転職後の賃金増加が過去最高-日本でも雇用流動化が動き出した

前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合が過去最高に

2022年2月2日にリクルートから「2021年10-12月期 転職時の賃金変動情報」というプレスリリースが出ています。それによると10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は31.5%となり、過去最高値を更新しています。

なおリクルートは『 前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため 「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。』と解説しており、実際の転職後の賃金上昇圧力はもっと高いのかもしれません。

リクルートリリース資料より引用

雇用人員不足感により求人の給与水準が上昇し、転職後に賃金が増加

また、調査結果を日銀短観のDI(Diffusion Index)と重ねてプロットしています。

日銀短観の景況感はコロナ過の現在、2019年から2020年にかけて大きく低下した後、2021年は回復しつつあるものの、「景況感」はコロナ以前の水準には戻っていません。(グラフ灰色線)

しかし、日銀短観の中の「雇用人員不足感」は2004年以降の最高水準(グラフ黒色線)に達しており、リクルートの調査結果(グラフ赤色線)とパラレルに推移しています。

すなわち、雇用人員不足感により求人の給与水準が上昇し、転職後に賃金が増加する結果を促していると言えます。

リクルートリリース資料より引用

「接客・販売・店長・コールセンター」の増加率が41.1%と全体をけん引

業種別にみると「接客・販売・店長・コールセンター」の増加率が41.1%と全体をけん引し、続いて「IT系エンジニア」が36.2%、「営業職」が29.5%、「機械・電気・化学エンジニア」25.2%となっています。

増加率トップの「接客・販売・店長・コールセンター」については2019年から2020年には大きく落ち込みましたが、2021年に大きく盛り返し、過去最高水準に達しています。これは紛れもなく新型コロナの蔓延による外出自粛の動きを反映していると考えらえます。

最近では外出自粛もやや下火になり、営業自粛で物販・飲食・宿泊サービスで人員削減を続けてきた各企業が積極的な求人活動を続けています。「接客・販売・店長・コールセンター」のグラフはその動きを如実に示しています。

面白いのはIT系エンジニアです。ここでも36.2%と過去最高水準に達していますが、他の業種のようにコロナ禍の影響はとみられる落ち込みは、ほとんど受けていないということです。IT系エンジニアはテレワークやリモートワークが可能な職種であり、近年のIT系エンジニアの需要の高まりもあり、給与水準が右肩上がりになっているということでしょう。

営業職が長期的に右肩下がりのグラフになっているのも興味深いところです。お客様のところへ出向いて商談をするという旧来からの「営業」という業務は、徐々にテレマーケティングなどの「人と会わない」仕組みに置き換わっているのではないでしょうか。また、Amazonや楽天などの電子モールで買い物をする場合、人間に「営業」してもらう必要性はありません。

リクルートリリース資料より引用

日本でも雇用の流動化が動き出した

日本では年功序列と終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用が長く続いてきました。

メンバーシップ型雇用は長期的な人材育成が可能、柔軟な異動・配置が可能と言ったメリットはありますが、生産性が低いとか専門性が上がらないというデメリットもあります。

一方、欧米では一般的にはジョブ型雇用です。これは採用時に「職務記述書(ジョブディスクリプション)」で職務・勤務地・労働時間・報酬などを明確に定め、雇用契約を結びます。メリットとして専門性の高い人材確保が可能となりますが、反面離職率が高くなる傾向にはあります。

先ほどの「接客・販売・店長・コールセンター」や「IT系エンジニア」は比較的「職務記述書(ジョブディスクリプション)」によるジョブ型雇用を導入しやすい職種と言えます。

いよいよ日本でも雇用の流動化が動き出しています。

日経新聞に以下のグラフが出ています。新聞では以下の記述で解説していました。

入社3年以内に退職する人は約15万人にのぼる。17年の大卒では全体の32.8%と前年比0.8ポイント増え、過去10年で最高になった。大卒3年程度までの人を「第二新卒」として積極採用する企業が全体の約4割まで増えていることも若者の背中を押す

日経新聞より引用

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