Go2. 1株800万円!日本一高いユニクロの株が3分の1に~株式分割の背景に岸田政権?

日本株でGO! №2

ファーストリテイリング:9983

2023年3月1日にユニクロを運営するファーストリテイリングが株式分割しました。

ファーストリテイリング(以下、ファストリ)の株をお持ちの読者さまいますか?

1株800万円です。日本で一番高い株。株主は6千人しかいないそうです。

今回はファストリが株式分割したお話です。

なお、取り上げた企業への投資を勧誘する趣旨の記事ではないのでご了解願います。

ファストリの株式分割の背景

2023年3月1日付で1株を3株に分割

ファストリが2023年3月1日付で株式株を3株に分割しました。

日経新聞の記事では「投資家層の拡大や流動性向上を図る」とあります。しかし「東京証券取引所が望ましい水準とする「5万円以上50万円未満」をいまだに上回っている」とも書かれています。

カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは15日、2023年3月1日付で株式1株を3株に分割すると発表した。同社の株式分割は02年4月以来、20年11カ月ぶり。1単元の投資金額を下げ、投資家層の拡大や流動性向上を図る。23年8月期の1株当たり配当金は従来予想の680円から分割を考慮して230円とした。

分割後の最低投資金額は15日時点の株価で算出すると約280万円。東京証券取引所が望ましい水準とする「5万円以上50万円未満」をいまだに上回っている。ファストリの広報は「現在の投資家構成を一気に大きく変えるのではなく、まずは3分割で投資家層を広げていきたい」と話した。23年8月期の年間配当予想は分割考慮前ベースで690円となり、実質的な増額修正となる。

2022.12.15日経新聞

3月1日ファストリの株価です。100株単位で購入するので分割後でも1株260万円以上します。

なお、チャートは分割後の価格で引き直されています。

なお、2023年1月13日に株価が空を開けて長い陰線で急落しています。

理由は2022年9-11月期の売上が9%低下したという第3四半期の決算が発表されて嫌気されたから。

これは中国の店舗がゼロコロナ政策で休業せざるを得なかったからですが、じきに回復していますね。

岸田政権による投資単価引き下げインパクト

ファストリが株式分割するに至った背景は東洋経済に詳細に書かれています。

☞ユニクロ「21年ぶり」株式分割の知られざる変心

東京証券取引所が望ましい水準とする「5万円以上50万円未満」を大きく上回っているファストリに対し、日本銀行から引き下げを要請されていたが頑として応じていなかったとのこと。

しかし、岸田首相肝いりの「資産所得倍増プラン」が策定され、「投資単位が高い上場企業」10社のリストの筆頭にファストリが上げられ、政府から直接株式分割を促されたからだと記述されています。

リストはこれです。

この値嵩株(投資単位が大きい株)の投資単価引き下げについて記事ではこのように記述しています。

東証などを傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭CEOは、「現政権の下でNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)による資産形成を促す取り組みが進んでいるが、個人が投資をしようとしても制度の上限額で1単元すら買えない銘柄がある」と要請の背景を説明した。

11月28日にはNISAの恒久化や非課税で金融商品を保有できる期間の無期限化などを盛り込んだ資産所得倍増プランが策定された。個人の投資を促進する流れは決定的なものとなる。

岸田政権の資産所得倍増プラン

資産所得倍増プランとは

ファストリの株式分割の背景には「資産所得倍増プラン」があることが判りました。

岸田政権の「資産所得倍増プラン」は個人とスタートアップ企業の2点に焦点を当てた計画です。

個人については以下の目標を掲げています。

  • 今後5年間でNISA口座数を3400万に(現在1144万口座)
  • 投資額を56兆円に(現在20兆円)
  • 配当や分配金などへの非課税期間は無期限
  • NISA制度を恒久化

法人についてはスタートアップ5カ年計画というものを打ち出しました。

現在年8000億円規模のスタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模に引き上げる計画です。

ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)は将来的に100社の創出を目指すともしています。

当然「投資」ですから僕らが出資することになります。

これらの施策の複合的・連鎖的効果で試算や所得の倍増を目指すというのが岸田政権の「資産所得倍プラン」です。

日銀の動き 異次元緩和を振り返る

岸田政権の資産所得倍増にプランに呼応する日本銀行の動きはまだ見えていません。

しかし、それよりかなり前から「貯蓄から投資へ」の動きはありました。

2013年4月からの黒田総裁のいわゆる「異次元緩和」です。日本銀行のETF(上場投資信託)保有残高を年間1兆円増やすというものです。

当時の安部首相の2013年6月14日発表の「日本再興戦略」、いわゆるアベノミクスの時期と重なります。

異次元緩和による日銀のETF買い付け効果は凄まじく、12,000円に届かなかった日経平均株価は20,000円超えの水準にまで上昇しました。いわゆる「黒田バズーカ」です。

日経平均月足チャート(2013年~2016年)Kabutan

この時は日本を代表する企業の株が面白いほどに上がりました。

下はトヨタ自動車の株価チャートです。日経平均とおんなじ形ですよね。

(上がり具合は日経平均より急だけど)

トヨタ自動車月足チャート(2013年~2016年)Kabutan

もちろんこれは日銀だけの効果ではありせん。

日銀に呼応してGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が動きました。

今まで安全確実な中心の運用から株式投資にギヤを入れ、大量にETFを購入しはじめました。当時「クジラ」の襲来と言われていました。試算170兆円(当時)と言われたGPIFの大量のETF買付も日経平均株価の底上げに大きく寄与しています。

さらにこの動きに個人投資家が追従しました。

GPIFは政府系の期間なので運営状況を公開する義務があります。公式サイトで毎月購入したETF銘柄と購入数を公開していました。個人投資家はこのクジラにくっ付いて動く「コバンザメ」状態になっていったんです。

当時はこのような流れで2015年夏まで株価が上昇していきました。

当時このようなお祭り騒ぎ状態の中で多くの株が倍以上の価格になるバブルの状態が発生していました。

2013年からの黒田総裁による「異次元緩和」を振り返ってみましたが、植田総裁はどのような手腕を発揮するのでしょうか。

新NISAが与える影響

「資産所得倍増プラン」の鍵を握る施策が新NISAです。

新NISAは2024年からスタートします。

現行のNISA制度から大きく拡充された新制度になります。

新NISAについてはリベ大の学長のこの動画を見てください。

新NISAのココが凄い5点として

  1. 旧制度と併用できる
  2. 投資枠が1,800万円もある
  3. 最速5年で枠を使い切れる
  4. 非課税期間は永久
  5. 売却したら、非課税枠は復活

というお話をしています。

リベラルアーツ大学 第235回 【歴史が変わる】新NISAのココがスゴイ5選【株式投資編】

この新NISA、岸田政権の資産所得倍増プランの大きな推進エンジンになるはずです。

何といっても1,800万円まで非課税で、しかも非課税枠は永久です。売却したら非課税枠は復活します。

つまり100万円の株が150万円に値上がりして嬉しくって売ったらまた100万円買う枠ができるということです。

これを見て「あ、これいいな」という方、年収1千万円超の方ですよね。

そうなんです。この新NISA、庶民というよりは富裕層まではいかないけど収入の多い人向けの制度といえます。

岸田政権の狙いはこの層の資産所得倍増です。

投資できる余力があるけどそこまで真剣にしていないという人たちをターゲットにしていると僕は考えています。

資産所得が多い人が倍増すれば、その額はそうではない人の数倍にはなります。

日本経済に与えるインパクトも大きいはずです。

☆☆☆

ところであなたは今NISAしてますか?

特に若い人だったら積立NISAを絶対すべきです。

少額でも時間というのは大きな武器になります。特に40年、50年と積立できる人ならなおさらです。

ちなみに僕は爪に火を灯しながら毎月33,333円楽天全米インデックスファンドに積み立てています。

(若くないけど。。。)

「貯蓄から投資へ」は進展するのか

預貯金主体の日本

日本はアメリカと比較して預貯金比率が高く、株式・債権比率が低いと言われます。

岡三証券の資料(2021年10月)を見ても顕著にその傾向が表れています。

確かに超低金利の現在、預貯金では資産は増えません。だからリスクはあるけど高利回りが期待できる株式・債券へ…というのは僕ら預貯金者の発想。

政府はそんなこと考えていません。

国民が株を買わないと株式会社の経営が行き詰まるからですよね。

何とかして日本の企業に働いてもらい、稼いでもらわないと日本国が沈んでいくことになる。だから国民に株を買ってもらい、企業の資金にしたいという狙いです。

株を買う人が増えれば株価は上がるので国も企業も国民も三方よしになるというのがシナリオです。

この動きを促すのが新NISAであることは明らかです。何たって一人当たり1,800万円も投資枠があるんですから。

金融リテラシー教育の必要性

日本人は金融リテラシー(お金の知識・判断力)が低いとよく言われます。

面白い調査があります。金融広報中央委員会が2022年7月に実施した「金融リテラシー調査」です。

「学校や企業でお金に関する教育を受けたことがある」とい人はわずか7.1%にしか過ぎませんでした。

本当かな?とびっくりする低さです。

今、小学校で金融教育が始まっているとか銀行員や証券マンの学校への出前講座が盛んになってきたというニュースを目にすることが増えましたが、実態はほんの一握りの話なんでしょうか。

もうひとつ面白い設問がありました。そのままコピペします。

この設問、僕だったら銀行に行って頼みこんでお金を借りれるだけ借りてこの投資商品を買えるだけ買いますけどね。

上の設問と回答結果を見ると金融リテラシー教育の必要性を感じますが、この回答には日本人の伝統的な感性も反映しているんじゃないかとちょっと考えます。

「投資しない」と回答した人の中には相当数確率論的には儲かることは解っているけどあえてしないという人が交っていると思います。

あえてがつがつした姿勢を見せたくないとか損する可能性もあるからめんどくさいことはしたくないと考えたんじゃないでしょうか。

この設問自体に日本人の感性を試すような悪意を感じるのですが。

安易なスマホ投機は厳禁

この10年でネット投資を中心にした投資環境は大きく整備されたと思います。

株は店頭で買う商品ではなくなりました。スマホでポチれば終わりです。

そういう意味では「貯蓄から投資へ」の流れは確実に進捗しています。

ただ、先ほどの金融リテラシー教育の話と重なりますが、懸念されるのが安易なスマホ投機です。

FXやカバードワラントなどレバレッジを大きくかけられる商品が増えています。

さらにはそもそも金融商品ではないものも「投資商品」として販売されています

これらに対する安易なスマホ投機の被害についてはあまりニュースになっていないような気がします。

振り込め詐欺が大きなニュースとして扱われることが多いですが、金額では圧倒的にスマホ投機の損失額が多いだろうと思っています。

もちろん振り込め詐欺は犯罪であり、スマホ投機は自己責任の上での失敗ですが、経済的な損失という点では同様だと思います。

しかもスマホ投機損失の穴埋めのためのは新たな犯罪を産む可能性がありますよね。

お金の勉強もしっかりやりましょうね。

僕も記事を書きながら勉強したことをあたなにまたお話します。

☆☆☆☆

今回はここまで。それではまたね👋

【アニメ関連はこっちから】

アニオタWorld!の記事一覧

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA