩年は孤独に過ごし、死後も遺体が腐敗しないという謎を残した。 |
女帝(先代の皇太后) | 先帝の母親で、強圧的な性格と政治的手腕で実権を握り、息子を操り人形のように扱った。すでに亡くなっているが、宮廷に大きな影響力を残している。 |
皇太后・安氏 | 10歳で後宮に入り、帝王切開で現皇帝を出産。成長して先帝に見向きもされなくなると復讐心を抱き、強引に夜伽を強要して第二子を妊娠。現在は皇太后として後宮での権力を確立している。 |
現皇帝 | 先帝と安氏の間に生まれた息子。父とは異なり優秀な統治者で人格的にも優れている。 |
壬氏(皇弟) | 表向きは皇弟とされているが、実際は阿多妃の子を安氏が引き取ったもの。皇帝とは年が離れており、幼い頃は皇帝を父、先帝を祖父だと思っていた。 |
阿多妃 | 先帝の妃の一人。安氏と同時期に出産したが、医官が安氏の出産を優先したため難産となり、二度と子を産めない体になった。安氏と密かに子を取り替えた。 |
羅門 | 医官で、10歳の安氏に帝王切開を施した人物。その後、罰として後宮から追放され、片足の膝骨を抜かれる肉刑を受けた。猫猫の養父となる。 |
里樹妃 | 元は先帝の妃として9歳のときに後宮に入ったが、先帝の崩御で出家し、改めて現帝の妃として後宮に入った。 |
安氏が絵の前で呟いた複雑な感情の背景
安氏(皇太后)が絵の前で
「ああ、腹が立つ」「かすれてはいてもなお、あの方の存在感は大きいのね」
「私はこの絵の中にいるのかしら」「所詮私など通り過ぎるだけの存在」
「ここにある傷跡のおかげて国母としての今があるに過ぎない」「偶然先帝の手にかかり、身籠った幼い娘」
と呟いています。

その背景には、彼女の複雑な過去と先帝との関係が深く関わっています。
安氏は数え10歳になる前に、父親の命令により先帝のお手つきになるべく異母姉の侍女として後宮に入内しました。彼女は成人女性に怯える先帝の弱さを見抜き、自分なら入り込めると考え、先帝を気遣うことで彼のお手つきとなり、若くして現皇帝を産みました。

しかし、大人の女性へと成長した安氏を先帝は怖がり、会いに来なくなります。ある日通路で鉢合わせした際、皇后である自分のことは覚えているだろうと期待した安氏でしたが、先帝は彼女に気づくこともなく素通りし、別の幼い少女のもとへ向かってしまいました。
この出来事は安氏に深い傷を残し、彼女は先帝への怒りと恨みを抱くようになります。「腹が立つ」という言葉は、この時の怒りや、自分が10歳で命がけの出産をしたにもかかわらず忘れられた悔しさを表しています。

「私はこの絵の中にいるのかしら」「所詮私など通り過ぎるだけの存在」という言葉からは、先帝にとって自分が重要な存在ではなかったという悲しみと諦めが感じられます。
「ここにある傷跡のおかげて国母としての今があるに過ぎない」「偶然先帝の手にかかり、身籠った幼い娘」という言葉は、幼くして妊娠・出産を強いられ身体に負った傷跡と、その経験によって得た皇太后としての地位への複雑な感情を表しています。
安氏の呟きは、先帝への恨み、怒り、そして諦め、さらには自分の人生の皮肉な運命に対する複雑な感情が入り混じったものなのです。
『猫猫と壬氏の絆』~謎解きが紡ぐ関係~
猫猫と壬氏の関係性も見どころの一つです。壬氏の屋敷に滞在する猫猫の姿は、二人の距離感を縮める重要な場面となっています。恋愛要素を求める方にとって、この二人の微妙な距離感の変化は見逃せないポイントでしょう。
あなたは相手の過去や秘密を知ることで、その人への理解が深まった経験はありませんか?猫猫と壬氏も、先帝の謎を解くことで互いへの理解を深めていくのです。
『呪いの正体』~愛と憎しみの境界線~
第33話では、猫猫が亡き先帝の秘密と呪いの正体を明らかにするため、皇太后や壬氏らと共に先帝の部屋を訪れます。この場面こそが、物語の核心に迫る重要な瞬間となるでしょう。
あなたは「呪い」の正体が何だと思いますか?それは憎しみから生まれたものなのか、それとも別の感情から生まれたものなのか…答えを知りたくなりませんか?
物語は、先帝と安氏の複雑な関係性、そして猫猫と壬氏の成長する絆を通して、愛と憎しみの境界線を鮮やかに描き出しています。第33話は、そんな人間関係の機微と謎解きが絶妙に絡み合う、見逃せない一話となっているのです。
先帝の人生は、母親の支配と自身の弱さ、そして幼女嗜好という歪んだ性質によって形作られました。彼は権力を持ちながらも実質的には無力であり、周囲の女性たちに翻弄された悲劇の皇帝だったのです。彼の死後も、その影響は現在の宮廷に色濃く残り続けています。

次回34話「怪談」では、紅娘に誘われた猫猫が怪談会に参加します。子翠も同席し、様々な怪談話が交わされる中で伏線が張られていきます。平茸と間違えて毒茸を食べてしまう母子の話や、僧侶が泊まった家で虫の羽音が聞こえる話など、後の展開を示唆する怪談が語られます。特に子翠の語る話は後の「蝗害」を暗示しており、物語の伏線となっています。
原作小説はヒーロー文庫から刊行中で、コミカライズは「ビッグガンガン」と「サンデーGX」の2種類があります。ガンガン版はねこクラゲ氏の美麗な作画と原作に忠実なストーリー展開が特徴で、サンデーGX版はテンポの良い展開とミステリー要素が強調されています。どちらも魅力的なので、ぜひ両方チェックしてみてください。シリーズ累計発行部数は3800万部を超える大人気作品です。
32話の解説はこちら👇
前半のまとめです👇
2種類のコミックスシリーズ
「薬屋のひとりごと」には2種類のコミックスシリーズがあります。それぞれの最新刊情報は以下の通りです。
ビッグガンガン版(スクウェア・エニックス)
- タイトル: 薬屋のひとりごと
- 出版社: スクウェア・エニックス
- レーベル: ビッグガンガンコミックス
- 作者: 原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス)、作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺、キャラクター原案:しのとうこ
- 最新刊: 15巻(2025年3月25日発売予定)
- 特徴: より「恋愛コメディ」的な要素が強く、かわいらしい作画で明るい印象の作品です。
2. サンデーGX版(小学館)
- タイトル: 薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~
- 出版社: 小学館
- レーベル: サンデーGXコミックス
- 作者: 原作:日向夏、作画:倉田三ノ路、キャラクター原案:しのとうこ
- 最新刊: 19巻(2024年12月19日発売)
- 特徴: よりクールな作画スタイルで、ミステリー要素を重視した作品です。
どちらも同じ原作小説をコミカライズしたものですが、作画や構成が異なり、それぞれ独自の魅力を持っています。原作小説は現在15巻まで刊行されており、シリーズ累計3,800万部を突破する大人気作品となっています。
アニメはどちらをベースにしているの?
アニメ『薬屋のひとりごと』は、2種類のコミカライズ版のどちらかをベースにしているわけではなく、原作小説を直接アニメ化しています。
アニメ版の原作は、漫画版のどちらでもなく、現在第15巻まで刊行されている小説版の「薬屋のひとりごと」です。アニメと漫画の内容はほぼ同じですが、これはどちらの漫画も原作小説を忠実に漫画化しているからであり、どちらかの漫画のストーリーを採用しているわけではありません。
アニメのキャラクターデザインについても、漫画版のビジュアルが使われているのではなく、小説版のイラストをベースとしたデザインとなっています。アニメのクレジットには、「キャラクター原案」として小説版のイラストを手掛けたしのとうこ氏、「キャラクターデザイン」として中谷友紀子氏の名前が記載されています。
プロデューサーの菱山光輝氏は、本作の制作にあたり「原作小説に誠実にあること」を重要なテーマとして掲げました。原作はコミカライズやドラマCD化など、さまざまに展開して多くのファンを獲得してきた作品であり、ファンの一人一人にそれぞれの解釈が生まれているため、チーム全体としてあくまでベースは原作小説であるという意識を持つことを重要視したとのことです。
ただし、アニメのコメディ描写や衣装、髪型などの要素は、スクウェア・エニックス版(ねこクラゲ氏作画)のコミカライズの影響を受けている部分もあるという意見もあります。しかし、これは公式に明言されたものではなく、視聴者の印象によるものです。
結論として、アニメ『薬屋のひとりごと』は2種類のコミカライズ版のどちらかをベースにしているのではなく、原作小説を直接アニメ化した作品です。
『薬屋のひとりごと』原作小説について
作品概要
『薬屋のひとりごと』は、日向夏氏によるライトノベル作品で、架空の中華風帝国「茘(リー)」を舞台に、後宮に勤める官女「猫猫(マオマオ)」が王宮内に巻き起こる事件の謎を薬学の専門知識で解くミステリー、ファンタジー、ラブコメディ小説です。
この作品は2011年10月に小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が開始され、人気を博したことから2012年9月に主婦の友社のRay Booksから単行本として発売されました。その後、2014年8月にヒーロー文庫(主婦の友社→イマジカインフォス)から新装刊され、現在も継続して刊行されています。
現在、原作小説は文庫版で15巻まで刊行されています(2024年3月現在)。最新刊の15巻は2024年3月29日に発売されました。
作者・日向夏について
日向夏氏は福岡県在住の作家で、本名や年齢などの詳細なプロフィールは非公開となっています。大学卒業後は会社員として勤めていましたが、東日本大震災後に自宅にいる時間が増えたことをきっかけに、「小説家になろう」で『薬屋のひとりごと』の連載を開始しました。
日向夏氏の得意ジャンルはファンタジーや謎解きで、『薬屋のひとりごと』以外にも『トネリコの王』『緋凰仙華』『路地裏の精霊姫』『繰り巫女あやかし夜噺』など多数の作品を執筆しています。
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2025年4月16日(水)発売初回生産限定版
価格:14,850円(税抜価格 13,500円)
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収録分数:約136分(第25話~第30話収録)+映像特典/DISC枚数:1枚
<特典内容>
【初回生産限定特典】
《封入特典》
◆特製三方背
◆キャラクターデザイン・中谷友紀子描きおろしデジパック
◆スペシャルブックレット(42P)
◆原作小説着せ替えブックカバー
【初回・通常共通特典】
《音声特典》
◆第29話オーディオコメンタリー(猫猫役:悠木碧/壬氏役:大塚剛央/子翠役:瀬戸麻沙美)
《映像特典》
◆第2期ティザーPV 第2弾
◆第2期本PV
◆第2期ファイナルPV
◆ノンクレジットOP
◆ノンクレジットED
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※使用した写真および文章の一部はアニメ公式サイトより転載しました。

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