ガソリン価格を高く感じる理由・・・ビッグマック指数で説明します。

ガソリン高騰に対して石油元売りに補助金支給

萩生田光一経済産業相は25日の閣議後の記者会見で、ガソリンや灯油など燃料価格の抑制策を初めて発動すると表明しました。石油元売りに補助金を支給し、販売価格の上昇に歯止めをかけます。金額は1リットルあたり3.4円で、27日にも補助適用後の価格で購入できるようにします。

24日時点のガソリン価格は全国平均で170.2円になるとの見通しです。レギュラーガソリン価格の最高値は08年8月の185.1円。170円以上は13年ぶりの高値となります。

デフレ下でもガソリン価格は上昇している

2019年末からのコロナ禍が続く中、本年1月からはオミクロン型が猛威を振るい、各地でまん延防止等重点措置が適用され、大幅な移動制限が課せられています。

このような状況のなか、ガソリンの価格は一向に下がる気配がありません。

日本ではデフレの進行が長く続いており、物価は上がらないのに、ガソリン価格が高騰を続けているのは何故なんでしょうか。

WTI指数で日米を比較

ガソリンは原油を精製して作りますが、この原油の価格として有名なのが「WTI原油価格」です。

WTI  (だぶりゅてぃーあい)   

英語表記「West Texas Intermediate」の略で、米国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のこと。
欧州産の北海ブレント、中東産のドバイと並ぶ、原油価格の代表的な指標のひとつで、先物がニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されています。WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標のひとつにもなっています。

このWTI原油価格について、2020年12月と1年後の2021年12月の価格上昇率を、ドルと円で比較したのが下の表です。なお、1バレルは約159ℓです。

原油価格の過去1年間の上昇はドル建てで42%、円建てで44%と大きく上昇していますが、日米のWTI原油価格の上昇率はほぼ同じ水準です。

年月ドル/バレル円/ℓ
2020年12月39.3126.41
2021年12月67.9647.05
増加額28.6520.64
増加率42%44%

しかし、どうでしょうか。

日本のガソリン価格はもっと高騰しているように感じませんか?

それは、物価が上昇を続けているアメリカに対して、日本は長らく物価が下落し続けており、日本の購買力が下がり続けているため、肌感覚でのガソリン価格は実際の金額より高く感じられるからです。

ビッグマック指数とは

ビッグマック指数ってご存じですか?大和証券解説が判りやすかったので引用させていただきます。

ビッグマック指数

世界的なハンバーガーチェーンであるマクドナルドの商品「ビッグマック」の単価を比較して為替レートを算定する購買力平価。

購買力平価は、モノやサービスの値段を基準にした為替レートです。ある商品の価格がひとつに決まる「一物一価」を前提に、多様な商品・サービスを購入した時の各国・地域の通貨価値を比較して算定します。

ビッグマック指数では、米国で販売されているビッグマックが1ドルで、日本で販売されているビッグマックが150円ならば、1ドル=150円と換算します。

解説にあるとおり、ビッグマック指数を使うと、同一の商品についてその国でのあるべき価格、購入するのに納得できる価格が判ります。価格はその商品の需要と供給のバランスの中で決まってくるからです。

これが肌感覚で納得できる価格と言えます。

まずは2021年のアメリカと日本のビックマックの価格を比較してみます。

アメリカ価格日本価格為替レート理論価格差額
5.65ドル390円115円/ドル650円▲260円

アメリカで5.65ドルのビッグマックは、1ドル115円の12月の為替レートで日本円換算すると、本来は650円になるはずです。しかし、日本では390円で売られています。

日本ではビッグマックはアメリカより260円も安く買えるんです。つまり、ビッグマックについては

日本の物価はアメリカと比較して4割引きの水準(260円/650円)なのです。

日本で売られているビッグマックは、国内で生産された商品なので、

原材料の価格や店員の給与

店舗の賃借料や建設費など

ビッグマックの原価の大半が日本の物価に反映しています。

これが割安になる秘密です。

先ほどお話しした通り、日本は長いデフレの中なので、水準は低いといえます。

しかし、ガソリンは海外から輸入した原油を精製して作るので、話が変わってきます。

アメリカから原油を輸入するとしましょう。先ほど日本の物価はアメリカの4割安と言いましたが、逆にアメリカの物価は日本の1.66倍(650円/390円)の水準になります。

この物価の差が実際のガソリン価格に反映されてくるんです。

円建の実際のWTI価格の上昇率は44%でした。

でもこれに日米の物価水準差1.66をかけると73%の上昇率となり、

輸入品であるガソリンの価格は

体感的には7割価格が上がったように感じます。

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