46道府県、願書の性別欄を廃止(共同通信社配信)

2021年12月26日、共同通信社から以下のニュースが発信されました。

東京都除く公立高入試

来春の入学者を選抜する公立高校の2022年度入試までに、東京都を除く全国の46道府県教育委員会が入学願書の受験生の性別欄を廃止することが26日、各教委への取材で分かった。出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーら性的少数者への配慮から始まった性別欄削除の動きが全国に浸透した。

 都教委は全国で唯一、全日制普通科で男女別定員制を設けていることを理由に性別欄を残しているが、定員制の段階的撤廃を決定している。担当者は取材に「定員制がなければ本来は不要」とし、将来は性別欄も廃止する可能性を示唆した。

東京都は不平等か?

東京都が男女別定員としている点は、一般的に女子の方が合格者が多くなる傾向があることから、男女比を同一比率にするため、男女別に定員制を設けているそうです。男女別定員にすると、女子と対比して合格率の低い男子が優遇されることになり、合格基準に達している生徒に対する合格者の数という点では、女性差別です。この点では男女別の定員制を廃止することは平等性の観点でいいことだと思います。

しかし、「性別欄の廃止」は上記のジェンダー問題とは異なった側面があります。報道では「トランスジェンダーら性的少数者への配慮」とありますが、入学願書の性別欄を廃止することが、本当に性的少数者への配慮になるのでしょうか?。

日本におけるジェンダー問題とは

「男尊女卑」という思想があります。男性を尊重し、女性を軽視すること、男女平等を否定する考え方のことで、起源は「男子が生まれなければお家断絶」という江戸時代の大名統治の時代に遡ると言われています。日本ではこれが「ジェンダー問題」を生み出しています。もちろん女性が男性より上という場合(女性の上司や女性が男性を数で上回る看護師の世界など)もありますが、この場合起こる問題は「逆パワハラ」「逆セクハラ」と言われます。

日本など先進国におけるジェンダー問題は以下のように女性の社会進出を阻害する問題が多く見受けられます。都立高校の性別による男女別定員制の問題、もこの範疇の問題と言えます。僕が思う現代日本のジェンダー問題はこれらのことです。

  • 男は仕事、女は家事・子育てという社会的役割を性別で決めようとする考え方
  • 企業や組織において男性に比べ女性の管理職割合が低いという現実
  • 女子高や女子大など謎の「女子だけの学校」がある点

世界的に見たジェンダーとは

では、世界的にみるとどうでしょう。

独立行政法人国際協力機構では「ジェンダー」を次のように解説しています。

ジェンダーとは  独立行政法人国際協力機構

ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことです。たとえば、「料理は女がやるもの」って考えている人、いますよね?料理=女のシゴト。でも男で料理上手もいるのに?この性別がジェンダーです。

さらにジェンダー問題については次のように述べています。

ジェンダー問題について  独立行政法人国際協力機構

世界には学校にも行けず、読み書きや計算ができない女性がたくさんいます。途上国では、便利な家電が充実しているわけでも、ガス・水道・電気などの環境が整っているわけでもないので、女性の家事にかかる時間はとても長く、大きな負担になっています。途上国では、お母さんのからだや赤ちゃんが危険なくらい若いうちに妊娠したり、本人が妊娠したくないのに妊娠させられたり、女性に対する日常的な暴力だって存在します。

ジェンダーによる男女差別をなくして、ひとりひとりの実力がいかされて、安全で安心して暮らせる世の中をつくっていくことは、全世界の課題なのです!

特にアフリカや南アジアに問題を抱えている国々が多く存在しています。

トランスジェンダー とは

トランスジェンダーをわかりやすく説明する文章を探しましたが、たどり着けませんでした。トランスジェンダーを語るにはその他の性に関する整理も必要だからです。

長崎県が発行した小冊子https://www.moj.go.jp/content/001341628.pdfが非常にわかりやすかったので掲載します。

トランスジェンダー 問題とは

もちろん生徒を受け入れる学校側が、生徒の肉体的な意味での性別を把握することは必要です。本人の健康管理・衛生管理面で性に応じた対応が必須だからです。とはいえ、内申書など別途個人情報として入手する手段があれば、入学願書にその情報がなくても性別の把握はできます。

そもそも公立高校の入学願書の性別欄廃止は、トランスジェンダーと呼ばれる人たちの多数の意見なんでしょうか。性別欄廃止に声を上げているトランスジェンダーはいると思います。それは取り上げるべき「声」だと思います。しかしそれがトランスジェンダーの多数意見なのでしょうか。

「トランスジェンダー問題」を支援・応援するという立場を己の正義感だと主張するトランスジェンダーではない人たちによる「権利の要求」だったら危険です。声が大きい者の意見がまかり通り、真実が霞んでします。

さらにマスコミの報道にも問題があります。入学欄の性別廃止=トランスジェンダー問題の解決というステレオタイプ報道は、古すぎるのです。

僕が思うこと

トランスジェンダーの人たちに本当に必要なことは、性別欄に記載する男女のレッテルを剥がすことではなく、入学してから自然に過ごせるための「環境整備」ではないでしょうか。願書の性別欄をなくすことより、更衣室やトイレなど、周囲の目が気になるシチュエーションで彼・彼女たちをそっと守ってあげること、男とか女とかトランスジェンダーとかそんなことを考える、差別に対して敏感に行動することがことが無意味なことだと、皆が自然に感じるような環境を構築することだと思います。

こっちも見てね!

日経MJより:ホテル、ハレの場から日常の空間に

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